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ループス直人です。

 

マクロミルが毎月行なっている「インターネット利用動向に関する定期調査」から、Skype、LINE、comm、カカオ、4種のコミュニケーションアプリに関する調査結果をご紹介いたします。

 

認知度の現状

まずは現状の認知度です。

 

調査主体はマクロミル、手法はインターネット調査でサンプル数は2127。日本国内の人口分布に合わせて割り付けられています。調査概要の詳細は文末を御覧ください。

 

個人的には、comm よりもやや遅れた12月12日からテレビCMが始まったカカオトークの認知度が思ったよりも高いという印象です。元々それなりに知られたサービスだったのか、テレビによって急拡大したのか。11月のデータがないのが非常に、非常に悔やまれます。大森さんに追加をお願いするのがあと3日早ければ・・・!

 

それはともかく、認知度に大きな差がある各サービスですがサービス開始からの期間が大きく違いますので考慮したいところです。参考までに上記のうちSkype・050 plusを除く3サービスの開始時期やユーザー数を比較した表をご紹介します。

 

参考 : モバイルコミュニケーションサービス比較

なんで Skypeと050 plusがないんだ!と思われるかと思いますが、別の仕事で作った資料だからです。ご容赦ください。ただ、ちょっと調べてみたところによると、 2008年にローンチしたSkypeは全世界での同時利用者数が4,500万人と過去最高を記録したとのことで、イメージとは裏腹に順調に利用者を増やしているようです。

 

050 plus は他のサービスとことなり純粋な通話アプリですので比較すること自体違和感があるかもしれません。Skype、LINE、comm、カカオトークを「無料通話アプリ」とくくることもあるため、一応加えています。

 

テレビCMの成果が可視化されるのは2013年以降か

前置きが長くなりましたが、調査時点でリリースから2ヶ月ほどである comm の認知度が、すでにカカオトークを上回っている点は特筆すべきでしょう。10億円規模と言われる、テレビCMを中心とした広告出稿の成果が現れていると考えられます。一方、やや遅れてカカオトークもテレビCMや都市部を中心としたOOHには相当注力していたという話が聞かれます。これらの成果が現れる2013年1月度調査でどのように各社の認知度が変化するのかに注目したいと思います。

 

 

時系列の推移

Skype、LINE以外は調査対象になってからの期間が短いため参考になりませんが、一応グラフ化したので貼っておきます。

 

こうして見ると、やはり comm  のグラフは上がり方の角度がいいですね。

 

同アプリは、今のところ利用者数を公開していませんが、パネルの半数近くが認知している状況がダウンロードや利用にどのようにリンクするのかという点は、マスを使った汎用的アプリビジネスの急拡大戦略に関して貴重なケーススタディになるのではないかと勝手に期待しています。まあ、中の人だけが知りうる情報なんでしょうけど。

 

 

アプリ利用状況・利用意向

続いて、アプリ利用状況・利用意向に関する設問の結果です。

 

LINEの認知度が思ったより低いと感じる方もいらっしゃるかと思いますが、インターネット調査という手法上10代のパネルが少ない点や、PCからの回答である点を考慮していただければと思います。

 

5サービス中、認知度ではトップだった Skype ですが、「利用している」と回答した人の割合はLINEに比べ2ポイント低いという結果になりました。一方「現在利用していないが、過去に利用していたことがある」人の割合は8.7%と高くなっています。

 

 

利用者数を推測してみる

認知度調査では大きく伸びていた comm ですが、国内利用者数は非公開となっておりわかりません。

 

マクロミルサンプル調査とLINE/commの利用者数を参考にちょっと邪推してみます。

 

12月調査時点でのLINE登録者数は3,600万人くらいだったと思います。アクティブユーザー数ではなく「登録者数」という言葉の響きから、前述の利用状況では「利用している」と「過去に利用していた」人の合算になると思いますので21.8%。カカオトークは2.8%なのでLINEの数字をベースに推計するとだいたい460万人。

