結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2012年8月7日 Vol.019
結城クイズ
「なおざり」と「おざなり」の意味をそれぞれ説明してください。
はじめに
おはようございます! 毎日暑い日が続いていますが、お元気ですか。
結城は毎日Twitterでツイートを楽しんでいます。 何ということもないつぶやきを書き込んだり、 お友達と気軽なやりとりをしたり、 それから私の本の読者さんにお礼を言ったり…気軽に書き込みできる Twitterはお気に入りのサービスです。
これまでの結城のツイートの中で最も多くリツイートされたものは、 2012年6月25日にツイートした以下のものです。
【速報】今週で2012年の前半が終了します。
https://twitter.com/hyuki/status/217032797775343616
「【速報】今週で2012年の前半が終了します。」という一文が、 1万以上(!)もリツイートされて驚きました。
やっぱり誰しも「時間がすぎるのは早いなあ!」や 「うわっ!2012年ももう半分過ぎたのか!」などと 感じているのでしょうね。 上のツイートに対して「デマだ!」というリプライがついたりもしましたよ。 もちろん「2012年が半分過ぎたなんて信じられない!」というニュアンスの 軽口です。
ところで、私のツイートのような、
【速報】と冠して、いわゆるニュースではない日常の事象を表現する
というのは、ネットでの特徴的な言い回しだと思います。 ふだんからネットでの書き込みに慣れている人は不思議に思わないのですが、 このニュアンスをネットに慣れていない人に説明するのは けっこう難しいです。
たとえば「このツイート、1万以上リツイートされたんだよ」と 家内に説明したのですが、彼女はいまひとつピンとこなかったようです。 「なぜこれが【速報】なの?」と言われてしまいました。
「ツイッターでは【速報】や【急募】といった言葉を、 本来の意味からは少しずらして使うことがあってね…」 などと説明しましたが、当たり前に使っている表現をあらためて 説明するのは難しいものだと感じました。
と、ここで話は「文章の書き方」にシフトします。
文章を書くときに最も大切なのは「読者のことを考える」です。
狭い範囲の読者に読みやすい文章を書くのは比較的楽です。 どういう言葉はすぐに受け入れてもらえるか、 どういう言葉は詳しく説明する必要があるか、 それが推測しやすいからです。
それに対して、広い範囲の読者に読みやすい文章を書くのは難しいものです。 知らないことは詳しく説明しないとわかってもらえないし、 知っていることをながながと説明すると「くどい」と思われてしまうからです。
わからない人にもきちんとわかるように説明しつつも、 よくわかっている人にも「くどい」と思われない工夫。 それは文章を書くときに(そして、人に教えるときにも)大切なことですね。 ふだんから、
- どの程度の説明ならわかってもらえるのか、
- どのくらい説明したらくどいと思われるのか、
という感覚を磨いておきたいものです。
…と「はじめに」が長くなってしまいました。 読者さんに「くどい」と思われる前に、メルマガを始めましょう!
目次
- 結城クイズ
- 特別企画 - 結城浩セミナー/プレビュー版(3)
- Q&A - 「自炊」で「失敗した!」ということはありませんか
- 結城クイズの答え
- 次回予告 - 手書きノートのスナップショット(5)
コメント
コメントを書く