残業をするのは能力が低い証拠だ。結果を出す人程それぞれのタスクに費やす時間が少ない。責任のあるポジションになればなるほど休暇を多く取る。これらはアメリカ職場で常識とされている考え方である。うちの会社でも通常19時以降は誰もオフィスに居ない事に驚かれる事が多い。

 

基本的に残業文化の無いアメリカでは、仕事に対する効率化の追求は会社レベルでも、従業員レベルでもとことん求められる。特にタスクの種類が多いマネージャークラスになると、仕事のクオリティと共にスピードが一つの評価対象になる。そして、デキル人は決して「忙しい」と言わないのが日米で共通した認識だろう。彼らがそういわないのには、卓越したタイムマネージメントテクニックが備わっているからだ。

 

自分もCEOという立場から、多種多様なタスクを毎日こなさなくてはならない。そこで日々心がけている時間の使い方と仕事の進め方をご簡単に紹介したい。自分としてもまだまだ苦手なタイムマネージメントであるが、時間を上手く活用し、ワークライフバランスの取れた豊かな生活を送る事を目標にしたい。

 

 

忙しい人の為のタイムマネージメント方法

1. 一日の始まりは簡単ですぐに終わるタスクから始める

数あるタスクのうちまず最初に手を付けるのはごく簡単ですぐに終わるもの。あまり重要なタスクでなくても、幾つかこなして行くうちにその達成感から気分がノッて来て、一日の作業効率がアップする。仕事のウォームアップとしてもおススメ。

 

2. 完璧を目指さずにとりあえず始めてみる

仕事の基本は完璧を目指さずに少しずつでもよいから進める。気が重いと思われる仕事でも ”とりあえずこれだけやってみよう” と思って少しだけでも始めてみると以外とさくさく進むと事も多い。完成度よりも締め切りを優先し、多少不完全でもスケジュール通りにリリースしてしまおう。Doing is better than perfect.

 

3. 限られた時間の方が良い仕事ができる。重要なのは集中力

余裕のあるスケジュールよりも、かなりタイトな締め切りを目の前にした方が以外に良い仕事ができるケースがある。時間に制限があった方が集中力が格段にアップし、速いスピードでクオリティの高い仕事ができる。ダラダラと長時間仕事をする事が必ずしも良い結果を生むとは限らない。重要なのは短時間でどれだけフォーカス出来るか。

 

4. スケジュールを入れるときは一日4-5時間を目処に

打ち合わせや外回り、デスクワーク等、一日のスケジューリングを行う際にはキツキツにはせずに、最大でも4-5時間程度に抑え、3-4時間は急に重要な予定が入った際の為の予備として空けておく事。もし入らなかった場合は他のタスクを前倒しで行う事が出来るので気分が良くなる。

 

5. 重要な事柄がある場合は、なるべく一日の早い時間に入れる

大切な打ち合わせなど、重要なスケジュールは午前中などのなるべく早い時間に設定する。一日の後半に入れてしまうと、それまでの時間はそればかりが気になって、集中力が下がり良い仕事が出来なくなり、時間を無駄にしてしまう。

 

6. 最もインパクトの大きい事柄を認識しておく

常に一日のうちに”これだけ”は行わなければいけない最もインパクトの大きい仕事内容を理解しておく。いざとなったら他の予定を全てキャンセルしてでも、それだけにフォーカスする覚悟で。

 

7. 集中出来る時間は日によって異なる

どんな人でも気分がノる時とノらない時で一日で集中出来る合計時間が日によって違う。仕事モードで15時間働いてもまだまだいける時もあれば、ほとんど仕事が手に着かないときもあってOK. 気分がのっている時に集中し、のらないときは無理に仕事をせずにリラックスする。

 

8. 驚く程に効果のあるキャンドルテクニック

もし環境的に可能であれば、タスクが始まる時に短めのキャンドルに火をつけ、燃え尽きてしまう前にタスクを終わらせる。こうすることで、時間は流れているのではなく、どんどん無くなっていくという事が視覚的に実感出来るので、やってみると驚く程に集中力がアップするのが分かる。加えて、アロマキャンドルにすればリラックス効果も望めるので一石二鳥。

 

9. 大きな仕事は細かなタスクに分け、それぞれに締め切りを設定する

全体スケジュールが長く、大きめの仕事に気後れしてしまう事もある。そんな時はその中でも細かなタスクに分けそれぞれに締め切りを設定し、毎日少しでも進める。そうでもしないといつまでたっても終わらない事態になってしまう。

 

10. やる事リストを作成した時点でタスクの半分は完了している

実は仕事が進まない多くの理由は仕事を始めていないからである。そんな時はまずはやる事をリストアップするTo doリストの作成を行う。リストの作成が終わった時点で気持ちの整理が付くのでタスクの半分は完了していると思っても良い。

 

11. To doには必ず優先順位をつけ、相手に関連する事柄を先に片付ける

To doリストを作成する際にはタスクの名前と同時に優先順位を必ず設定する。そして自分以外の人や外部ファクターが関わる事項をなるべく早めに片付ける。そして、お知らせ機能付きのTo doリストアプリを活用する事をおススメする。代表的なTo doリストアプリは、any.do, ChatWork, Astrid, Todoist, Remember the Milk, Toodledo, Wunderlist, Workflowy, Gtasks, OminiFocusなど。その他のTo doリストアプリのリストはこちら

 

12. 一日のタスクは前日の終わりに設定する

タスクリストやスケジュールを設定する場合は、前日の仕事の終わる頃、もしくは寝る前に行う。これにより、寝てる間も無意識のうちに頭の中で翌日のタスクが整理され、翌日の作業効率がアップする。

 

13. それぞれのタスクに費やした時間を記録する

タスクが無事終了した後でも、何にどのくらいの時間を費やしたかのタイムログを取っておく事を習慣づけておく事で、次回からのタイムマネージメントに役立てやすくなる。これに関してもWebサービスやモバイルアプリで手軽に出来る。オススメのサービスはToggl.

