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ソーシャルで、人はイベントに行く(5)「未来の広告」のヒントもここに。文化が芽生える瞬間を見る。

2013/05/13 12:34 投稿

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前回は、Event Festival Tokyo 2013「Learning」トラックについてご紹介しました。今回は、「Culture」トラックをご紹介します。

このトラックは、新しいテクノロジーに興味があったり、アイデアを求められたり、クリエイティブな仕事をされている方、あるいはエンターテイメント業界、広告・マーケティング業界にいる方に、特に参加して欲しいトラックです。(そうでない方も、クリエイティブな刺激を浴びること間違いなしです!)

 

「いつイベント行くの?今でしょ!」 
イベントに、新しい文化が芽生える瞬間を見る

 

2012年にイベントプラットホームPeaTiXで開催されたイベント約5000件のうち、90%以上が参加者数「40〜100人」のイベントでした。

デジタル化でコンテンツの制作コストが下がっても、「100人」の読者を想定して作られるメディアはほとんどありません。ニュースサイトにしても電子書籍にしても、デジタル音源や動画コンテンツにしても、数千から数万のオーダーの読者を想定して企画されるものがほとんどでしょう。

イベントでの、少人数を想定して産み出されるコンテンツの中で、実験的な要素や目的を孕んでいるものは多くあります。書籍化される前のアイデアや、録音される前の音楽などは、イベントの現場で最初に発表されることも多いのです。

イベントの後、反響が起こり、後の社会に大きな影響を与えるものもあるでしょう。その意味で、イベントは「新しい文化が今生まれるその現場が、可視化される瞬間」である、と言えるのかも知れません。

 

世界に広がる「お金が使えない」がコンセプトの、新しいフェスの形

第2回の記事で紹介した「カウンターカルチャー」など、文化の誕生は、「あのムーブメントが後のxx文化誕生のきっかけになった」と、歴史的に後から振り返ることしかできません。音楽が好きな人なら、YouTubeで発見した伝説のバンドが、既に解散したこと知って悔しい思いをしたことがあるでしょう。しかし、現在進行形のイベントでも、「エネルギーの塊」として、その「萌芽」くらいは、感じられるものではないでしょうか?

 

例えば、「音楽フェスティバル」という文化は今ではすっかり一般化し、専門のポータルサイトも存在します。毎年、決まったフェスティバルに参加することを楽しみにしている方も多いのではないでしょうか? (私自身も、4月に「GOOUT Festival」に参加し、大自然と音楽に包まれる時間を楽しむことができました。)

今日の「音楽フェスティバル」の文化は、1960年代のヒッピーのムーブメントである「サマー・オブ・ラブ」が源流であると言われています。後にイギリスで「セカンド・サマー・オブ・ラブ」と言われるムーブメントとして「復活」したり、世界中で、各地の文化や社会・経済の状況に併せて変化しながら、今日の音楽フェスティバル文化として定着しました。

 

では、今現在の、最先端の「音楽フェスティバル」は、どのようなものでしょうか?

 

アメリカのネバダ州で開催されている、「Burning Man」というフェスティバルをご存知ですか?1986年に始まったこのフェスティバルは、今では世界各地から数万人の参加者を集める、世界最大規模のフェスティバルにまで成長しました。

 

そして、このBurning Manのコンセプトを踏襲した地域版のBurning manが、世界に広がりつつあります。(Wikipediaでは、2013年5月現在 16カ国48地域の「Burning man」が紹介されています。)

Burning Manにて、他のフェスティバルには存在しない、ひとつの特徴的なルールが存在します。それは「お金がつかえない」こと。
 
現代に生きる参加者が、それぞれ必要なものを持ち寄り、シェアと助け合いの精神で過ごす時間は、どのような時間なのでしょうか?そこで生まれる人間関係は、普段「お金」を使うことが当たり前な社会で生まれるものと、違うものなのでしょうか?
(Googleの創業者、ラリーとセルゲイがこのフェスのファンであり、精神的な影響を受けたことを、インタビューや書籍などで口外しています。現在の我々が日常的に使い、もはや欠かすことのできないツールである「検索エンジン」の設計にも、このフェスティバルは文化的な影響を与えているのです。)

 

日本では、去年「BURNING JAPAN」として始めて開催されました。Event Festival Tokyo 2013では、主催のafromanceさんをお呼びし、イベントが新しい文化を生み出すことの可能性について、語って頂きます。
ちなみに、afromance氏は、250人の収容人数に、2日間で3000名以上の応募が殺到し話題になった「泡パーティー」の仕掛け人でもあります。正に、「面白い時間の使い方」を産み出す専門家と言えるでしょう。

 

 

 

 

 

 

