結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2013年12月3日 Vol.088
はじめに
おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
* * *
今月刊行の『数学ガールの秘密ノート/整数で遊ぼう』の表紙が到着しました!
◆『数学ガールの秘密ノート/整数で遊ぼう』表紙画像
https://twitter.com/hyuki/status/405229527460098049/photo/1/large
いつものように表紙・イラストはたなか鮎子さんで、装丁・デザインは米谷テツヤさんです。 今回は少し雰囲気が変わり、ファンタジー風味が多めのすてきな表紙になりました。 多くの読者さんに届くといいなあ。
……と思っていたら、まだ予約の段階なのに、 先日アマゾンの「数学」部門ランキングで第一位になりました! たいへんうれしいです!応援してくださるみなさんにほんとうに感謝です。
◆『数学ガールの秘密ノート/整数で遊ぼう』(アマゾン)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797374152/hyuki-22/
ところで実際に実物が店頭にならぶスケジュールですが、 おそらく2013年12月の17日〜19日ころではないかと思います。 都内の大型書店さんでは17日に店頭に並ぶことが可能性としてはありますが、 書店さんのご都合などにより数日のずれがあります。
毎回新刊が出るたびに読者さんから「一番早く入手できる方法は?」という おたずねがあるのですが、これは何ともいえないです。 都内の大型書店さんに12月17日ころから通うか、予約注文するか、 あるいはアマゾンさんのようなネット書店に予約注文するか、 どの手段を取っても「最速の保証」はできないようです。 Twitterを見ているとどのパターンでも 「別の方法をとった方が結局早かったかも」というツイートを見かけますので…… すみませんです。
* * *
結城はタンブラーというサイトに毎日の予定を書いている、 という話はこの結城メルマガでもときどき書いています。
・週の終わりには「来週の予定」
・朝には「今日の予定」
・夕には「明日の予定」
をテキストでぱたぱたと書いています。 それだけのことですけれど、地味に役に立つものです。 おそらくそれは「問いかける習慣」に結びつくからだと思います。
・週の終わりには「そういえば、来週は何をするんだっけ」
・朝には「今日は何をするんだっけ」
・夕には「明日は何をするんだっけ」
それはとても単純な問いかけですけれど、 ともすればだらだらと流れがちな時間の中で「自分の位置を確認する」という行為と 言えるでしょうね。現在の活動にのめり込んでいる自分を一時停止して、 頭を起こして「えっと……」とまわりを見回す。 それは自分の安定を保つために必要なのでしょう。
一週間程度は振り返りますが、 タンブラーに書いたものをずっと遡って振り返ることはやっていないので、 長期的な活動分析には役立っていません。でも、まあそれでもいいのかも、 といまは思っています。 会社と違い、一人で仕事をしていますから、 あまり管理部分にコストを掛けるのもどうかなという意味です。
それから、タンブラーに記入するだけではなく、 毎月の初めに「今月の重点書籍」を確かめる習慣もあります。 本を書く仕事は 日々の仕事(結城メルマガや連載記事)とは別にじっくり継続させなければいけないし、 ある程度以上に自分の温度を保ち続ける必要があるからです。
ちなみに今月の重点書籍は『数学文章作法 推敲編』です。 実は先月の重点書籍もそうだったのですが、 『数学ガールの秘密ノート/整数で遊ぼう』の最終作業がたくさんあるので、 なかなか進めることができませんでした。 今月はがんばって進めていきましょう。
それはそれとして、先日頭痛で寝込んでから、 あまり無理に仕事を詰め込まないようにしているつもりです。 無理せず、無理せず、うまくサボるように注意しています。
ともあれ、現代のような難しい時代に、 好きな仕事が与えられていること、 私の仕事に対して期待してくださる読者さんがいることには いつも感謝しています。私は幸せものですね。
* * *
頭痛といえば。
ずっと以前から、天気が悪くなると頭痛がするように感じていました。 先日寝込んだときも台風が接近したときでしたしね。
あるときふと「気圧変化を教えてくれるiPhoneアプリってないのかな?」と 疑問を抱きました。Twitterで尋ねてみると多くの方から 「気圧変化と関連づけて頭痛の記録をつけるアプリ」を教えてもらいました。 こういうものがちゃんと存在しているのですね。 びっくりです。
