前回の記事では良品計画さんのソーシャルメディア運用におけるテーマや気づいたことなど、さまざまなお話をお伺いしました。
後編となる今回の記事では、良品計画さんのオウンドディアである無印良品のウェブサイトの各コンテンツの立ち位置や、ソーシャルメディアとの絡め方についてのお話をお伺いしました。
良質なコンテンツを作るための非常に参考になるアドバイスもいただいたので、引き続きご一読いただけると幸いです。
■目次
1.ソーシャルメディアとオウンドメディアの関わりかた
1-1.ソーシャルメディア:コンテンツを自分ごと化してもらう
1-2.オウンドメディア:SNSの要素を盛り込む
2.ソーシャルIDをオウンドメディアに取り入れる
-ソーシャルID:顧客を知ることができる
3.良質なコンテンツの作り方(くらしの良品研究所より)
-企業の目標に沿った研究が良いコンテンツに
-泥臭くても実直に語ること
-商品・サービスには必ず伝えたいことがある
4.今後のSNS運用におけるカギ:お客様を可視化する
-MUJI passportの例
1.ソーシャルメディアとオウンドメディアの関わりかた
ガイアックス :
ソーシャルメディアとオウンドメディアのコンテンツとの絡め方について、なにか意識されていることはありますでしょうか?
良品計画 奥谷さん :
ソーシャルメディアは、個の時間が詰まっている場だと思っているので、みんなが「あいつ何やってんだろ」「あいつあんなことやってていいな」と思う場に、あまりガンガン出ていくのはやめておこう、と考えています。
あくまでもお客様に、うちのコンテンツを自分ごと化してもらえるように意識しています。
1-1.ソーシャルメディア:コンテンツを自分ごと化してもらう
コンテンツを自分ごと化してもらうためには、時事性や消費者の意識・流行はある程度知っておいた方が良いとは思います。
うちは流行などには乗っかりにくいブランドですが、今日は暑い・寒いだとか、母の日・食欲の秋・クリスマスといったことには対応できますから。
本当に自分が知りたいことを出せているかどうかがカギですね。とにかくソーシャルメディアではお客様に寄り添って、なるべく押し売りはせずに、有益な情報を提供するということが大事だと思います。
1-2.オウンドメディア:SNSの要素を盛り込む
ガイアックス :
くらしの良品研究所の位置づけはどういったイメージでしょうか?
良品計画 奥谷さん :
くらしの良品研究所は、厳密に言うとオウンドメディアの中のアーンドメディアという感じですね。
アーンドメディア(SNS)の要素を兼ね備えたくらしの良品研究所
くらしの良品研究所は自社メディア内のコミュニティであり、同時に自社メディアの信頼を得るメディアなので、アーンドメディアの要素も兼ね備えています。ですので、アーンドメディア(ソーシャルメディア)にコンテンツが流しやすいですね。
僕は常に、ソーシャルメディアでのアクティビティは、全部自社メディアに返してこなければ意味がないと思っています。店舗も自社メディアですから。
2.ソーシャルIDをオウンドメディアに取り入れる
良品計画 奥谷さん :
ソーシャルメディアとオウンドメディアの絡め方で一番大事なのは、お客様にソーシャルIDを引っ提げてオウンドメディアに入ってきてもらうことですね。
ソーシャルID:顧客を知ることができる
例えばmy MUJIの場合、お客様にはSNS経由でサインインしてもらって、商品にコメントを書き込むことができます。また、商品購入や店舗へチェックインなどをしてもらうとMUJI passport(※後述)にマイルが貯まる、といった特典を用意しています。
そうすると、僕たちの方にはお客様のソーシャルIDが入ってくるので、その人がどんな人で、どんなことが好きなのかがわかります。その情報を使って、購入前だけじゃなくて購入後も、オススメの商品を紹介するなどして関係を続けていくことができると考えています。
そういう意味で、オウンドメディアの中のアーンドメディアであるくらしの研究所は、ブランド理解に繋がるし、ネットストアは売り上げになるし、店舗情報は店舗に行ってくれるし、という構造になっています。
3.良質なコンテンツの作り方(くらしの良品研究所より)
ガイアックス :
くらしの良品研究所のコラムがどれもとても印象的ですが、こういったコンテンツを作るうえで意識していることやテーマはありますでしょうか?
