サービスの改善を考える時は、それぞれの施策について下記で定義されるコストとインパクトを想定し、それぞれを掛け合わせた値が大きいものから手を付けていくというのが鉄則だと思います。

 

コスト

その改善を行うのにかかるコスト(Webサービスの場合は主に人的コスト)。コストが低いほど値が大きくなるよう定義する。

 

インパクト

その改善を行って目的とする指標に対して与えられる(良い)インパクト。インパクトが大きいほど値が大きくなるよう定義する。

 

要は低コストで高インパクトが期待できる改善から実施していきましょうということです。

 

何を当たり前のことを回りくどく説明してるんだという突っ込みがあるかもしれませんが、この考え方において、本来設定すべき優先順位とサービス運営者が認識している優先順位が乖離しがちな(要は軽視されがちな)施策があるので紹介しておきます。

 

それはズバリ、「テキストの改善」です。

 

僕の感覚だと、Webサービスの運営や開発に従事している人の中にはまだまだライティングが苦手だったり、そもそも言葉の重要性を認識していない(というより関心が薄い)人が意外なほどに多いです。

 

よって今回は主にサービスの運営者に向けたエントリーになりますが、ちょっとしたテキストの改善でどんなことが起こり得るか、下記に例を上げてシミュレーションしてみたいと思います。

 

YouTubeの動画投稿画面

 

これはYouTubeの動画投稿画面です。特にこのままでも使い勝手が悪いことはないですが、この画面の中にちょっとだけ手を加えてみます。

 

YouTubeの動画投稿画面_改善案

 

字が小さくて見えづらいかも知れませんが、タイトル入力フォームのすぐ下に

 

「タイトルにアーティスト名、曲名、アルバム名、番組名、ライブ名などを含めると動画が検索されやすくなります。」

 

という文言を追加してみました。(今回は投稿カテゴリで「音楽」が選択されているのでこのようなガイドにしていますが、実際に実施する場合はカテゴリ毎に適切な文言に切り替える必要があります)

 

まず、この改善にはほとんど工数(人的コスト)がかからないことは技術者でない人でも分かっていただけると思います。

 

次にインパクトです。ガイド内容に従って適切なタイトル付けをしてくれるユーザーが数%は存在するという前提ではありますが、ざっと考えただけでもこんなプラスの効果が期待できます。

 

  • 見たい動画を探しやすくなる(for 視聴者)
  • 投稿した動画を多くの人に見てもらえる(for 投稿者)
  • 動画に合わせて精度の高い広告配信が可能になる(for 運営者)

 

※ちなみに、YouTubeに1分当たりに投稿される動画の長さは約60時間と発表されていますので、仮に1動画5分で計算すると1日に投稿される動画の数は約100万本となります。その中のたった1%の投稿が改善すれば毎日1万本の動画が新たに整理されることになりますので、これは非常に大きなインパクトを生んでいると考えてよいと思います。

 

ということでサービス改善を考えている方、まずはテキストの見直しや、言葉を使ってできることから始めてみてはいかがでしょうか?

 


masaki

">by 渡辺 将基

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