エンゲージメントを築いてファンとリアルな関係を作りたい。
Facebookページを運用するなかで、ファンと実際に交流の場を設けたり、O2O施策として取り組みたいとお考えの企業さんは多いと思います。
朝日生命さんは昨年8月に「ハハの幸せ コの幸せ」のFacebookページを開設し、約半年でファン数18,000人以上、話題にしている人は1,500人を超えるなど、非常に好調な実績です。
さらに、Facebookページの活用を通じたファンとの交流に成功しており、今後はより直接的にファンとのコミュニケーションを深めていく施策を検討されています。
http://www.facebook.com/mamano.omoi
今回は、Facebookページを運営する朝日生命さんに、その実際の取り組みや運営から学んだ経験などをインタビューでお伺いしました。
Facebookページ運用の施策に取り組んでいる方の参考や励みになる内容ですので、ぜひ最後までお目通しいただけますと幸いです。
目次
1.子育てママのための保険商品を発売した背景
2.Facebookの導入理由は「共感」度を測り、深めるため
3.ページの雰囲気作りを徹底してリスクを回避
4.目標はユーザーとのコミュニケーションと「なじみ化」
5.エンゲージメント獲得にはメリットある情報の提供を
6.関連した組織間で連携した運用体制を作る
7.1,125の応募件数を獲得。キャンペーン成功の裏側
8.アンケートの回答者とリアルな場で情報共有を目指す
9.リアルな場での交流と商品の訴求に向けて
お話を伺った方
朝日生命保険相互会社
経営企画統括部門 営業企画ユニット 女性・シニアマーケット開発室
室長 福田敦行さん(右)
課長代理 清水広美さん(左)
1.子育てママのための保険商品を発売した背景
ガイアックス :
多くのユーザーから人気を得ている理由に、商品自体の支持があるのだと思います。子育て中のお母様(以下、「子育てママ」)のための保険商品「ハハの幸せ コの幸せ」を発売した背景を教えていただけますか?
朝日生命保険相互会社(以下、朝日生命)福田さん :
当社では、今後の国内生保マーケットにおいて、女性層・シニア層を成長分野として注目しています。
また、昨今お客様のライフスタイルやニーズは多様化しており、お客様のセグメントを従来の「女性」といったシンプルなものから、「ワーキングウーマン」「子育てママ」「子育て卒業マザー」と変革させ、お客様一人ひとりのニーズにきめ細かくお応えする商品・サービスを提供していきたいと考えています。
「ハハの幸せ コの幸せ」はそのマーケット対応商品の第一弾として発売いたしました。「子育てママ」を第一弾とした理由ですが、マーケットボリュームや、成長性、保険との親和性などから総合的に判断しました。
「ハハの幸せ コの幸せ」の商品コンセプトですが、「この子をずっと守りたい。そんなママの想いから生まれた母と子を守る保険」とし、子育てママが抱える最大の不安である「ご自身が育児や家事が出来なくなってしまった時の家庭の不安」に応える商品としています。
また、業界初の保障として、出産時(第2子以降に限る)に給付金を支払う商品を開発し、おかげ様で多くの「子育てママ」にご好評を得ています。
2.Facebookの導入理由は「共感」度を測り、深めるため
ガイアックス :
保険会社といった金融業界は、SNSを活用した企業広報の導入は企業イメージへの影響を考えて慎重になる企業が多いような気がします。そういったなかで、Facebookページの開設に踏み切れた理由はなんでしょうか?
