❝badgeville社のレポートによる効果❞
失敗するソーシャルにおける問題点とは?
先日、ガートナーがレポートした”失敗するソーシャルの問題点”を、八木橋さんがとても解りやすくまとめてくれました。
上記を一言で言えば“戦略の不足” と言えるでしょう。それを受けて、今回は”ゲーミフィケーション” を使ったエンタープライズソーシャルについてお話します。なぜそこにゲーミフィケーションなのでしょうか?
それは、ゲーミフィケーションが、SCMにおけるプランニングのように、「いつ、だれに、どのような振る舞いを起こさせ、どのような効果をあげるのか」という具体的な “戦略” そのものだからです。決して企業にゲームを面白おかしく取り入れるものではありません。人の心理を戦略的に利用するゲーミフィケーションの要素を効果的に取り入れ、 エンタープライズソーシャルを成功へと導いていきます。
ゲーミフィケーションプランの基本とは?
ゲーミフィケーションは、やみくもに取り入れてもうまくいきません。必ず、どのような社員の行為を、どのように変化させたいのか?という、現状の把握と将来の目標設定が不可欠です。
以下は、ゲーミフィケーションをどのように取り入れるかというプランニングの際に作成したものです。ここでは企業が社員に対して、”何をどう変化させたいのか?” という目標に対し必要なゲーミフィケーションを以下のポイントに指定してあります。“人の気持ち” をより “もっと使ってみよう” に近づけるために必要なゲーミフィケーションがどのようなものか一緒に考えてみてください。
次の図は、ソーシャルネットワークを始める際に、社員が関与するSNS上の”行為” についてまとめたものです。上図の “コメント返信” の部分に以下の “振る舞い” を挿入することで、どのようなゲーミフィケーションによって “振る舞い” をエンハンスさせるのか検討出来るはずです。
例えば、ある社員がコミュニティにコメントを書き込んだのだけれども、期待した効果は得られなかった。しかし、そこにゲーミフィケーションを追加することで、別の良いことを社員に実感させ、”もっと使ってみようかな” と誘導するのがゲーミフィケーションの基本です。それを式にするとこのようになります。
営業部門によく見られる問題で、「自分の営業ノウハウをライバルと共有するのは損をする」というものがあります。こうしたネガティブな要因も、ソーシャルが使われない理由の関係します。それを考慮し次にゲーミフィケーションによる解決についてお話します。
エンタープライズ向けゲーミフィケーションの目標と共有
次に、ゲーミフィケーションを使って何を解決するか、という具体例を取り上げます。ゲーミフィケーションを使うことによって、企業がなにを成し遂げるのかという目標の参考にしてください。
【例】 ※あくまで例であり、実際の人物や団体等とは一切関係ありません
XYZ社においては、社内SNSを構築したものの、アクセス率が非常に悪く困っていました。そこで情報システム部門が最初に取り組んだのは、会社の「勤怠打刻システム」と連携することでした。社員にそこで打刻を行ってもらうようすることで、ほぼ全員の社員がSNSサイトに毎日アクセスするようになりました。次に “特定のコミュニティサイトへのアクセス” や “特定の記事への「いいね」” という参照行為に対してその都度ポイントが与えるようにしました。そのポイントはユーザーが勝手に使うことは出来ませんが、企業内のCSR部門と連携し独自の計算方法で環境保護活動のために利用されていく仕組みにしました。事前に社員の社会貢献に対する意識が非常に高いことが分かっていたことから、こうした取り組みもすぐに効果として現れました。その後、社員向けのサービスである “社員割引”などの特定のサービスにも、ポイントをうまく連携させることで同じ効果を得ることが出来ました。
また一方で、営業部門では、社員間でなかなか優良な情報交換されない悩みを抱えており、営業部長はもっとノウハウを効率的に共有し組織的に営業力アップを図りたいと考えていました。また別の問題として、営業部門では日々膨大な量の営業資料の中から、異なるお客様向けの提案資料を探す、または探した中から編集するという処理に膨大な時間が費やされていました。 “情報収集にかかわる時間を1時間でも減らすことが出来れば” という願いは、ほぼ 全営業担当 の願いでもありました。そこで、情報システム部門では、検索システムを導入するタイミングで、社員が共有サーバーに ドキュメントを保存したり、掲示板に質問を投げかけるなどの量に応じて、ユーザーが利用できる企業内でのサーチの機能が拡張(レベルアップ)されていくという ゲーミフィケーション を取り入れることにしました。最初社員は、限られた範囲での 標準的な情報検索 しか行えませんが、しばらくすると、提案製品ごとによる絞り込みが出来たり、今週最も閲覧されたドキュメントを表示出来たり、業界向けのおすすめ文書のサジェストなどを受けられるという、営業社員が絶対に欲しいと思う機能と連携した仕組みを作りました。これは、なるべく効率的に情報を探したいというユーザーの欲求に働きかけ、同時に企業側が願う社員同士の協力関係を、環境による力で作り上げていく方法として大きな成功を生み出しました。
まとめ
今回は、上記の問題に対する、2点の具体的な実践をご紹介しました。同じ意味になりますが、「ソーシャル=社員の繋がり」 は会社全体の利益につながるという認識を共有し、他部門と連携しながら進めることが成功の鍵になります。決してIT部門だけの取り組みにせず、“各部門の利害関係を考慮しWin-Winの関係を構築する”ことが重要です。その上で、”来月までにディスカッションへの投稿を20%増やす”という明確な目標を立て、 ひとつずつ“過去・現在・未来を「可視化」”していくことが、ソーシャルネットワーキングにおいて、とても大切になります。
ゲーミフィケーションは決して魔法の杖のようなものではありませんが、人と人とを繋ぎあわせるために戦略的に利用できる「考え方」だと私は考えています。このアイデア次第で始められるゲーミフィケーションを、是非企業の中でも戦略的に取り入れてみてはいかがでしょうか?
by 前田 直彦
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