2015年1月から、株式会社ビデオリサーチインタラクティブ社のご協力により、スマートフォンにおける「アプリ集計速報」を定期的にレポートすることになりました。久々のブログ復活ですが、これからは毎週、さまざまな角度からアプリの利用状況をご紹介していく予定です。どうぞよろしくお願いいたします。
なお、本調査は、2014年12月時点でAndroidアプリ(電池節約アプリ)をインストールしている約5万人を対象に、Androidアプリの接触状況データを集計したものです。iOSは調査対象外となっている点にご注意ください。今回は初回のため、この「アプリ集計速報」の調査方法を最初にご紹介します。
アプリ集計速報 調査方法
■ データ提供元について
株式会社ビデオリサーチインタラクティブ「Cloudish for Android Apps」
■ 調査の概要について
外部企業が作成したAndroidアプリ(電池節約アプリ)をインストールしている約5万人を対象
■ 取得しているデータについて
当該アプリのインストール者におけるAndroidアプリ接触状況データ
・独自に発番したユーザーID、性別、年齢
・保有アプリ名、起動したアプリ名と日時、インストール/アンインストールしたアプリ名と日時
■ 性年代によるバイアス補正について
当該アプリの利用者の偏り(男女比が約1:3、若年層が多い)を補正するために、日本のAndroid利用者にあわせた割合でバイアス補正を実施
■ 個人情報保護について
当データは、ビデオリサーチインタラクティブ社とマイクロソフト社の提携サービス「Cloudish」から提供されたもので、総務省の個人情報保護ガイドラインに準拠している。同サービスの概要から抜粋した個人情報保護に関する取り扱いは以下の通りである。
「当データの収集にあたっては、総務省の個人情報保護ガイドラインに準拠し、対象者にイラストつきで丁寧にデータの利用方法を説明した上で、データ取得の許諾をいただいています。また、取得されたデータはマイクロソフト社Windows Azureに蓄積されていますが、その際には独自発行したIDで管理しており、個人を特定できるデータは含まれていません」
アプリ集計速報 用語解説
調査結果に入る前に、この記事において統一して利用する用語について定義しておきたい。なお、用語ごとに紹介している数値は、2014年12月におけるLINEアプリのものだ。
■ アプリのアクセスに関するデータ
・ 所持率: 87.6% (インストールされてる人の割合)
・ 利用率: 83.4% (月に一度でも起動した人の割合。所持率 * MAU率)
・ MAU率: 95.3% (アプリ所持者のうち、月に一度以上起動した人の割合)
・ DAU率: 72.0% (アプリ所持者のうち、日に一度以上起動した人の割合)
・ 日起動回数: 17.7回 (1日にアプリを起動する回数の平均値)
■ アプリの「インストール/アンインストール」に関するデータ
・ 導入率: 2.03% (その月にアプリをインストールした人の割合)
・ 削除率: 0.60% (その月にアプリをアンインストールした人の割合)
・ 削除/導入比: 29.5% (削除率 / 導入率)
・ 導入数前月比: 100.2% (月インストール数の対前月比)
1. 定番アプリ・ランキング (利用率 トップ20)
当記事では、毎月20日前後に、前月に収集されたアクセスデータをもとに、 3つのアプリ・ランキングをご紹介したい。まず最初のランキングは「定番アプリ・ランキング」だ。
この記事において「定番アプリ」とは「利用率」すなわち「約5万人の標本データのうち、月に一度でも起動したことのある利用者の割合」が多いアプリを指している。
これが、Andoirdアプリの中で、もっとも利用されていると推定されるアプリのランキングで、数値は2014年12月におけるアプリの利用率をあらわしている。さらに「定番アプリ」の詳細なデータを以下の表にまとめた。こちらはトップ20のランキングだ。
定番アプリ・ランキング20
この表の数値は用語解説にあるものですが、LINEを例にとって、簡単に説明したい。
まず「所持率」があらわしているものは、約5万人のうち、アプリとして所有している人の割合だ。LINEの場合は、約87.6%の人が持っていると推測される。「利用率」は、約5万人のうち、アプリを一ヶ月に一度以上起動したことのある人の割合 を示している。LINEの場合、83.4%の人が毎月使っているということだ。
続いて「MAU率 (Monthly Active Users)」は、月末の時点でそのアプリを所持している人のうち、一ヶ月で一度以上起動したことのある人を割合 を示している。LINEの場合は、所持している人のうち、95.3%の人がその月に使ったということで、関係式でいうと「利用率 = 所持率 × MAU率」となります。利用率とMAU率は混同しやすいので注意したい。「DAU率 (Daily Active Users)」は、月末時点でそのアプリを所持している人のうち、一日一回以上起動している人の割合 を示している。LINEの場合は、72.0%の人が毎日利用していると推測される。
最後の「順位(前月比)」は、前月(2014年11月)と比較した、定番アプリ・ランキングにおける順位変動 を示したもので、上昇アプリを緑、下降アプリを赤とし、右側の数字が変動順位をあらわしたものだ。
