結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2022年3月29日 Vol.522
はじめに
結城浩です。
気がつけば、もうすぐ三月も終わりですね。私のまわりでは桜がもう散り始めています。
あなたのところではいかがでしょうか。
今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。
目次
- iPhoneで自分専用の通知音を無料で作る
- 100パーセントを求めることの良し悪し - 散歩しながら考えたこと
- 壁紙を変える
- 好きなことで生きるためにはどうしたらいいか - 人生を歩む
- 未来を見るために「展望台」に登る日を作る - 仕事の心がけ
iPhoneで自分専用の通知音を無料で作る
結城の家族はみんなiPhoneを使っています。
生活していると、電話の着信音、アプリの通知音、アラームやタイマーなどの音が「かぶる」ことがあって、ときどき家族をびっくりさせたり、びっくりさせられたりします。
音には意味が付随していて、私としては「単なるタイマーの音」なのに、家人にとっては「電話の音」だったりするからです。
標準の音はバリエーションが限られているので、どうしても「かぶる」ことが多いですね。そこで、自分で音を作ってみることにしました。
iPhoneには標準(無料)でGarageBand(ガレージバンド)という音楽作成アプリがついてくるので、これを使って作ります。音楽の知識はまったく要りません。指を数秒ちょっと動かすだけでできます。
たとえばこちらはGarageBandのWalm Bell Padsという音源を使って私が作った音です。適当に指を動かしただけなので、音自体の制作時間はわずか3秒くらいです。
◆3秒で作った音
https://audio.hyuki.net/20220204164055-a94eb99afa376855-WalmBellPads.mp3
iPhoneのGarageBandアプリでカスタム着信音を作るための作成手順は次の通りです。
- (1)GarageBandアプリを起動し、新しい曲を作る「+」をタップします。
- (2)音源を選択します。たとえば「その他のサウンド」で楽器が選択できます。
- (3)楽器の一覧が出てくるので、好きな楽器を選びます。ものすごくたくさんあるので迷いますが、どうせ試行錯誤するので、最初は適当な楽器を選んでかまいません。
- (4)「コード」を選んでおき、「アルペジオ」をタップし、アルペジエータの「実行」をオンにして「完了」を押します。こうしなければいけないわけではありませんが、メロディっぽくなります。
- (5)「録音ボタン」を押し、指を適当に動かして演奏したら「ストップボタン」で止めます。
- (6)お好みで曲の長さを調整してもかまいません。
- (7)画面左上の「三角印」をタップしてMy Songsへ戻ります。
- (8)いま作った曲がプロジェクトとしてMy Songsに保存されていますので、その「プロジェクト」を長押しして「共有」を選びます。
- (9)「曲を送信」という画面になりますので「着信音」を選び、着信音の名前を設定して「書き出し」を押します。
- (10)「着信音の書き出しに成功しました」という画面で「着信音の用途…」という表示が出るので、用途を選びます。標準着信音、標準メッセージ、連絡先から「標準着信音」を選びます。
- (11)iPhoneの設定アプリを起動し「設定」から「サウンドと触覚」へ進み、「着信音」が先ほど書き出した着信音になっていることを確認します。以上です。
アプリのバージョンやiPhoneのバージョンで細かい部分は変わるかもしれませんが、作成手順のスクリーンショットを以下のPDFにまとめました。
◆無料でカスタム着信音をiPhoneだけで作る手順(GarageBandを使う)
https://img.hyuki.net/2022-03-18_makesound.pdf
結城はこの方法で10曲ほど作り、アラームの通知音などに活用しています。お試しください。
100パーセントを求めることの良し悪し - 散歩しながら考えたこと
若いときにはよく「目標は完全に達成しないと無意味だ」と考えたものでした。
でも、いまにして思うと、それはずいぶん偏った考え方だったと思います。目標を完全には達成できなくても良い活動はたくさんあるし、そもそも目標に向かうことや経験を積んだりすることにも意味はあるからです。
