1年以上に渡り皆さんと紡いてきた物語
「バタフライエフェクト」
ついに全30話完結しました!

「焼き鳥屋さんでぼんじりの名前がでてこない」というスタートと、「NASAのアラスカ基地でシャトルの着陸を待つ」というゴールだけ決めて走り出しましたが、その自由さを活かし、縦横無尽にイメージの広がる、この番組らしい物語になったんではないでしょうか!?

それではみなさんと紡いだ物語「バタフライエフェクト」どうぞお楽しみください!


第1話 ラジオネームおくらちゃんの作品


焼き鳥屋でぼんじりの名前が出てこない。

ふいにこってり系が食べたくなったが、
どう頑張っても"ぼんぼり"としか出てこず。
仕方なく朧げな記憶のまま注文してみる。
「あの…"ぼんぼり"みたいな名前のヤツ、あります?」
「ああ、ぼんじりですね。今日はみさきもありますよ」
「……!」

思わぬところで、懐かしい名前に出くわす。

「"ミサキ"って何ですか?」
「メスのぼんじりですね。オスよりも脂が乗ってて柔らかいですよ」


変な動悸に見舞われながら待つこと数分。
生まれて初めて"みさき"を食べながら、俺は美咲のことを思い出していた。

ーーーたしかに、脂が乗ってて、軟らかい。

口に広がる旨みとは裏腹に、胸には淡い苦味が去来する。


第2話 ラジオネームみんとさんの作品



実は子供の時に、みさきという名前の宇宙人に会ったことがあった。

信じてもらえないと思って、今まで誰にも話せずにいた。
見た目は学校の担任の先生のようなきれいな女の人だったけど、宇宙人だった。
 

第3話 ラジオネームあこたんさんの作品



実はあの宇宙人には、何度か、誑かされた。

「ねーねー、きみ!フリーメイソンって知ってる?」

あの時から僕(俺)は、インチキ臭いなぁとは思っていた。

あの出来事さえなければ...


第4話 ラジオネームアスカさんとかんとぅすの作品



次回、

シロマンタ事変


第5話 ラジオネームテトさんの作品



シロマ・ンタと言う名の人物が日本沈没を起こそうとしていると噂が独り歩きし集団パニックが起きた事があった。

これが『シロマンタ事変』概要である。


第6話 ラジオネームぶたまるさんの作品



やっと着いたアメリカ。アラスカ基地まではあとどれくらいだろうか?

彼女との約束の地。彼女はあの約束を覚えているか?


第7話 ラジオネームアスカさんの作品



不意に塞がれた唇

余韻に浸る間もなく離れていった微かな熱

Go back once again

取り残された僕のpast future

イカサマのようなFirst Kissは突然に


第8話 ラジオネームキキさんの作品



“チッチッチ。相変わらずだなぁ、音程ズレてるぜ?”

と、 突然男が話しかけてきた。

なんだ、この男?と怪しんでいると

“おいおい、俺のこと忘れたのかよ?”

とその男は言った。

第9話 ラジオネームグラコロさんの作品



“アタクシもいるってことをお忘れじゃないでしょうね?”

なんてことだ。知らない女も現れた。


第10話 ラジオネームべにおさんの作品



“ハックション!”

その女は突然くしゃみをした。その風で俺は宇宙へ飛ばされた。

宇宙は何て寒いんだ。

“ハックション!”

くしゃみが出た。ここは無重力空間。

くしゃみのエネルギーで地球へ飛ばされ奇跡的にアラスカに戻った。

そこへ先ほどの女が来て 「ナサのアラスカ基地へお帰りナサい」と寒いダジャレを言った。

“ ハックション!”

女の隣にいた男がくしゃみをした。俺はさらに遠い宇宙の果てへ飛ばされた。



第11話 ラジオネームまゆかさんの作品



宇宙を漂いながら、自分にはどうすることもできない状況にもうどうでも良いか、と半ばあきらめの気持ちでいた。

どれくらい時間がたったか、お腹が空いてきて、以前焼き鳥屋で食べたミサキ美味しかったなぁ、また食べたいな、と思っていると急に景色が変わり、気づくとあの時の焼き鳥屋の中にいた。