◆頭痛〜る (iTunes)
https://itunes.apple.com/jp/app/tou-tong-ru-qi-ya-yu-bao-jian/id602991338?mt=8
これを使ってここ数日観察しているのですが、私の場合にはやはり、 「気圧が下がるときに軽い頭痛がする」という傾向が見られますね。 もちろんこのアプリで頭痛が治るわけではないのですが、 気圧の変化を見ることで「頭痛が今後どれだけ続きそうか」という予測がつけられ、 頭痛薬を飲み過ぎないようにできるという効果はありそうです。
* * *
時計の話。
ネットで見かける広告をクリックすることってほとんどないんですが、 ちらっと「58秒で一周し、2秒停止する時計」(文面は不正確です)という広告が気になりました。 これは、stop2go(ストップ・トゥー・ゴー)という時計の広告でした。
Webサイトによりますと、この時計はスイス国鉄の駅で採用されているらしく、 秒針が12時の位置で2秒停止するのだそうです。 「駅の時計すべてが同じ時刻を示すために、列車のより正確な運行を実現するために考えられた」 という効果はよく理解できませんが、何だかすごくカッコいいと思います。
以下の二分間の動画では、秒針が止まり、分針が1進んでから秒針が動き出す様子を見られます。
◆Mondaine stop2go Video (YouTube, 2:06)
https://www.youtube.com/watch?v=2um_FXZ3DGU
◆モンディーン stop2go (ストップ・トゥー・ゴー)
http://www.mondainewatch.jp/SHOP/stop2go/A5123035816SBB.html
◆モンディーン stop2go (ストップ・トゥー・ゴー) (アマゾン)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00F60JXJ8/hyam-22/
* * *
別の話題。
Macでソフトウェアのパッケージを管理するツールにHomeBrewというものがあります。 これは、コマンドラインから「brew」と入力して使います。 たとえばソフトを検索するには「brew search ソフト名」と入力しますし、 ソフトをインストールするには「brew install ソフト名」と入力します。
このHomeBrewには「brew doctor」という機能があります。 これはいわゆるセルフチェック機能で、HomeBrewが管理しているソフトやライブラリが おかしな状況になっていないかをチェックしてくれるというものです。 このコマンドを入力して、HomeBrewが何かおかしなこと(たとえば、ディレクトリが期待した パーミッションになっていないとか、使われていないライブラリがあるとか)を 検知すると、対処方法を教えてくれます。
この機能のすばらしいところは、ユーザが行った個々の手順について 正しいかどうかを教えたり調べたりするのではなく、
現在の状態
を調べて教えてくれるところにあります。 つまり「途中の手順がどうであれ現在は大丈夫だよ」あるいは 「途中の手順がどうであれ現在はまずいよ」と教えてくれるということ。 これはユーザとして大きな安心感に繋がるように思います。
コンピュータのような複雑なシステムが特にやっかいなのは、 システムが過去の「記憶」を持っているからです。 購入直後からユーザはコンピュータに対していろんな「操作」を施します。 ファイルを作ったり消したり、ソフトをインストールしたりアンインストールしたり。 その履歴を積み重ねてできたものが現在のシステムです。 ある意味、世界中に完全に同じコンピュータシステムは存在しません。 購入してからの操作の履歴は一つ一つ異なるからですね。
「何かおかしい」というときにゼロからやり直すのはたいへんです。 brew doctorのように「過去どんなことをやってきたかは知らないけれど、 現在の状態はここがまずいので、ここを直せばよいよ」と教えてくれる 機能はたいへん助かるのです。
* * *
さて、そろそろ結城メルマガを始めましょう。
今回のメインコンテンツは「数学ガールの特別授業」です。 結城が高校で行った授業の風景を読み物としてお届けする連載です。 また、Q&Aのコーナーでは「素直さ」について答えます。
どうぞお楽しみください!
目次
- はじめに
- 数学ガールの特別授業
- Q&A - 学ぶ姿勢と素直さについて
- 次回予告
コメント
コメントを書く