良品計画 奥谷さん :
良品計画には、抽象的ですが「感じよいくらしをリーゾナブルに」という目標があります。
その目標に向かって、くらしの良品研究所ではライフスタイルを研究したりして発信した情報が、結果的にコンテンツになっている感じですね。
「伝えたいこと」を共感してもらう
例えば蚊帳の場合、合理的な機能が付いていたり、天然素材だったり、必ず商品にはなにかしらのワケ・こだわり・背景があるので、そういった伝えたいことを感度良く拾って読者に共感してもらうことが大切だと思います。
モノを売るということは、何か必ずこだわりやワケがあるはずなので、そういったものを企業が一方的に出すのではなく、共感される形で出せるものが良いコンテンツだと思います。
泥臭くても実直に語ること
あとは、泥臭くても実直に語ることをコンテンツを紹介する時に意識しています。
チラシみたいなカッコイイ写真も良いですけど、共感してもらえるように実直に出す、ということも大事だと思いますね。
コンテンツはどこにでもある
コンテンツマーケティングについて相談されることが多い奥谷さんから、こんなお話も聞かせていただくことができました。
よく「コンテンツがない」と相談されることがありますが、モノを売っている以上、伝えたいことは必ず何かあって、それがコンテンツになるはずです。
例えば家電業界のお話。とある家電屋さんは、おじいさんおばあさんがメインのお客様で、ポイント制度もしっかりやっていて、固定客がついている。だけど、値段が圧倒的に安いわけではない。
そのかわり、彼らは例えばおじいさんたちが困った時に配線を直しにきたり、そういうサポートをしっかりやる。じゃあそれがコンテンツになるじゃないですか。
売っているモノは他と同じでも、そこに違いがある。だったらそこをコンテンツとしてSNSでも全面に出していけば良いと思います。
4.今後のSNS運用におけるカギ:お客様を可視化する
ガイアックス :
抽象的な話になってしまいますが、今後SNSやマーケティングのあり方は、どういった風になっていくと思いますか?また、どうなっていったらいいなと考えていますか?
良品計画 奥谷さん :
やっぱりこれからの時代、顧客・お客様の事を可視化して、お客様の事をよくわかって、情報発信していったりモノを買っていってもらうという事が必要になってくると思います。
そういう意味で今良品計画は、MUJI passportというアプリを作っています。
MUJI passportの例
MUJI passportは商品購入や店舗へのチェックインでマイルがたまったり、クーポンを入手できるスマホ用アプリで、MUJI passportのIDと紐づけられるのは、MUJI.netメンバー情報・ソーシャルアカウント・MUJI Card会員情報のいずれかになっています。
最近メルマガに登録してくれる人が減っていますが、MUJI passportとソーシャルIDと紐づけることで、メルマガに登録しなくてもいいね!をして買い物に来てくれた人のことを知ることができます。
そうすることで、購入履歴などの顧客データをしっかり取って、お客様のことをよく知って、お客様にとって一番良い情報をしっかり出していくことができるようになります。
買い物をしてくれた地点で関係が終わるのではなく、買い物をしてくれた後も関係が続いていくように。お客様との時間・関係性を、マーケティングを通じて作っていくことが重要になると思います。
奥谷さんのオウンドメディアに対する考えまとめ
- ソーシャルメディアはコンテンツを自分ごと化してもらう場
- オウンドメディアにもアーンドメディア的要素を入れる
- ソーシャルIDをオウンドメディアに取り入れることが大事
- 企業の目標に沿って作った商品が良質なコンテンツになる
- コンテンツはありのままに、共感してもらえるように出す
- 今後はお客様を可視化して商品購入後も関係を続けていくことが重要
以上、良品計画さんへのインタビューを基に、成功するソーシャルメディア・オウンドメディア活用法をご紹介しました。奥谷さん、ありがとうございました。
※元記事 :http://gaiax-socialmedialab.jp/socialmedia/258
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