かつての社会システムでは、子どものときだけ学んで、学び終わったら大人になり、同じ仕事を繰り返しながらもっているものを守り、子どもをつくるというのが人の一生のモデルでしたが、いまは学び続けなければ死んでしまいます。メディアラボには「ライフロング・キンダーガーテン(生涯幼稚園)」というクラスがありますが、この言葉の通り、これからは誰もが一生学び続けることが必要で、そこでは「働き」と「学び」とは同列なのです。(略)学ぶべきは、「何を学ぶか」ではなく、「どうやって学ぶか」なのです。Joi ito by Dean Ornish / CC BY
伊藤穣一 MITメディアラボ所長ー出展『WIRED』VOL. 5(教育特集:「未来の学校」)(強調は筆者による)
大人が継続的に学び続けることの意味について、MITメディアラボ所長の伊藤穣一さんは上のように語りました。変化の早い現代において、教育機関を卒業した後も継続的に、意識的に学ぶことの重要性を説いています。
さて、ソーシャル時代の「学び」は、自分一人ではなく、「誰かと学ぶ」ことのチャンスや可能性が大きく広がりました。新しい知識を得たり、交流を通じて自分の理解を確認したり、新しい視点を得るためには、「誰かと学ぶ」ことが近道です。
ここでイベント主催者に対してお願いしたアンケートをご紹介します。(2013年3月~4月に実施、有効回答数142)
一口に「イベント」と言っても、規模やジャンルは多様ですが、「勉強会・ワークショップ」や「セミナー・シンポジウム・講演会・トークショー」に関わった方がとても多いのが特徴的です。それだけ、今の時代は「学び」に対するニーズが大きいのかも知れません。
参加者が実際に考え、手を動かし、発表するイベント
さて、実際のイベントのトレンドを見てみると、従来の学校の授業のような「一方的な知識の伝達」ではなく、参加者が実際に考え、手を動かし、発表することで、「学び」を最大化しよう、という考え方で、企画されるものが非常に多く見受けられます。皆さんも「フューチャーセンター」「ワールドカフェ」「アンカンファレンス」などの言葉を聞いたことはありませんか? どれも「参加型」による新しい発想の「学びのイベント」のコンセプトであり、最近はそうした試みが沢山生まれ、注目されています。
Event Festival Tokyo 2013では「Learningトラック」を設け、一日「学び」について考える会場を設けました。
最初に、国際大学GLOCOM主任研究員で、Open Knowledge Foundation Japan代表の庄司昌彦さんに、そうした「学び」の新たな試みが注目されている背景や社会意義をお話頂いた上で、GLOCOMの取り組みや、彼自身が代表をつとめるOpen Knowledge Foundation Japanのイベントとして、全国8都市で開催された市民参加型ハッカソンについても紹介して頂きます。
(私自身も運営側として参加しましたが、この「ハッカソン」は、参加者が実際に「地域の問題を解決するためのウェブサービスやアプリ」を一日で開発するイベントです。参加者は、各自プログラミングや、政策、社会問題について教え合い、実際に手を動かしながら、エンジニアリングと社会の問題について学ぶことができました。)
子育て中の「ママ」にも学びの機会を
ところで、「誰もがイベント主催者になる時代」には、新たな問題も生まれます。その一つに、「子育てをするママ」の多くが、現状ではイベントを主催するどころか、参加することも難しい、という問題があります。
私自身、二児の子どもを持つ「ママ」を上司に持ち実感したことですが、幼い子どもを育てる母親が、平日の夜に開催されるイベントに参加するのは非常に難しいのが現状でしょう。そもそも、出産後の女性が社会から隔絶されてしまったり、再就職が難しいことは、現代の日本社会の大きな問題のひとつですが、一方で、「イベント」には、母親と社会をつなぐ、新たな接点となる可能性もあるのではないでしょうか。
Event Festival Tokyo 2013では、そうした問題を考えるために、ママイベントシーンに詳しい、子連れで行けるカフェ・レストラン紹介サイト「東京こども星★レストラン」の今西編集長をモデレータにお招きし、パネルディスカッションを行います。パネルには、ママの「プチ起業」文化を全国的にムーブメントとして広げる活動をしているPowerWomen プロジェクト代表の宮本直美さん、ママを中心に日本文化を世界に発信する活動をされているWANAVIの高島 辰美さんをお迎えします。
ママになっても学びたい、活動したい、社会に貢献したい、そんな未来へのエネルギーを感じる女性達を応援するイベントが全国的に広がってきています。
また、当日は、AsMamaさんのご協力の元、お子様の一時預かりサービスも実施します。実際に今、小さな子どもがいて中々イベントに参加できない方も、安心してEvent Festival Tokyo 2013にお越しください。
Event Festival Tokyo 2013 プログラム詳細
最後に、ご自身でも勉強会を開催され、Event Festivalにもご登壇頂く、(このブログでは皆さんお馴染みの)加藤たけしさんのメッセージをご紹介します。ソーシャル時代の「学び」を、よく表している言葉ですね。
Event Festival Tokyo2013でも、「ワークショップ」の時間を設け、「参加型」による「新しい学び」の時間を設けます。是非、楽しんでください!
次回も、引き続きデータやトレンド分析を交え、「Cultureトラック」を紹介します。
Event Festival Tokyo 2013
http://eventfes.org
全32セッション・3ワークショップから自由に選択!3900円で最大8セッション+3ワークショップを楽しめる「早割」チケットを、5/12(日)まで延長しました。枚数に制限があるので、参加申し込みはお早めに!
*当日は、イベント主催者の役に立つツールやサービスを展示するブースエリアを設けます。出展者も募集しております。詳細はコチラ。
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