先週の記事で、昨年10月クールのドラマのツイート分析についてレポートした。ドラマについてのツイートの中で「好意好感」「高揚興奮」「否定」の3種類の”感情”を含むものを抽出して比べてみたのだった。”感情分析”がどれくらいでき、そこから何がわかるかの実験だった。

 

この1月からのドラマについても、またトライしてみようと、まずは4作品をピックアップして、その第一話を見てみた。フジテレビ月曜9時の「ビブリア古書堂の事件手帖」、フジテレビ木曜10時の「最高の離婚」、NHK日曜8時の「八重の桜」、そしてTBS日曜9時の「とんび」。なぜこの4つを選んだかというと、筆者が観たからだ。たぶん最終話まで観ることになりそう。

 

まずこのクールで一押し的な作品がTBS「とんび」。感情分析の結果はこんなグラフになった。

「好意好感=18.8% 高揚興奮=13.4%、否定=6.0%」という、”好感型”となった。この作品は妻を亡くして男手ひとつで息子を育てる家族の物語。非常に心温まる感動的な題材を、高いクオリティでドラマ化している。それがこの高い好感度になったと言える。

 

ユニークなのが「最高の離婚」。グラフはこうなった。


「好意好感=14.3% 高揚興奮=17.1%、否定=4.8%」と、”興奮型”。前回の分析で、”興奮型”は「ドクターX」「勇者ヨシヒコ」「高校入試」のようなサスペンスやミステリーなどが多かった。「最高の離婚」は恋愛ドラマというかホームドラマというか。それが”興奮型”になったのは、それだけ”笑える”ということだろう。コミカルな要素が強いと、恋愛ドラマでもこうなるのだ。実際、この作品は身につまされるのに大笑いできるので個人的にも展開に期待している。

 

昨年の「平清盛」が視聴率的にふるわなかった大河ドラマだが、今年は「八重の桜」が良いスタートを切った。


「好意好感=11.8% 高揚興奮=9.0%、否定=3.4%」と、グラフとしてはおとなしいものとなった。大河ドラマはツイート数がケタ違いに多い。他は数千単位なのだが、「八重の桜・第一話」はなんと3万ツイート。だから単純に比べてはいけないのだろうか。

 

3種類のツイートを時間軸で追って、山ができているツイートを見てみた。

盛り上がっているのは八重の兄を演じる西島秀俊の場面、そして会津の若き殿様を演じる綾野剛のシーン。つまり「イケメン視聴」されているのだ。もちろんそれだけではなく、幼い頃の八重の子役が可愛らしいとか、魅力はふんだん。最後の方で「面白かった!次も見る!」と満足げなツイートも多かった。総合的にクオリティが高いのだが、「イケメン視聴」もこのドラマにとっては重要のようだ。

 

最後に、非常に特異なグラフになった「ビブリア古書堂の事件手帖」にふれる。


「好意好感=10.4% 高揚興奮=12.4%、否定=9.1%」つまり、”否定”が高い。他のドラマでは”否定”はあまり強く出ない。それは当然で、ネガティブなツイートをするならチャンネルを変えればいいのだ。ところが、この作品では否定的なことをつぶやき続けるのだ。

 

否定の内容は主に「原作と違う」というもの。とくに主演の剛力彩芽が原作とかけ離れていることに対するブーイング的なツイートが目立った。そして面白いことに、批判しながら視聴し続けるのだ。いわゆるDisられてる状態。

 

前回の分析でも「結婚しない」が否定がやや強く出た。だが比べると、かなり状況が違う。


「結婚しない」の場合、”否定”が8.3%と高いが、”好意好感”が16.6%とこっちも高い。”賛否両論”の状態だ。一方、「ビブリア古書堂」は”好意好感”も”高揚興奮”もそれぞれ10.4%、12.4%でさほど高くない。その結果、正三角形に近い特異な形になっている。

 

「結婚しない」は”否定”が徐々に減り、視聴率も下がらずに推移した。「ビブリア古書堂」の場合はどうなるのか。”否定”が徐々に減るのか。減らないままみんながDisりながら見続けるのか。それとも第二話で視聴率も下がってしまうのか。行く末が気になる。

 

ちなみに筆者は原作を知らないので、第一話を楽しんで視聴した。面白いと思ったけどなあ。原作が好きだと、どうしてもイメージが違うとかなんとか言いたくなるのはわかるけどね。


socialtv-lab

">by ソーシャルテレビラボ

RSS情報:http://media.looops.net/socialtv-lab/2013/01/24/biblia-jp/