専門家の発表を「エンターテイメント」に

2012/12/22 第3回ニコニコ学会β シンポジウム photo by nshoji

次は、「ニコニコ学会β」を紹介します。先日開催された「ニコニコ超会議」でも人気コンテンツの一つであり、実際に動画などをご覧になったことがある方も多いでしょう。(5/11に発表された本「進化するアカデミア 「ユーザー参加型研究」が連れてくる未来」は、ニコニコ学会βという「現象」を理解するのにとても良い材料です。)

 

通常、「研究者」による専門的な内容の発表は、決して分かりやすく楽しいものではありません。
ニコニコ学会βは、本来「難しい」研究者の発表を、「エンターテイメント」に仕上げた点が大きな特徴です。ニコニコ学会β実行委員会委員長の江渡浩一郎さんは、「専門的な内容を分かりやすく伝え興味を持ってもらうのは難しい。しかし、登壇する研究者が”ヤバい”人達だ、ということは伝わる」と述べていました。研究者に興味を持てば、その専門にも興味を持ち、自分の幅が広がるという訳です。
 
また、プロの研究者だけでなく、(彼らが「野生の研究者」と呼ぶ)一般の人にとっても研究や発表の機会を作ったという点も意義深いものです。そして、このイベント自体、そうした研究者達の参加・協力によって運営されています。

 

Event Festival Tokyo 2013では、ニコニコ学会β実行委員会委員長の江渡浩一郎さんに、その想いを語って頂くと同時に、普段なかなか話しを聞くことができない実行委員会 事務局長の岡本真さんにもご登壇いただきます。メディアや書籍等で語ることの多い江渡浩一郎さんをあえて「映画監督」とすれば、岡本真さんは制作を支える「プロデューサー」。ニコニコ学会βが生み出した「研究発表」という新しいエンターテイメントを、「ユーザー参加型」で壮大に仕掛ける岡本さんに、舞台裏やそのカラクリを、明らかにしてもらいます。

 

 

 

「未来の広告」のヒントもここに

さて、Looopsブログの読者には多いと思いますが、このトラックを特にクリエイティブや、広告、コミュニケーション、マーケティングに関係する業界の方に来て欲しいと書いた理由を改めて紹介します。
カンヌを始め数多くの受賞歴があり、2012年『Creativity』誌「世界の最も影響力のある50人」にも選ばれたクリエイターのレイ・イナモト氏は、「広告の未来は広告ではない」と題し、広告の未来について、次のように語りました。
 

“REI INAMOTO” photo by Eva Blue

もう一度まとめると、「デジタルではなく、プロトタイプ」「メディアではなく、プロダクト」「ブランドの物語ではなく、ブランドの行動」「キャンペーンではなく、プログラム」「360ではなく365」。こういった視点が、これからのマーケティングには特に重要になってくると思います。そしてもちろん、コアにあるのは、「人の心をつかむこと」です。
レイ・イナモト:「広告の未来は広告ではない」、2012年

 
Event Festival Tokyo 2013でも紹介する最先端のイベントを見てみると、レイ・イナモトが「未来の広告」の可能性として挙げた特徴を良く備えていることに気づきます。実験的で「プロトタイプ」的な試みが多く、コンセプトを「物語」として語るのではなく、実際にプロジェクトを始めることで「行動」を示し、「フェスティバル」や「学会」として機能するよう、「プログラム」を設計しています。ほとんどのイベントが、365日間、接点となるべく「コミュニティ」が存在しています。
 
そして「人の心をつかみ」、次々とファンが勝手にイベントを宣伝してくれます。(これぞマーケターの「夢」です。)
 
Event Festival Tokyo 2013の「Culture」トラックで、是非、皆さんの未来の仕事のヒントを見つけて頂きたいと思います。
 
また、「インターネットによって生み出された文化」として議論されるのは、「N次創作」と呼ばれるリミックス文化や「ライセンス」など、主にインターネットで完結するものが多いのが現状です。「初音ミク」にまつわるものや、「Creative Commons」など、たくさんの研究が発表され、様々なプロジェクトが生まれました。しかし、ソーシャルメディアがあればこそ実現するイベントが増えてきた今、そうした「リアルの場であるイベントが生み出す文化」についての可能性や役割について考えるという点でも、このトラックは意味があると考えています。
 
最後に紹介するのは、Burning Japanを主催するafromanceさんからのメッセージ。彼にとっての「イベント」は、「子ども心を持つ大人の遊び場」なのかも知れません。

 

 

次回は、引き続きデータやトレンド分析を交え、「Localトラック」を紹介します。

 
 
Event Festival Tokyo 2013 
http://eventfes.org
全32セッション・3ワークショップから自由に選択!3900円で最大8セッション+3ワークショップを楽しめます!

 
*当日は、イベント主催者の役に立つツールやサービスを展示するブースエリアを設けます。出展者も募集しております。詳細はコチラ

 

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