結城浩の「コミュニケーションの心がけ」

Vol.032 結城浩/あなたは、いかがですか/手書きノートのスナップショット(7)/

2012/11/06 07:00 投稿

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  • 本を書く心がけ
  • 手書きノートのスナップショット

結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2012年11月6日 Vol.032

結城クイズ

読めますか?

 1. 耽る
 2. 慮る
 3. 濾す

検索すれば答えはわかりますけれどね。

はじめに - あなたは、いかがですか。

おはようございます。いつも結城メルマガのご愛読ありがとうございます。

Web連載『数学ガールの秘密ノート』がはじまりました!

cakes(ケイクス)でWeb連載『数学ガールの秘密ノート』がはじまりました。

 ◆第1回 文字と恒等式(前編)
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 高校一年生のテトラちゃんは好奇心旺盛な女の子。
 放課後の図書室で、高校二年生の先輩である「僕」といっしょに
 数学をするのがとっても楽しみ。
 いつものように先輩と数学の話をしていると、
 そこに長い黒髪の才媛「ミルカさん」がやってきて……

毎週金曜日に更新します。よろしければお読みください。

資料について

さて、突然ですけれど、結城は「資料を調べて書く」というのが苦手です。 原典にあたるということ自体は好きなのですが、 たくさんの資料を相互に参照して細かい差異に注意するのが苦手です。

どうしてそうなんだろう、と考えていて気づいたのが、 根底にはどうも、

 「自分がわかっていることを書きたい」

という気持ちがあるようです。

  • わかっていることは書きたい。
  • わかっていないことは書きたくない(書けない)。

まあ、こうやって文にしてみると当たり前になってしまいますけれど。

「わかっていることを書きたい」という気持ちと 「資料を調べる」ことの関係は直接的です。

いろんな本を読み、資料にあたった後に、 自分でよく考えて咀嚼して、自家薬籠中のものとしたならば安心して書ける。 でもそこまでいかないと書けない。ということは、 資料を使わないと書けないことに取り組むと、とても時間がかかってしまう。 だからつい苦手になってしまうようです。

自分が書く側のときだけではなく、読む側のときも同じことを感じます。 たとえば、引用がたくさん出てくる本ってありますよね。 結城はそういう本がちょっぴり苦手です。嫌いというほどではないですが。 なんというか、情報を切り貼りしている印象があるからかもしれません。 全体をもう少し統合して書いてくれないかなあ、という気持ちになるのですね。

卑下について

話変わって「卑下(ひげ)」の話。 卑下というのは「自分に対する評価が低い」という意味で、 いうなれば「自分なんてどうせ」という気持ちです。

結城はつねづね「卑下」と「謙遜(けんそん)」は違うと思っています。

「卑下」は自分をずっと見ている。関心は自分にある。 「自分なんてどうせ」といいながら、自分が気になってしょうがない。 自己評価は低いのだけれど、他者からの評価がひどく気になる。

それに対して「謙遜」は自分をあまり見ていない。 必要以上に自分を気にしない。 謙遜な人は、全体を広く見ることができていて、 自分の力なり、自分の立つべきところを知っている。 謙遜な人は、分をわきまえている。 自己評価が低いというよりも、自己評価が適切。

その結果、真に謙遜な人というのは、 自分が適任である場面ではさっと前に出て動くことができる。 でも、しゃしゃり出るべきではない状況では、裏方に徹することもできる。

そんなふうによく思います。

賢明さについて

結城は毎日、インターネットを通してたくさんの情報に接しています。 調べ物をしたり、知識を得るのがほんとうに楽になっています。 ありがたい時代です。

でも、その一方で、

 たくさん情報を集めても、自分が賢くなったわけではない

とも思います。情報を集めただけで賢くなるわけでもないし、 良い人間になるわけでも、謙遜になるわけでもない。

人間は(というか結城は)、 ネットでちゃちゃっと情報を集めるハイスピードで変化することはできません。

もう少しゆっくりした「自分にあったスピード」というものがあって、 そのスピードで変化しているようです。

 何年か経験を積み重ねているうちに、少しずつ。
 何回か手痛い失敗をしているうちに、ようやく。
 何人かの人との貴重な出会いを通じ、何となく。

ネットのスピードが悪いわけではないし、 何かのきっかけ、トリガー、刺激としては重要です。 自分のモチベーションを保つ上でも有効です。

でも。

やはり人間には(結城には)もっとゆったりした流れも必要です。 ゆったりした流れ、大きなうねりがあることを忘れてはいけない。

ドラマを四倍速で見たからといって四倍感動するわけではない。

どんなものにも、適切なスピードがあるのです。

秋から冬へ

春の萌え出るよろこびとも違い、夏の激しさとも違う、秋。 そして、秋から冬へ。

じっくり落ち着いて、自分にあったスピードで、 ゆったりと考えを深める季節にしていきたいな。

そんなふうに思います。

あなたは、いかがですか。

それでは、今回のメルマガを始めます。

目次

  • 結城クイズ
  • はじめに - あなたは、いかがですか。
  • 本を書く心がけ - 手書きノートのスナップショット(7)
  • 結城クイズの答え
  • 次回予告 - 数学文章作法「基本」
 

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