朝日生命 福田さん :
当初、ネットでのメディアは公式ホームページのみでした。
ここ数年のネット環境の変化が顕著となっている中、女性マーケットへのアプローチ強化を目的としたネットメディアの更なる活用を課題として認識していました。
また、女性を対象としたマーケティングの場合、「共感」という言葉がキーワードになると考えています。
お客様とのコミュニケーションを通じて、「共感」度合いを測り、また深める方法はないだろうか?と考えたとき、SNS運用の案が出ました。
「いいね!」は「共感」度を測るシグナルになる
いくつかあるSNSのなかで導入を検討したのは、ユーザーとコミュニケーションが図れ信頼関係を築くことが可能なFacebookでした。
特に、「いいね!」は文字通り「共感」度を測るためのシグナルになるので、お客様の「共感」を図り、深めたいという目的と、Facebookの特長がマッチしたので導入を決めました。
3.ページの雰囲気作りを徹底してリスクを回避
ガイアックス :
初めてのSNS導入ということで、Facebookページの運営に至るまでに様々な懸念や課題があったかと思います。それらはどのようにクリアしたのでしょうか?
朝日生命 福田さん :
そうですね。特に生命保険商品は一生涯に関わるモノですから、プロモーションの打出しやお客様との接触は慎重に行わないといけません。
また、ネガティブな反応や炎上などのトラブルが発生するのではと、社内でも反対の声がありました。
しかし、Facebookのユーザーは、実名登録制であり、トラブルの可能性が少ないという点と、社内関連部署の連携によるリスク管理体制を構築したことによって導入することができました。
心配していた炎上もなく、集まるのは嬉しい声だった
Facebookページを開設し、運営を始めたところ、心配していた炎上などもなく、それどころか集まるのはファンの皆様からの好意を感じる嬉しい声ばかりでした。
ページ開設に際し、「子育てママ」に喜んでいただける温かい印象のページ作りにすべく、社内でも徹底して議論をしたことで、結果的に良いスタートが切れたと考えています。
4.目標はユーザーとのコミュニケーションと「なじみ化」
ガイアックス :
明確な目標の設置があったとのことですが、Facebookページ運用の目標数値はどういったものでしょうか?
朝日生命 福田さん :
第一ステップの目標としては、定量的な目標として、「いいね!」の5,000獲得としました。
まずは、ベースとなるファンの母数を作る必要があると考えたことが理由です。初めてのSNS運用ということもあって、「いいね!」以外の目標数値は細かくは設定していませんでしたが、基本的な指標は確実に追っていました。
懸賞キャンペーンを開催した8,9月に大きくいいね!を獲得した。
平均エンゲージメント率4%以上。業界でも高い実績を獲得
ガイアックス :
エンゲージメント率は「いいね!」数が増えるほど落ちていく傾向にありますが、御社は10,000以上の「いいね!」数を獲得しているにも関わらず、平均エンゲージメント率が4%以上という高い実績を得ています。
保険業界の平均エンゲージメント率としては約3%前後なので、それと比較しても成果が数字に出ていますね。
朝日生命 清水さん :
そうですね。「いいね!」・コメント数の他、話題にしている人の数などユーザーの反応状況を見ながら、エンゲージメントを上げるための検証をしています。
「いいね!」・コメント・シェア数の多かった投稿内容をランキングで出して検証するなどして、エンゲージメントを上げて維持できるような投稿テーマ・内容の分析に活かしています。
「なじみ化」を図る
ガイアックス :
運用スタンスでは、どういった目標を掲げていますか?