どうやらテレポートしたようだった。

そう言えば、ここでミサキを食べながらみさきの事を思い出していたっけ、などと考えていると、再び景色が変わり、目の前には一人の女性の姿があった。

忘れもしない、みさきの姿がそこにはあった。



第12話 ラジオネームアスカさんの作品



どうして俺はこんな大事なことを今まで忘れていたのだろうか。

「無理もないわ。あんなことがあったんですもの」

そう言うと、彼女は妖艶な指先で俺の頬をそっとなぞった。

「でも、もう大丈夫よ」

優しい彼女のほほえみと共に温かな感触が重なり合う。

「…ねぇ、もっと傍に居たいの。…ダメかしら」

彼女の瞳からは一滴の涙が零れ落ちた。逸らされることのない綺麗な翡翠色の瞳がすべてを物語っている。

きっと俺達に言葉はもう要らない。
俺は彼女の細い腰を引き寄せ、力いっぱい抱きしめた。


第13話 ラジオネームぶたまるさんの作品



なんか嬉しそう。いい夢でもみてるのかな…

彼の眠る顔を見ながらミサキは思った。

あのシロマンタ事変がキッカケで彼は眠ったままだ。

病室から見える桜は満開。

窓を開けると桜の花びらが彼の頬に落ちた。

復讐の時が来た…


第14話 ラジオネームなつもさんの作品



もし彼が起きていたら「馬鹿な真似はよせ」なんて言うのだろう。

でもごめんね。君が許しても、私はあれを許せないの。

唇をかみ、痛いくらいに拳を握りしめる。

「やり遂げてみせる。たとえ私一人でも」

そう呟くと、背後から頼もしい声が聞こえてくる。

「おいおい、一人だなんて。俺のこと忘れたのかよ?」

「アタクシもいるってことをお忘れじゃないでしょうね?」

その言葉に、強張った表情がほどけていく。

「忘れるわけないじゃない」

私は振り返って、二人に笑顔を向ける。

「今年ももうすぐあの日…シロマンタ事変の日が来る。その日がXデーよ」


第15話 ラジオネームテトさんの作品



3人は大きな湖の前にいた。

『あなたの出番よ!』

ミサキの言葉に呼応するかの様に湖は割れ巨大なロボットがせり上って来た。

男が言った
「チッチッチ。なんてこったい!」

女が言った
「Z世代とはよく言ったものだわね!」

『素敵でしょ』
とミサキは微笑んだ。

男が言った
「これに、どうやって乗り込む気だい?」

女が言った
「野暮な事言わないで。大人の事情よ。考えるな感じろ!って言うやつ。」

『そうい事ね。』
とミサキがウインクをした。

次の瞬間ロボットの中にいた。

『行くわよ!』
ミサキの言葉と共にロボットは動き出した。



第16話 ラジオネームりっちゃんさんの作品



「ハイカット!OKでーす!」

と野太い男の声がした。



実はここまで映画撮影だった。



第17話 ラジオネームなるるさんの作品



「いやぁ、良かったよ!最高!」

監督が女優へとすり寄る。

「ありがとうございます」

女優が微笑む。その後、昼休憩のため女優は控室へと向かった。今日は森の中の湖でロケのため、控室はなく近くの別荘を貸し切っていた。

午後になり撮影が再開されたが、そこに女優の姿はなかった。

「私、呼んできます!」

付き人が別荘へと走り出す。すると

「キャー!誰か!」

付き人の叫び声。

マネージャー、監督、共演者たちが慌てて別荘へと向かった。するとそこには、口から血を流し、床に倒れている女優の姿が。

「き、き、救急車を…」

震える手でマネージャーがスマホを取り出す。するとそこへ見知らぬ男が現れ、こう言った。

「犯人はこの中にいます」


第18話 ラジオネームアスカさんの作品






「………で?」


「…………ん?」




「いや、いや」


「いや、いや、いや」



「……え?」




「…ん?」


第19話 ラジオネームキキさんの作品



「よっしゃー、アラスカに着いたどぉー!!」

今日はバラエティでありがちな、ジャンプすると目的地に瞬間移動するシーンの撮影日だった。

風の便りで、アイツが今もこの街で元気に暮らしていると聞いた。

今の俺を見たら、アイツは何と言うだろう。

 


第20話 ラジオネームテトさんの作品



アラスカの大地で寝そべりながらオーロラを見ていたら、俺は犬ゾリに轢かれた。
 


第21話 ラジオネーム今田さんの作品



その日から俺はオーロラを見て犬ゾリに轢かれるのが日課となった。

最初は子犬だった彼らが日々成長していく姿を見るのが楽しいのだ。

毎日犬に踏まれ、ソリに滑られ、俺の体は薄くヒラヒラになっていった。

魔法の絨毯のように空を舞えるようにもなった。

犬たちを乗せて、さあ出発だ。
 


第22話 ラジオネームサンドラさんの作品



旅の間に犬たちはすっかり大人になった。

ある日、メス犬のナサが俺に恋の悩みを打ち明けた。

 


第23話 ラジオネームテトさんの作品



恋をしたら人も犬も止められない!

