オンナのウラガワ ~名器大作戦~
第102回 春のおかしなお便りの数々のウラガワ(3)


◆もくじ◆

・春のおかしなお便りの数々のウラガワ(2)

・最近の志麻子さん
 有吉反省会にヒョウ姿でひきつづき出演中
 ドラマ「侵略!ガルパンダZ」に出演中
 6/19(日)「やついフェス」にDJ岩井志麻子出演決定!
 4/29(金・祝)「オメ★コボシ34」@ロフトプラスワン 開催
 5/15(日)「オメ☆コボシ3」@ロフトプラスワンWEST 開催
 「韓流アフタヌーン~岩井志麻子のイイオトコ図鑑」次回は6/17(金)
 カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
 MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中

・著者プロフィール

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春になると届く、「ちょっと変なお便り」。
今号では、いま現在も進行中のエピソードをお届け。
桜田くん(仮名)が出演する番組で、いつも映りこんでくる「赤マントのおばさん」。
スケッチブックで掲げるメッセージの内容もエスカレート、どぎつい手紙も局や事務所に送ってくるようになって……。

バックナンバーはこちらから↓
http://ch.nicovideo.jp/iwaishimako/blomaga

2014年11月「「そんなプロもありか」な人達のウラガワ​
12月「「殺人者」たちから聞いたウラガワ
2015年1月「「大人の冬休みの日記」なウラガワ
2月「「大人の冬休みの日記のつづき」なウラガワ
3月「ベトナム愛人との旧正月のウラガワ
4月「春の喜怒哀楽のウラガワ
5月「韓国人夫の失踪届けを出したら……のウラガワ

6月「ホラー作家まわりの怪異のウラガワ
7月「異国の夏休みのウラガワ
8月「そろそろ怖い目に遭う予感のウラガワ
9月「秋風に謎めく過去のウラガワ
10月「人生の秋を生きる女達のウラガワ
11月「「結婚」に振り回される女達のウラガワ
12月「出版業界の仕打ちのウラガワ」ほか
2016年1月「会えなかったけど気になる女たちのウラガワ
2月「接点がないのに気になる人たちのウラガワ
3月「嘘をつかずにいられない人たちのウラガワ


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2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ​/ソウルの新愛人のウラガワ​/風俗嬢の順位競争のウラガワ​/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ​/「大人の夏休みの日記」なウラガワ​/その道のプロな男たちのウラガワ​

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 すでにどこも桜は咲いて、地方によってはもう散ったところもある。開花や見どころを伝える桜便りも、静かに終わりかけている。いい季節だ。

 しかし四月は、昨日は夏みたいだったのに今日は冬に逆戻り、といった気温の高低も大きく、環境も変わることが多いので、体も心も不調を訴える人が増えるのだ。

 木の芽時、という言葉もあるくらいだ。主にこれは、春に心に変調をきたした人を指す。私は年中おかしいともいわれるが、そんな私ですら「困ったな」と戸惑う、いわば狂い咲きの花のお便りを受け取るようになる。

 今月はそんな、ちょっと嫌な桜便りを紹介してきた。ラストに持ってくるのは、今現在も進行中で、正確には私が受け取った手紙の話ではない。だから人物を特定されないよう、いろいろと設定を変えさせてもらう。そこんとこ、ご了承ください。

 ──人気タレントの彼を、ここでは仮に桜田くんとしておく。桜田くんは西日本のあるテレビ局の人気番組に、週三回出ている。

 その番組は主演者が必ず三分ほどスタジオを出て、局の隣の公園に行ってトークするコーナーがある。そこは局の土地ではないので、一般の人達もいる。その中には、出演者達の後ろに回ってカメラに映り込もう、自分もテレビに出ようとする人もいる。

 局としてはそれも演出の一つで、阻止することではなかった。一応、スタッフが出演者の後ろに簡単な仕切りを作り、映りに来る人達もちゃんと心得ていて、その仕切りを乗り越えてまで前に出ようとしたり、出演者にさわろうとするような不埒な人はいない。

 そのうち、わざわざコスプレしたり着ぐるみ姿になったり、ちゃっかりテレビを使って個人的なメッセージを送ったり、店やイベントの宣伝をする人も出てきた。

 正規のポスターや凝ったボードなど持ってくる人もいるが、画用紙に手書きで『みぃちゃん合格おめでとう』とか、『テレビで見たといってくれたらドリンク一杯無料』などと書いているだけの人もいる。

 それらも名物の一つとなり、視聴者も「あのメイドコスプレの子、またいたね」「けっこう有名な芸人も、さりげなく一般人に混ざってて笑った」などと書きこむようにもなる。

 繰り返すが、出演者やスタッフに危害を加えようとか、生放送をぶち壊してやろうととんでもない行動に出るとか、そんな人はいなかった。仕切りなどないも同然、悪いことをやろうとすればいくらでも出きる状況で、誰もしなかったのだ。

 いわば、性善説によって成り立っているコーナーだった。だから、ちょっとあの女ヤバくないかなといわれるようになるまでには、結構時間がかかっていたそうだ。

 最初はただみんなと一緒に後ろに立っていただけの、その女。他の出演者には目もくれず、桜田くんだけを見ていると最初に気づいたのは、そして桜田くんがいる日にだけ現れて、桜田くん不在の日には現れないと、一番に指摘したのは誰だったのか。

 間違いなく、桜田くん本人ではなかった。はっきりいって、桜田くんは長らく彼女の存在すら気づいてなかった。最初のうち、彼女はただの地味な中年女でしかなかったからだ。

 いつからか、彼女は必ず赤いマントをまとって来るようになった。ネットでも、「あの赤マントのおばさん、今日もいた」といわれるようになっていく。

 それから、マジックでメッセージを書いたスケッチブックを持ってくるようにもなった。
「桜田くん、お誕生日おめでとう」「桜田くん、新曲のCDいいね」