「プロレスラーだけはキャラをうまく出せば役割を背負うことはできる」




――先日、今年初の大会である新ブランド『IGF1』(4月5日、両国国技館)が開催されましたけど、まず総評を教えてください。

猪木 何もなし! 

――な、何もなし!?

猪木 まぁ、俺はみんなに任せたんでね。そこに俺が口を挟むと、それぞれが今やっているわけだから。ただ、出て来たものがいいか悪いか。それに関してはひとつひとつ警戒して行く中で観るしかない。新しくやった以上はもうちょっと客が溢れ出るくらいの方向でいくように。

――やるからには戦略を立てて当たれと。

猪木 そう。まぁ、それでもみんなそれぞれが一生懸命にやっているわけだから。

――はいはいはい。

猪木 ただ、やる以上は勝たないといけないんでね。いつもそれはIGFがどうとかじゃなくて、人生訓みたいなことを国会の中でやっているんでね。

――国会の中でも?

猪木 そうですよ。まぁ、でも石井(慧)は期待よりもよくやったんじゃないですか? 要するにあのままゴチョゴチョゴチョゴチョ勝負がつかないようなことじゃなくて、それなりの自分の良さを見せたんじゃないかな。

――『IGF1』の直前には、この議員会館で藤田和之選手と小川直也選手と一緒に会見をされましたけど、久しぶりに二人と会って話して、どう思われましたか?

猪木 なんか小川はもう吹っ切れて来て、ひとつの集大成というか。藤田は藤田でなんとか一生懸命にやらなきゃいけない。「IGF」という看板を背負う部分というのが感じられるけど、結局、批判は別にして、年齢的なことから言って、よくやったなぁと。

――『INOKI BOM-BA-YE2013』(12月31日、両国国技館)での石井慧戦ですね。

猪木 うん。だからその部分はそう評価して。評価というよりは観てあげないといけないなと。それより若手がどうするかですね。

――一部報道では、澤田敦士選手が星風選手に負けて、「引退」を示唆したという話があります。

猪木 …………。

――猪木さんからすると、どんな印象がありますか?

猪木 まぁ、これはキャラクターとしてね。勝ち負けというのも絶対に大事なことなんですけど、しかし負けっぷりの良さというね。

――負けっぷりの良さ。

猪木 かつては野球でも相撲でも負けると人気がなくなっちゃうけど、プロレスラーだけはそのキャラをうまく出せば人気が出る、役割を背負うことはできるから。

――『IGF1』は4月7日の深夜2時半から地上波での放送がありましたけど、大晦日以外だと地上波のテレビ局で格闘技が放送されるのは久々になります。

猪木 これは前にも言ったけど、いろんな若い格闘技関係者が集まって、熱く格闘技を語るような場所があってね。彼らから「猪木さん、よろしくお願いします」って言われるんだけど、俺がお願いされても困るんだよってね(笑)。

――はい(笑)。

猪木 ただ、俺が持っている外交力っていうのは次の展開に力をつけられると思うけど、結局、選手たちにとって晴れの舞台がなくなってしまった。だから開催するほうにとっても意義がしっかりわかってないと。コンセプトというのかな。そこはメディアもそうですね。コンセプトがわからなくなっている。それを発信しないプロレス側が悪いっていうか。IGF側の教育もまだまだというか。まぁ、完璧だったら言うこともないからまずはいいじゃないですか。

【4月8日、参議院議員会館にて収録/聞き手◎“Show”大谷泰顕】

※次回は猪木がさらに『IGF1』と国会でのエピソードを語ります。お楽しみに!