朝日生命 清水さん :
定性的な目標として、当社Facebookページになじんでもらう「なじみ化」の実現を掲げています。「なじみ化」というのはお客様に「身近なもの」として認識してもらい浸透することです。
よく、お客様との距離・関係性を表す際に、「親密化」という言葉が使われるかと思います。当社は、SNS導入に際し、先ずは、当社Facebookページを身近なものとして認識していただくことを目標としました。
今後についても、当社Facebookページを「子育てママ」同士がコミュニケーションを取る場として活用いただき、このページを「より身近なもの」としていただければと思っています。
商品コンセプトでコミュニケーションを図りたい
ガイアックス :
なるほど、「なじみ化」というのはソーシャルメディア活用上でも必要とされますし、上手な表現ですね。
朝日生命 清水さん :
また、Facebookページ上での「なじみ化」を通じて、保険商品の認知度向上に繋げて行きたいとも考えています。ただし、保険商品自体がプロモーションの前面に出ないように意識しています。
Facebookページ運用の目的として、やはり最終的には認知度向上による売上促進効果を期待しています。具体的には、「子育てママ」が生命保険の加入を検討する際には、「ハハの幸せ コの幸せ」を想起してもらうことを目指しています。
ただし、保険商品の場合、他業種、例えばメーカーの商品とは位置付けが違います。メーカーの商品はモノ自体がコミュニケーションのきっかけになりますが、生命保険ではなかなかそうはいかないものです。そのため、商品コンセプトでコミュニケーションを図りたいと考えています。
そのためにも、「子育てママ」のお役にたてるコミュニティをFacebookページ上で形成できればいいなと思いますね。
5.エンゲージメント獲得にはメリットある情報の提供を
ガイアックス :
実際に、「いいね!」やコメントなどファンとのコミュニケーションは継続的に得られていますね。エンゲージメント構築のために意識している運用方針を教えていただけますでしょうか?
朝日生命 福田さん :
基本方針としては、「子育てママ」とそのお子様を対象にした有意義な情報の提供を原則としています。
投稿する情報は、グルメ・お出かけ情報・季節のイベントなど、日々の生活に役立つ情報を意識しています。いずれも、ブランドイメージである温かさが伝わるテイストの投稿を考えています。
そしてウォール投稿やイベントなどを通じて、「子育てママ」同士がコミュニケーションできるようなアクティブな活動をしてもらいたいと思っています。
ウォール投稿は関連する情報を連続させる
ガイアックス :
ウォール投稿はどのような頻度で行っていますか?
朝日生命 清水さん :
投稿頻度は、週3回を基本にしています。
また、関連した情報は継続的に投稿することで、ファンの方にウォールを追いかけて見てもらいやすくしています。例えば、記事の見出しに【お子様と楽しめる!カフェ情報④】という風に番号を付けるなどして、情報が連続していることをお知らせしています。
6.関連した組織間で連携した運用体制を作る
ガイアックス :
ウォール運用については、社内でどういった運用フローや体制で取り組んでいるか教えて頂けますか?
朝日生命 福田さん :
運営自体は、清水を中心に女性・シニアマーケット開発室のメンバーがバックアップする体制で行っています。そこに当社でITを担当している別部署のメンバー1名を加えて、2つの部署で連携しています。
運営の全体的な計画などは、月1回の編集会議で前月の運営の振り返りと今後の企画・投稿内容について話し合って決めています。
実際の投稿については、担当者が記事を作成したら、私がチェックして投稿する流れで行っています。
7.1,125の応募件数を獲得。キャンペーン成功の裏側
ガイアックス :
これまでにどのようなキャンペーンを実施しましたか?また、その成果はどのようなものでしたでしょうか?
朝日生命 清水さん :
いままでに、3回のキャンペーンを実施しました。1,2回目は、当社Facebookページの開設キャンペーンとして、ページの認知向上を目的として実施しました。
それぞれに「子育てママ」に関心を持っていただくためのテーマを設け、1回目は「親子でスイーツ作り」、2回目は「家族の想い出作り」をテーマとして懸賞キャンペーンを開催しました。
キャンペーンは継続させて成果を得る
3回目は「手作りお弁当コンテスト」として、「子育てママ」の手作りお弁当のフォトコンテストを開催しました。審査員をタニタヘルスリンク社の管理栄養士にお願いしたことも幸いして、応募数が1,125作品と、当初想定以上の実績となりました。
また、作品については、どれもお母様の愛情が感じられる力作揃いで、入賞作品のご紹介を通じて、応募者間同士のコミュニケーションも取られ、企画自体が成功したと考えています。
キャンペーンで得た成果をウォール運用でつなぐ
1,2回目のキャンペーン開催後、ユーザーに喜んでもらえる情報を継続的に投稿してアクティブなファン作りに努めました。
その結果が3回目のフォトコンテストに成果として現れたのかなと思います。その後も、ママ度チェック検定やアンケートコンテンツなど、興味を持っていただける企画を継続的に展開しています。
開催する度に、様々な価値観を持つ「子育てママ」の支持を得ることができ、他のユーザーもキャンペーンに参加しやすい雰囲気が出来ていたと思います。
8.アンケートの回答者とリアルな場で情報共有を目指す
ガイアックス :
直近ではアンケート企画を実施されていましたが、その目的はどういったものでしょうか?
