「LINE@」ビジネスアカウントとSNS活用によって、オウンドメディアの活性化と、O2O施策において高い実績を持つファッションブランド「LIP SERVICE(リップサービス)」さん。
前回はLINE@を中心に、その導入背景とLINE@運用で得られた効果についてお話を伺いました。(前回の記事はコチラ)
続く今回の後編では、実際に店舗とどういった連携でO2O効果を得られているのか、その運用体制の裏側と、実際のSNS運用ノウハウをご紹介します。
目次
【前編】前編はコチラへ
1.ファッションブランドにおけるSNS施策の背景とは?
2.SNS施策を飛び道具としてオウンドメディアにファンを集約する
3.LINE@ 驚きのO2O効果!1週間で売上150%増
【後編】今回はここから
4.LINE@活用成功事例-運用方法と実態を公開
5.経験で得た学びを活かし運用のノウハウ化を目指す
お話を伺った方
株式会社クレッジ
マーケティング・EC事業部
部長 川添隆さん
WEBプロモーション担当 荒井愛さん
(ATOMICBOXXディレクター 鹿内明日香さん)
4.LINE@活用成功事例-運用方法と実態を公開
ガイアックス :
LINE@アカウントを開設していから、わずか1ヵ月後に友だち数1万を達成していますね。
1回目に実施した50%オフのセール告知が効果的だったとのことですが、そういったキャンペーン施策はどういった内容ですか?また、その効果を教えてください。
クレッジ 川添さん :
まず1回目の50%オフセール告知以降、急速的に友だちの母数を得てから、その後は反応を見ながら施策に取り組みました。
クーポンや入荷・キャンペーン情報を、LINE@のPRページ(ランディングページ)で届けるのか、ダイレクトにメッセージに載せるのか、という2つのアプローチを施策によって使い分けるのが効果的なのかと考えています。
例えば、LINE@のPRページの開封率は50%ですが、そこに掲載したリンクのクリック率はさらに半数以下に減ります。
PRページとダイレクトなメッセージの使い分けをするとともに、PRページを使用する場合は、サムネイル画像に力を入れるなど工夫をしています。
自動返信機能でクーポン配布-ECサイトへの誘導も
LINE@の自動返信機能を利用して20%オフのクーポンを配布したときは、高いリーチ率が貢献して、新規ユーザーのクーポン使用率は20%とかなり高い効果がありました。
自動返信でクーポンを配布するという施策は、他の企業アカウントではまだやっているところは少ないと思います。
LINE@の投稿タイミングにも戦略があって、メルマガでも同様にセールなどイベントの前日18~21時に配信するようにしています。
事前告知を見ていただくには、前日の帰宅時間帯が最もクリック率が良く、さらに購買意欲を持ったユーザーはECサイトへ流れていくという相乗効果を狙っています。
店舗と連携してO2Oを目指す
重要なのは、店舗だけのキャンペーンではなく、同時にECサイトでも適応できる体制を常に作っておくという点です。
そうすることで、ユーザーは実店舗もECも自由に選択ができます。
WEBやECは場所も時間も選ばないので、ユーザーに届けたいキャンペーン情報が確実に届くようになり、店舗にも誘導できてO2Oが可能になります。
また、LINE@クーポンの開封率25~50%というのは、実績のあるメルマガで配信するクーポン開封率以上の数値です。開封する25~50%のユーザーのうち約10~20%がクーポンを使用していると見ています。
店舗との連携体制が功を奏してか、ECサイトと店舗の実売上の相関や、店舗スタッフの反応をきくとO2Oの効果は確かにあると言えますね。
ガイアックス :
各SNSとLINE@の運用体制や投稿内容など、具体的な運用方法について教えていただけますか?
