オンナのウラガワ ~名器大作戦~
第103回 距離感のおかしい人たちのウラガワ(1)


◆もくじ◆

・距離感のおかしい人たちのウラガワ(1)

・最近の志麻子さん
 有吉反省会にヒョウ姿でひきつづき出演中
 ドラマ「侵略!ガルパンダZ」に出演中
 6/19(日)「やついフェス」にDJ岩井志麻子出演決定!
 5/15(日)「オメ☆コボシ3」@ロフトプラスワンWEST 開催
 「韓流アフタヌーン~岩井志麻子のイイオトコ図鑑」次回は6/17(金)
 カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
 MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中

・著者プロフィール

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個人情報の取り扱いなど、時代によって意識は変わってくるもの。
とはいえ、人と人との距離感の設定が「明らかにおかしい」人というのは居るもので……。

岩井さんと縁があるセクシー系女優の青森ジュリア(仮名)がいつも思っているのは、「この世は嘘つきだらけ。私だけがすっごい正直者」ということ。
客観的に見るとそれはまったく逆。さらに、見栄を張る彼女は、普通では考えられない行動に出るという……。

 

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2014年11月「「そんなプロもありか」な人達のウラガワ​
12月「「殺人者」たちから聞いたウラガワ
2015年1月「「大人の冬休みの日記」なウラガワ
2月「「大人の冬休みの日記のつづき」なウラガワ
3月「ベトナム愛人との旧正月のウラガワ
4月「春の喜怒哀楽のウラガワ
5月「韓国人夫の失踪届けを出したら……のウラガワ

6月「ホラー作家まわりの怪異のウラガワ
7月「異国の夏休みのウラガワ
8月「そろそろ怖い目に遭う予感のウラガワ
9月「秋風に謎めく過去のウラガワ
10月「人生の秋を生きる女達のウラガワ
11月「「結婚」に振り回される女達のウラガワ
12月「出版業界の仕打ちのウラガワ」ほか
2016年1月「会えなかったけど気になる女たちのウラガワ
2月「接点がないのに気になる人たちのウラガワ
3月「嘘をつかずにいられない人たちのウラガワ
4月「春のおかしなお便りの数々のウラガワ

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2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ​/ソウルの新愛人のウラガワ​/風俗嬢の順位競争のウラガワ​/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ​/「大人の夏休みの日記」なウラガワ​/その道のプロな男たちのウラガワ​

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 人気アナウンサーである彼女は、私より十歳ほど下だ。私からすればまだまだ若いなぁとなるが、世間一般的には熟女のくくりに入れられてしまうのだろう。

 そんな彼女が、最近の若い人にはびっくりさせられます、などとため息をつくのだ。
「街なかでファンです~って声かけてきた、学生らしき男の子がいたんですね。アラありがとう、とニッコリ愛想笑いしたら」
 いきなり、ラインのID教えてください、といわれたそうだ。

「えっ、いきなり見知らぬ人にそんなの教えられないわ、といったら、その子はこういいました。ものすごーく不服そうに不思議そうに。
『電話番号や住所を聞いてるんじゃないですよ。ラインですよ』
 あの~、ラインってそんなに教えるハードルが低いものなんでしょうか。私からは、まさに携帯の番号を教えるくらいのハードル設定にしてますが」

 うーむ、私もちょっとびっくりしてしまった。いくらファンでも、ただテレビで見るしかない有名人、しかもおそらく彼の母親とそんな変わりない年上の人に、いきなりそんな要求をするものか。

「だけど彼の中では、電話番号や住所は聞かないっていうのが、ぼくは常識をわきまえている、礼儀を知っている、となってるらしいんですよ」

 彼女は後から、その男の子と同世代の子達にこれってどうなのと聞いてみたそうだ。すると答えはだいたい半々に分かれたという。

「そんなのただの常識知らずです、自宅に招いてもいいくらいの人でなきゃラインもしませんと答える、私と感覚がほぼ同じ子もいました。

 ラインなら飲み屋で意気投合した人や、よく知らないけどID検索で来た友達の友達くらいの子なら承認しますよ、って子や、電話番号よりラインのIDの方がはるかに気楽に聞けますっていう、その男の子側の子達も確かにいたんですよ」

 私はやっぱり、彼女側だ。直接的に面識と信用がある、もしくは親しい人の紹介でグループラインに、というのでなければIDは教えない。

 しかし考えてみれば私が高校生の頃あたりまでは、個人情報の取り扱いがものすごく大らかであり、雑であったのも確かだ。それこそ、今どきの若者は驚くのではないか。

 高校生の頃、少女小説誌で投稿作が入選したときは、何の連絡も確認もなくいきなり誌面に住所を番地まですべて出された。

 その頃同じく愛読していた芸能雑誌には有名人の自宅写真も住所もばっちり載っていた。文通相手や物の売買などを求めるコーナーには、みんな本名と自宅住所、年齢に職業などの個人情報が出まくりだった。

 当時の読者はそれをとんでもないこととも思わず、私も小説が掲載された後に知らない人達から手紙が来たらうれしかったし、芸能人の自宅がわかっても押しかける人もあまりいなかったのだ。

 パソコンが普及してなかった頃、小説のために図書館で郷土の古い新聞を調べていたら、加害者は未成年であっても実名を書かれていたのも思い出す。

 それを女子アナにいきなりラインIDを聞いてきた学生に話したら、ありえないっすね、などとびっくりされるのかもしれない。

 前置きが長くなったが、今月は個人情報の取り扱いに関してではなく、人と人との距離の取り方、プライバシーの考え方の相違をテーマにしてみたい。

 日本と諸外国では確かにそれらは違うし、同じ国であっても地域や時代によって違ってくる。年齢や環境も関係なく、個人の考えや感じ方もいろいろだ。

 しかし、あきらかに「それはちょっと変な付き合い方では……」「距離感が変だ、おかしい」と私だけでなく、多くの人を困惑させる人がいる。

 例によってその人を特定されないよう、ここに書くのは基本的にすべて仮名にし、人となりやその背景をちょっと変えさせてもらう。

 ──青森ジュリアは今もそこそこ知られたセクシー系女優であるが、三十路も過ぎて四十路も近くなると、あまりテレビには出られなくなってしまった。

 もともと演技を評価されていたのではなく、歌やトークもイマイチ。いわゆるパパと呼ぶ男達も、社会的地位や収入などが昔に比べればどんどん下がってきている。