なお、Andoidアプリのみを対象としているので、Googleや携帯キャリア、携帯メーカーのアプリなど、スマートフォンに標準搭載されるアプリの所持率は非常に高くなっている点に注意したい。
2. 成長アプリ・ランキング (月間導入率 トップ20)
続いて「成長アプリ・ランキング」を紹介したい。この記事において「成長アプリ」とは「月間導入率」すなわち「約5万人の標本データのうち、その月にアプリをインストールした利用者の割合」が多いアプリを指している。
このランキングは、メジャーなAndoirdアプリの中で、著しくインストール率が高い、つまり成長力が強いと推定されるアプリのランキングをあらわしている。さらに「成長アプリ」の詳細なデータを以下の表にまとめた。こちらはトップ20のランキングだ。
成長アプリ・ランキング20
この「成長アプリ20」の中で「定番アプリ20」としてランクインしているのは、LINE、ディズニーツムツム、Twitter、LINE camera、Yahoo! JAPAN、Simeji、マクドナルド公式アプリの7本だ。中でも所持率が1%台の MusicHeart Q(無料で音楽聞き放題)、755(新世代トーク)、ブレイブフロンティア(RPGゲーム) がランクインしている点が注目される。ただし現在、MusicHeart Qは、Google Playにてアプリ非公開となっている。755は12月26日からAKB48を、ブレイブフロンティアは12月20日からアントニオ猪木を、それぞれフィーチャーしたCMが始まったことも影響しているだろう。以下のグラフは、両アプリの12月における日次の起動数だが、特に755は12月下旬から一気に起動数を伸ばしており、CM効果が非常に高かったことが推測できる。
3. 新興アプリ・ランキング (導入数前月比)
最後に「新興アプリ・ランキング」を紹介したい。この記事において「新興アプリ」とは「導入数の前月比」すなわち「当月(2014年12月)にアプリをインストールした利用者数を、前月(2014年11月)のそれと比較した割合」が多いアプリを指している。 ただし、データの変動性や信頼性を考慮して「導入数で20件未満のアプリは対象外」としている。
このランキングは、Andoirdアプリの中で、前月と比較して著しくインストール率が高いアプリのランキングであり、その多くは、これからメジャーを狙うルーキーアプリであることが多い。さらに「新興アプリ」の詳細なデータを以下の表にまとめた。こちらはトップ20のランキングだ。
新興アプリ・ランキング20
表内の数値項目としては、MAU数、DAU数のかわりに、導入数(当月にアプリをインストールした利用者数)と削除数(当月にアプリをアンインストールした利用者数)を組み入れている。
この「新興アプリ20」の中で「成長アプリ20」としてランクインしているのは、buzzHOME、755、ブレイブフロンティアの3本のみだ。注目の755を押さえてトップに輝いたのは、バンダイナムコゲームスとKLabが共同開発したテイルズ オブ アスタリアだった。このRPGゲームは、12月18日から、新章の配信を開始してする。それに伴い、同タイトル初CMを開始した他、ゲーム内外においてプレゼントイベントを開催しており、その告知効果だと推測される。
おわりに
以上が、第一回目の「アプリ集計速報 〜 全カテゴリ編」でした。いかがでしたでしょうか?これからは、カテゴリごとに「SNS&通信編」「メディア編」「ゲーム編」「ツールその他編」と分類し、各分野に深堀りした分析結果を順次お届けする予定です。また、今後は定点調査として、継続して記事化する予定です。本記事の内容が、皆様の業務の一助となれば幸いです。
ご参考までですが、MM総研より発表された「スマーフォン契約数」に関する調査結果によると、2014年9月時点のスマートフォン契約者数は6248万件と推定されております。当調査はあくまで「電源節約アプリを利用する約5万人のAndroidユーザー」を対象としたものですが、iPhone/Android双方に十分普及したアプリに対しては、MM総研の数値を参考値として、アバウトな普及状況を仮説するのも面白いかもしれません。
この記事に関して、皆様から「こんなアプリを、こんな視点から見たい」などのご意見があれば、いただければ幸いです。この調査記事、また深堀りした分析調査などに関するお問い合わせは、弊社 ループス・コミュニケーションズ までお問い合わせくださいませ。記事を執筆している斉藤徹、アプリ分析調査を担当する関根健介、営業責任者である高萩克也、いずれかからご連絡させていただきます。
なお、この記事の元データは、株式会社ビデオリサーチインタラクティブ社から提供いただいています。「Cloudish」へのご質問、ご興味をお持ちの方は、こちらの 問い合わせ・お申込みページ よりお問い合わせくださいませ。
最後に、当記事は、株式会社ループス・コミュニケーションズが、株式会社ビデオリサーチインタラクティブ社からの同意を得た上で、アプリ利用データを独自に分析し、記事化したものです。調査内容を開示・転載する際には、データ提供元にご確認いただけますよう、よろしくお願いいたします。
by 斉藤 徹