俺はナサを心から応援し、親身に話を聞いた。

ある日ナサが凄い勢いで駆け寄ってきた。

「ケルベロスがOKしてくれたの!」

ナサの好きな相手はリーダー犬のケルベロスだった。

ナサは感極まり、俺に"嬉れション"をした。

すると平たくペタンコになっていた俺の体は元に戻った。


第24話 ラジオネームきーこさんの作品



「…ふぅん…ねえ、それ、ホントの話なの?」

興味なさげな言葉とは裏腹に、少年の目にはどことなく期待の色が見える。

「ふふっ。さて、どうでしょうねぇ?」

意味ありげに微笑みながら、自分に寄りかかる老犬を撫でる年おいた女性。
ぱちぱちと薪のはぜる音と、窓を叩く風の音が静かな部屋に響く。

「だって、どう考えたってまともじゃないよぉ…しかも、それがこのナサだって言うんでしょぉ?」

女性と同じように老犬ーーナサを撫でる少年。

「そうね、多くの人が”どうかしてる”って思うでしょうね。でも…」

女性はイタズラ好きな子供のように二カッと笑った。

「人生なんて楽しんだもの勝ちでしょ?」

少年もつられてニカッと笑う。

「ねえ、続きを聞かせてよ」

「ふふ、そうね。それに、きっともうすぐ…」

女性は窓の外、遠くに見える建物を愛おしそうに見つめた。

「そうよ。もう、すぐ…」


第25話 ラジオネームサンドラさんの作品



120歳の女性は話を続けた。

「もうすぐ私の大切な人が帰ってくるの。ナサも心待ちよ。
彼のこの100年の活躍をあなたにも見てほしいわ」

そして、少年とナサを連れてタイムマシーンで過去へ。

2023年へ。


第26話 ラジオネームトッチュさんの作品



2020年代、地中は少しずつ丸みをなくしていき、角ばった形に変わっていった。
そのことに最初に気づいたのは空を飛んでいた俺だった。
その後、アラス、カクカク研究所に協力を求めた。
そして原因を探っていった。


第27話 ラジオネームヤンさんの作品



研究所には頭も体も柔らかい精鋭たちが集まっていた。
保育園の園児たちだ。
俺と園児たちと犬たちは、角ばったところをやわらかくして戻す”地球円満化”について話し合った。
その中でナサだけは気付いていた。
俺が保育士の女性をチラチラ見ていることに。


第28話 ラジオネームあみさんの作品



地球の角ばった部分のひとつ。
それが園児たちの”好奇心の固まり”で出来ていたことが判明した。
こうして地球の四角時代は問題なく過ぎた。

そして、次に来た三角時代
保育士の女性、俺、園長の三角関係はもつれにもつれた。


第29話 ラジオネームトッチュさんの作品


三角関係。
これは物理の世界では、三角もつれと言われる現象だ。
A角に近づこうとB角が移動するとC角も同じ距離を移動する。

俺はこの量子力学もどきの研究に専念した。
そしてようやく思考タイムマシーンの発明に成功した。
俺があることを考えると相手も同じことを考える。

俺は頭の中で、子供の頃に戻って将来の夢を変えた。
これに呼応して園長の脳内も子供時代に戻り、園長になる夢を別の夢へ変えた。
これで園長は保育士の女性に出会うことはないだろう。


30 ラジオネームコウさんの作品


ライバルは消えてはいなかった。
園長は夢を変え、副園長になった。

俺は保育士の女性に告白することを決め、アラスカ基地附属保育園のすぐそばまで来た。俺はこれからシャトルを飛ばす。ラブレターを紙飛行機のように折り、中にマリッジリングを入れた。俺の手作りシャトルだ。

「受け取ってください!」
女性へと向かうシャトルが俺の手から放たれた。

順調にシャトルは女性の元へと飛んでいった。だが、もうすぐというところでマリッジリングがシャトルから落ちた。そこで奇跡が起きた。

スポッ

左手の薬指にリングがきれいに入ったのだ!

「お~い」と手を振りながら女性を呼びに来た副園長の太い薬指に。かろうじてラブレターシャトルはまだ飛行中だ。副園長に読まれたくないっ。俺は落下予想地点まで走った。

間に合いそうだ。

ゼェゼェ ハァハァ

俺はNASAのアラスカ基地でシャトルの着陸を待つ。

<完>


 

いかがでしたか?ハチャメチャながらも、不思議と爽やかな後味の残るストーリーだったのではないでしょうか!?

そして、
福山さんが全30話を朗読した「バタフライエフェクト」音声版を作成しました!こちらの音声をお聴きいただけるダウンロードカードを、1月13日に開催する番組イベント「盆地のホテルはオーシャンビュー」で販売いたします。限定100枚なので当日お越しになる方はどうぞお買い逃しなく!

現在追加席も販売中ですので、まだチケットお持ちでない方はお急ぎください!

「盆地のホテルはオーシャンビュー」イベントサイト