クレッジ 荒井さん :
投稿の文章を考えたり投稿するのは、店舗スタッフとして実際にお客様と触れてきた経験を活かして、私(荒井さん)が担当しています。
投稿内容や文章のテイストは、各メディア別にツールのシステム特性を踏まえて変えています。
例えば、Facebookならエンゲージメントを大事にしたいので商品訴求は弱い表現にしています。Facebookの運用は画像が命と考えていて、投稿頻度は1日1回です。
FacebookはOne to Oneで情報を見せにいくというスタンスで、ブランドコミュニケーションの一環と捉えています。
LINE@は絵文字を使うなどして、短いメッセージでもより親近感のあるテイストの文章にしています。
商品のPRも気軽に投稿し、見てもらいやすい雰囲気作りをしています。ファーストビューでサムネイル画像が十分に表示されるように画像には力を入れています。
Twitterは、即時性・鮮度・頻度を大事にしています。投稿がどんどん埋もれたり文字数が限定されるので、疑問形の文章を投げてレスポンスを促したり、画像を投稿するなど目を引くようにしています。
メルマガも同様に埋もれやすいのですが、商品訴求を高くしているためメリットのある情報であることが分かる表現をしています。
店舗のようにユーザーと接点を持てるように
ブログには注力してきているのもあって、ユーザーがブログを通じて店舗と同様に接していただいている傾向もあります。
ECサイトにではなくブログのコメント欄に問い合わせが多いというのは、ブログやSNSを使うことでユーザーとの距離が近くなっているという証拠なのかなと思います。
情報を発信している私(荒井さん)に会いに店舗に来てくださるお客様もいらっしゃるほど、SNSを使ってお客様との距離感を常に近づけておくのは大切ですね。
返信はすぐに返さないと意味がない
キャンペーンなどでファン・友だちに新規登録してくれたユーザーに対しては特に、メリットをすぐ返すということも大事に考えています。
そこに通じますが、SNSの運用のポイントの1つに返信はすぐに返すという点があります。
SNSを含むソーシャルメディアの特徴は、即時性とインタラクティブだと捉えています。SNSは気軽にコミュニケーションができますが、即時性のある対応をしないと意味がないと思っています。
やはり、相手からすぐに返信が返ってくると嬉しいと思いますし、そうしたユーザーとのやりとりを大切にしたいと思っています。その取り組みが、リピーターの獲得やブランドロイヤルティの向上につながれば嬉しいですね。
ガイアックス :
画像の撮り方・使い方にポイントがあるように思いますが、何か工夫はありますか?
クレッジ 荒井さん :
撮影は社内で行っていて、ECサイト用と投稿用と撮影方法は使い分けています。
LINE@・SNS投稿用の画像はスマホで撮影した質感のほうが、リアル感があってユーザーの反応が良いんです。
実際に私自身が服を合わせて、スマホで自分を撮影した画像をよく使います。ユーザーに身近なアプリを使って、4コマなどに画像加工などもします。
運用担当である荒井さんが実際にモデルを務めることでユーザーは親近感を持つ
Facebookでは、オフショットのラフで楽しそうな裏側の雰囲気など、とにかく身近な感覚の投稿に人気があります。
メルマガで配信する画像はカタログやECサイト用の画像なので親近感よりもブランドイメージや商品訴求が強くなっている一方、SNSではブランドとしてのリアルな表現や身近な感覚もリアルタイムで見せるというのがポイントですね。
ガイアックス :
投稿頻度が比較的高い運用になっていますね。投稿ネタ・情報に困ることはありませんか?
クレッジ 川添さん :
アパレル業界の中でもいわゆるガールズマーケットならではの部分もありますが、実は投稿ネタには困らず、むしろ選定に困るほどです。
毎週、新作や再入荷、キャンペーン情報があり、回転が速いのでコンテンツ量は多いんです。
昨年あたりからメルマガ・SNSの反応、日ごろのお問い合わせなどから気付いたのですが、実は自分たちが思っている以上に、ユーザーは商品・在庫情報を求めているということ。
そこに気付くまでは、「商品のPRはおしつけがましいのでは」とSNSの投稿やメルマガ配信回数を多くすることに遠慮があったのですが、実はこれが強力なコンテンツになり、お客様のメリットになるのだと分かりました。
これをやらないということは、そのニーズを無駄にしてしまうため、積極的に商品情報を提供していくようになりました。
EC独自でブランドイメージを伝える
ガイアックス :
紙媒体を利用したプロモーション施策には取り組んでいますか?