朝日生命 清水さん :
アンケートは「子育てママ」の出産や子育て、家庭の幸福度に関する内容です。より多くの方に参加してもらうため、図書券が当たる懸賞型のアンケートにしました。
また、今回の企画は、アンケートを皮切りに、今後ファンの方々とリアルな場で集う座談会の開催・テーマづくりに発展させていきたいと考えています。
そして、当社ファンである「子育てママ」たちの経験や不安、想いを前向きに共有し合える場を作っていきたいと考えています。現在はその実現にむけての準備中ですね。
「子育てママ」たちの温かいメッセージに感動
「最近幸せだと感じたことは何か?」という質問の回答には、お母さんたちの優しいご意見ばかりが集まりました。
- 「お母さんの作るご飯はなんでも美味しいから、僕は嫌いな物がないんだね」と息子に言われたこと。
子供が喜ぶ顔が見たくてお弁当作りを頑張っていると、「今日も美味しいお弁当ありがとう」と子供が言ってくれること。
子どもが夢中で作り上げる工作品を見た時。それが他の人へのプレゼントだった時。
息子に「ありがとう」と言われたりギューと抱きつかれた時。
といったような声です。どれも身近な出来事ですが、逆に子育ての励みになるメッセージになっていると考えています。とても励みになる大きな成果だと思います。
9.リアルな場での交流と商品の訴求に向けて
ガイアックス :
今後の取り組みの方針を教えていただけますでしょうか?
朝日生命 清水さん :
基本方針は変えませんが、将来的には、SNSを通じた企業広報だけではなく、SNSで出来ることを色々と模索して行きたいと考えています。現在は、先ほど述べた座談会の開催など、ファンの方々とリアルにつながることができる企画を検討しています。
元々Facebook上で接点のあるユーザー同士がオープンな場に集えば、他の方の意見に興味を持ちやすくなると考えています。例えば、集まったユーザーの方に「〇〇さんはこのようにコメントしていますが、どう思いますか?」といった切り口で意見交換を図ると、参加者の方々の色々なご意見を言っていただけると思います。
リアルな意見をFbページに還元-O2O2Oの流れを目指す
このように、実際に「子育てママ」同士が会って話をすることで、よりリアルな意見交換が生じるはずです。また、その結果をFacebookページ上でフィードバックすることで、更なるページの活性化にも繋がると考えています。
これはSNSだからこその交流方法だと思いますし、そういったSNSの特徴を活かして座談会のやり方も工夫していければと考えています。
また、今後については、「子育てママ」に役に立つ情報の一環として、生命保険の情報も提供していきたいと考えています。詳細は検討中ですが、現在のページのテイストにあった対応をしたいと考えています。
今、成果が目に見えているのもあって、社内で非常に注目を受けているプロジェクトになっています。このまま周囲とファンの皆さんからのご支援を受けてFacebookページ運用と目標の実現に力を注いでいきたいと考えています。
以上、『朝日生命から学ぶエンゲージメント構築のためのFacebookキャンペーン運用法|商品コンセプトを活かしたコミュニティ形成を目指す!』でした。
今回の記事は、皆さんのご参考や励みになりましたでしょうか?
ガイアックスでは、企業のFacebookページ活用のための運用支援サービスを行っています。Facebookキャンペーンアプリや運用代行サービスの活用で、貴社のFacebookページ運用を成功させましょう。
※元記事 :http://gaiax-socialmedialab.jp/facebook/214
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