 

・・・うーん、当時多分カカオ利用者は600万〜700万人くらいいたはずなのでかなり誤差が大きいかも。まあ、気にせず試算すると調査期間中の comm 利用者数は560万人くらい?カカオが少なめに出た誤差を考えると、年末時点で600万〜800万人くらいですかね。

 

comm の利用者数は、守安社長が2012年中に1,000万人を目指すという報道があり、その後達成したという話は聞かないことから、案外悪くない予測なのかもしれません。途中でFacebookのグラフ取り込み切れたのが、予想以上の影響を与えたのかな、なんて。

 

この辺りの話は「【マニア向け】DeNAの comm は先行するLINEとどう戦うか」という記事に掲載されえていますのでよろしければご参照ください。

 

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効果的に利用意向を生み出しているのはどのサービス?

将来性を占うという意味では、「利用してないが、今後利用してみたい」と回答したユーザーの数が参考になりそうです。そのサービスを名前までは知っているユーザーを母数として、利用意向を持っている回答の割合を見てみました。

 

 サービス名  サービスを認知している回答者における、利用意向の割合 Skype 19.6% LINE 21.1% comm 27.7% カカオトーク 23.9% 050 plus 22.0%

 

まあ、サンプル調査の一部の回答を更に加工してるので信ぴょう性は怪しいです。この数字が成長性を代表するかもしれないと真に受ければ comm がなかなか良い感じ、ということになりました。まあ、実際に利用している人が増えるほどこの割合も下がると思いますけど。それに、050 plus は知っている人こそ少ないものの、知っている人の利用意向は前向きだ、と捉えられるかもしれません。無料ではないので、ペニーギャップや潜在顧客の少なさを考慮する必要はあるでしょうが、効率的なチャネルを選んできちんとコンバージョンが出るならば、もっと認知獲得を頑張ったら・・、10億円かけちゃえば・・・、みたいな気もしてきます。(調べてみたら、050 plusもテレビCMやってたんですね)

 

ただ、そこはまあ、色々と事情もあるんでしょう。

 

終わりに 

昨年から注目していた comm ですが、今回推計された現状は同社の目標を下回るものでしょう。「【マニア向け】DeNAの comm は先行するLINEとどう戦うか」でも触れましたが、ネットワーク外部性による先行者優位は思ったより強かったのかもしれません。

 

気になる動きとしては、海外で先行リリースされた GREE Messenger です。国内のシェア獲得が芳しくない場合、DeNA・GREEの両社が消耗戦を避けてまだメッセージングアプリのデファクトスタンダードが確立していない国々にリソースを注力するということは十分考えられます。

 

カカオトークはアジアを優先するスタンスのようですが、スマホ普及率が日本より高く、新規サービスの衰勢も激しい欧米での展開がどうなるかは楽しみなところです。国内のモバイルコミュニケーションサービス関係者からは、「USはまだモバイルコミュニケーション市場というのがよくわかってないんじゃないか」「モバイルなら日本のベンダーが知り尽くしている」という声も聞かれます。

 

まあ、電話でも、ショートメッセージでも、なんでもいいんだと思います。スマホを起動した後、「世界で一番多く押されるアイコンはなんなのか」。まだまだしばらくは目が離せそうにありません。

  

 

「インターネット利用動向に関する定期調査」調査概要

【調査主体】マクロミル

【調査方法】 インターネット調査

【調査日時】 2012年12月19日(水)~2012年12月21日(金)

【調査対象】 15才~69才の男女 2,172人

【調査目的】インターネットの利用動向を時系列で捉える。

【調査項目】

・インターネットの利用機器・頻度・目的

・インターネットのサービス認知および利用状況

・利用しているインターネットサービス など

 


by 許 直人
RSS情報:http://media.looops.net/naoto/2013/01/24/communication-service-familiarity-2012-12/