クレッジ 川添さん :
ファッション雑誌はプロモーションの主軸ですし、カタログやフリーペーパーは、年間でシーズンのタイミングを見て店頭・ECサイト上で配布しています。
顧客を獲得するための受け皿は広く持っていたいですし、地方では雑誌のほうがリーチしやすいため、今のところ紙媒体はプロモーションとして欠かせません。
紙面のほうがブランドイメージや雰囲気が伝わりますし、特定の商品訴求がしっかりできるという強みがあります。ただ昨今は、お客様が紙媒体からすぐに店頭に流れていきづらく、ほんどのお客様はWEBで先に情報収集をされる傾向が強いのではないでしょうか。
以前は、ブランドイメージにECサイトのデザインを合わせることを優先していましたが、最近では紙媒体からWEBを経由して流れてくるお客様を意識して買いやすい見せ方を整えつつ、EC事業が独自の軸をもって、ブランドイメージを伝えるようにしています。
ECサイトは、店舗と同じように販売することが最大の役割であり、その中でブランドイメージを伝えることが重要だと常に意識しています。
5.経験で得た学びを活かし運用のノウハウ化を目指す
ガイアックス :
運用の経験から学んだことや今後の展望・方針をお聞かせいただけますか?
クレッジ 川添さん 荒井さん :
LINE@のノウハウを確立したい
4月に新たにJURIANO JURRIEなど6ブランドのLINE@アカウントをスタートしました。特に、特性が異なるブランドで成功事例を作りたいという目標があるので、LIP SERVICEをLINE@の成功事例として今後は6ブランドの運用にも力を入れていきます。
その運用を成功させることで、自信を持ってLINE@の運用ノウハウがあると言えるようになるかなと。
最終的な運営体制で目指したいのは、各店舗ごとにLINE@アカウントを持つことです。店長が店舗やお客様に合わせたLINE@の運用ができると理想的だなと思います。
また、LIP SERVICEの公式スマホアプリをリリースしたところ、累計ダウンロードが1万5千を突破し、デイリーのアクティブユーザーが60~70%、アプリ経由のEC売上が初月で数百万円という予想以上の成果を記録しています。こちらも限定クーポンが好評です。
アプリの導入は、ECサイトユーザーの80%がスマホ利用であることと情報到達の精度を高めたいからなのですが、これは既存メディアとバランスよく運用していきたいです。
C2Cの場作りと可能性に期待
最終的にはよりユーザーと、もしくはユーザー同士がコミュニケーションできる仕組みを作りたいと考えています。
ブログでファンの支持を得ている荒井さん自身がコンテンツ化していることや、ファン同士で独自のコミュニティが出来たこともありました。
今後はそうしたユーザー同士が情報交換したりコミュニケーションできるC2Cの仕組みが出来たら面白いと思うんです。
SNS運用は相性がいいツール選びがポイント
SNSの運用は、各ツールの特徴を把握して、自分たちと相性がいいツールを見極めることが一番のポイントだと思います。トレンドには流されない!
また、ユーザーがどのメディアを利用するかの選択はこちらの意志で変えられないので、ユーザーに選択肢を多く持たせて、それを出来るだけ自社メディアに寄せる仕組みを作ることが必要ですね。
LINE@においては、始めやすさ・取り組みやすさ・相性の良さで自分たちが出来る範囲で選んでいった結果、施策として確立できました。
まだ試行錯誤しながらの運用なので、今後も自社ECサイトをハブにした戦略は変えず継続していきながら、LINE@のノウハウの確立を目指していけたらと思います。
そしてLINE@の運用に偏らず、既存メディアや店舗のサポート、ファンとの関係作りなど、ブランドがより盛り上がっていくように全方位に取り組んでいきます。
LINE@・ソーシャルメディアの活用、自社サイトとの連携についてLIP SERVICEさんの事例をご紹介しました。
以上、『【LINE@活用術!】O2Oは店舗にひとを流すだけではない!ファンをつかむ運用の秘訣を公開|LIP SERVICEから学ぶSNS活用施策』でした。
※<前編>はこちらの記事へ→【必見!LINE@活用術】LINE@で売上150%増!LIP SERVICEから学ぶSNS活用施策|オウンドメディアのブレない運用が成功の鍵!【ガイアックス】
※元記事 :http://gaiax-socialmedialab.jp/line/222
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