2013年10月31日発行 第0771号 特別
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■■■ 日本国の研究
■■■ 不安との訣別/再生のカルテ
■■■ 編集長 猪瀬直樹
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■□■ 『東京からはじめよう』(MXテレビ) ■□■
11月2日(土)21:00-21:55(毎月第1土曜日)
ゲスト:高橋 民夫(防災キャスター)
今月のゲストは、防災キャスターの高橋民夫氏。テーマは、「東京都の防災
~大島の台風26号被害から考える」です。
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「トップに直接指示を」
□ 甚大な被害が
東京都伊豆大島のみなさんが台風26号による土石流で甚大な被害を受けた。
41人の方が亡くなったか、今なお行方が分からない。心からお悔やみ申し上げ、
都としてできることのすべてを、全力で実行している。
15日の事実関係を少し整理する。都と気象庁が「土砂災害警戒情報」を発表
して大島町にファクスしたのが午後6時5分。大雨警報の中で「土砂崩れの可
能性がある」と、気象庁・都道府県が市町村に注意するのがこの情報だ。市町
村長はこれを参考に避難勧告などを出すかどうか判断する。
町ではファクスが流れたころ、職員は帰宅し始めていた。これまでの台風で
もそうしていたように、午前2時に再集合して風雨に備える計画だった。町長
は島根県隠岐の島町に出張中。教育長が職務代行者となり総務課長らが対応し
ていたが、無人の役場でファクスはだれにも気づかれず、機械から吐き出され
た。
都はファクスを流した後、町に何度か電話したが応答がなかったたため都の
出先機関である大島支庁に「町の態勢を確認してほしい」と依頼した。そこで
初めて、役場が無人だと知ったが「未明に再集合するのだから、態勢は取れて
いる」と判断しファクスを把握しているかどうか確認しなかった。町がファク
スに気づいたのは総務課長が登庁した午前0時だった。
町職員は午前2時に13人が庁舎に配置についた。その40分後、元町神達地区
の住宅が全壊、次々と土砂災害が起きて初めてのっぴきならない事態だと気づ
いた。
確かに都が「届きましたか」と相手に聞く常識的な対応をしていれば情報を
早く伝えられただろうし、都の防災担当者が重大な危機感を伝えられたとも思
う。ただ、町はファクス確認後も避難勧告を出していないし職員の集合時間を
早める措置も取っていない。何度も台風針路に当たってきた町にとって注意す
べきは「雨、風と波」の意識が強かった。よもや土砂崩れが起きるとは思って
いなかった。
避難勧告の権限は、災害対策基本法で市区町村長にある。住民全員に「避難
した方がよい」と発信するのは、人口8000人の小さな町で前例のない彼らには
難しかったかもしれない。情報を持ち、専門家がいる都道府県が何らかの権限
で指示する仕組みを考えないといけないのかもしれない。
□ 迅速な見直し
今回の事態を受けて僕は都内62の市区町村長、防災担当責任者全員の携帯電
話を都の防災責任者とホットライン化した。避難勧告などの重要事項をトップ
判断できるよう材料を都の専門家から直接伝えるためだ。僕だって携帯は3台
持たされている。1台はサイレントモードにならない。自宅には防災用の無線
機がある。
もう一つ、都だけではできない見直しもある。今回、重大な災害が起きる可
能性が著しく高い場合に発表される「特別警報」が気象庁から出なかった。今
年8月末から運用が始まったばかりだが発表は沖縄と北海道を除き都道府県単
位だからだ。こうした旧来型の分け方を早く見直し、もっと地域特性に応じて
限定的に出せるようにしないといけない。災害は待ってくれない。
(中日スポーツ2013年10月29日付の連載コラム「月刊猪瀬直樹」より)
※「月刊猪瀬直樹」過去の記事はこちら http://bit.ly/HpawvV
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猪瀬直樹の新着情報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■出演情報
・11月2日(土)21:00~21:55 MXテレビ9CH『東京からはじめよう』放
送。ゲストは高橋民夫氏です。
■掲載情報
・11月5日発行『潮』12月号に、AR三兄弟 川田十夢との対談が掲載されま
す。
・11月5日発行『財界』に、インタビュー掲載予定です。テーマは「五輪開催
の意義・日本企業に期待すること・エネルギー改革」。
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