 

14. 重要だが緊急性の低いタスクにフォーカスする事を意識する

とある研究によると、下記のダイアグラムで見られるようにタスクを重要度と緊急性で4つのカテゴリーに分けた場合、最も仕事のできる人は、A>B>C>Dの順番で優先順位を設定し、常にエリア1の”重要だが緊急性の低い”タスクをこなす事にフォーカスしている事が分かった。これにより、重要で緊急性が高いタスクを作らない事で、いざその緊急事項が現れた時に動きやすいのが理由。

15. タスクが終わるごとに短時間好きな事をする

ついついFacebookやTwitter、ネットサーフィンなどを行ってしまい、仕事が手に付かない場合がある。そんな時はそれらをご褒美としてタスクが一つ終わるごとに短時間だけ好きな事をする時間を自分にあたえ、集中力を高める。この方法をアメリカではPomodoro (トマト) 方式と呼ばれ、25分間仕事をしたら、5分間の自由時間を設ける。ちなみに、トマトは元々冷蔵庫に張るトマトの形をしたマグネット式タイマーが由来。

 

16. タスクと締め切り設定はSMARTコンセプトを活用する

それぞれのタスクにゴール設定をする場合は以下のSMARTの項目を意識して行う:

  • S-Specific (具体的)
  • M-Measurable (計測可能)
  • A-Actionable (行動可能)
  • R-Realistic (現実的)
  • T-Time-based (締め切り重視)

 

17. 結局マルチタスクは不可能

仕事ができる人=マルチタスクが上手、というイメージがあるが、実はマルチタスクは不可能だという事が実証されている。タスクが複数ある場合は、時間を区切ってそれぞれの一つずつのタスクに集中する事で、短時間ですべてを終わらせる事が出来る。逆に全てのタスクをいっぺんに行ってしまうと、集中力が散漫になりいつまで経っても終わらない。

 

18. 単純作業と頭脳労働は分けて行う

タスクの種類をあまり頭を使わない単純作業と頭脳労働に分ける。同じ種類のタスクをまとめ、同時間に脳の同じ部分を使う事で集中力と能率をアップさせる事が出来る。右脳と左脳の使い分けも同様。

 

19. 同じ日にコンテキストの同じタスク内容をこなす

外回り、デスク作業、会議、戦略立案、製作、事務作業、財務などコンテキストの違う仕事はカテゴリー分けし、同じもの同じ日にまとめて行い、気持ちのモード設定をする事で効率をアップさせる。

 例) 営業は全て火曜日にまとめ、金曜日は財務関係を片付ける。

 

20. 自分以外の人が行った場合でも80点以上の場合は仕事を振る

自分の仕事を他のスタッフに振った場合、自分が行った場合と同じかそれより良い仕事ができるケースは少ない。でも全て自分でやるわけにはいかない。そんな時は、他のスタッフが行った場合でも80%程度のクオリティーで仕事がこなせると思ったものは、すべて振ってしまおう。仕事における合格点は80点以上が基準。

 

21. 自分の時間は有限であり、貴重である事を常に意識する

人生には限りがある。自分の時間も有限である。その事を意識し、一分一秒を大切に使う。他の人の人生を生きる時間は無い。

 

22. 仕事のペースを一定に保てばある程度のハードワークもこなせる

日々の生活のリズムを安定させ仕事のペースも保つ事が出来れば、速いスピードでの仕事でも高い集中力が身に付き、出来る様になる。逆に不規則な生活と、不安定な仕事のペースが一番効率が落ちる原因となる。

 

23. 仕事が終わる時には少しやり足りない、と感じるぐらいが良い

どんなに忙しい時でも、仕事のやりすぎは禁物。燃え尽きてしまう原因になる。一日の仕事が終わる時は少し早めに切り上げ、”すこしやりたりない” ぐらいの気持ちの方がその後も長いスパンで良い仕事ができる。

 

24. やりたく無い仕事は終了日を設定する

誰でもやりたく無いと思う仕事はある。その場合は後回しにするのではなく気が進まない仕事が全て終わるスケジュールを設定する事で、少し気持ちが楽になる。

 

25. たまには何も考えないでリラックスできる時間を無理にでもつくる

インターネットとテクノロジーの進化で、仕事の事を全く考えない環境に身を置く事がかなり難しくなってきている。でも心のリフレッシュは必要。そんなあなたは、ネットもWiFiもスマホもテレビもゲームも無い無人島に行ってみる事をお勧めする。

 

 

筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.

 


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