しかし、若いときにはなかなかそうは思えませんでした。目標を完全に達成できないことの言い訳みたいに感じたからです。そのように考えるのは年代ごとの特徴なのかもしれません。
「目標を完全に達成しようと思うのに、悪いことは何もあるまい」と言いたくなる場合もありますが、悪いこともいろいろあります。たとえば「これじゃ無意味だ」と考えて、せっかくやりかけた良い活動を止めてしまったことがありました。もったいないことです。
そしてもちろん、目標を完全に達成できない場合は多々あるわけですから、そこから心を病んでしまうこともあるでしょう。元気なうちはいいのです。でもメンタル不調なときに完全を求め続けるなら、病みは深くなります。
完全を求める気持ち、100パーセントを求める気持ちが良い方向に向くことはもちろんあります。でも、それを完全に達成しなければ無意味だなんて考えるのはやり過ぎでしょう。もちろん「100パーセントを求める気持ちは絶対にダメだ」のように逆方向に進むのもやり過ぎです。
科学的な追求や、コンピューターやプログラムや数学などの成果物に関しては、完全を目指す意味はあるかもしれません。でも、人間に関してはどうでしょうか。
人間は機械ではありません。ですから、人間については「完全」や「100パーセント」を突き詰めて求めるのはあまり良くありません。改善を考えるのは大事だけれど、完全にならなければ駄目と考えるのではなく、ほどほどにしておく。また「そういうこともあるさ」と抑え目に考えるのも悪くないと思います。
人間は、揺れ幅やブレが大きいし、変化し続けるものでもあります。全てを完全にコントロールする、100パーセントの達成を目指す、そういうのはあまりよろしくないんじゃないかと今の年齢になって思います。
人間関係ではむしろ逆に「ゆるす」や「認める」や「許容する」といった部分が大事になってくるのではないかと思います。
あるいはまた「こちらの方が良いよ」と伝えはするけれど、相手がそれに従うかどうかには固執しないといった態度も大事じゃないでしょうか。
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この文章は、散歩しながら「結城浩の作業ログ」に音声入力で書いたものをもとにしています。
◆結城浩の作業ログ
https://log.hyuki.net/
壁紙を変える
ここで「壁紙」というのは、部屋のリアルな壁紙のことではなくiPhoneやMacBookの壁紙のことです。
2019年1月に、結城は「インクリメンタルな環境改善」の一環として「iPhoneの壁紙を毎週変える」という活動を始めました。
そしてそのときに、この活動を継続するためにiPhoneのリマインダーをセットしました。毎週一回自分あてに「iPhoneの壁紙を変えましょう」というリマインドを送るようにしたのです。
気がつけば、それから三年と数ヶ月が経過していました。時の経つのはまったく早いものです。そして、毎週とまではいえませんけれど、リマインダーのおかげで壁紙をよく変えてきたと思います。機械の助けを借りて習慣にするのはいいことですね!
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ところで、壁紙を変えるのがどうして環境改善になるのかというと、ひとつはもちろん「気分転換」です。iPhoneは一日に何度も何度も見るものです。壁紙を変えておくと、見るときに「おっ、そういえば壁紙を変えたんだった」という小さな驚きがあります。それはなかなかいいものです。
でも、壁紙を変えることによる効果は、単純な「気分転換」だけではありません。もっと重要な効果は「自分の環境を改善していくという意識が高まること」です。
結城は一人で仕事をしているので、ちょっと油断するとマンネリに陥ります。気がつかないうちに「いつもの手慣れたやり方を続けていればいいや」という油断をしてしまいます。
継続は大事ですけれど、マンネリはよくありません。小さくてもいいからインクリメンタルな改善を繰り返していく必要があります。
そして、新しくなった壁紙を見ることで「そうだ、改善しよう」という気持ちが新たになるのです。
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そのような意味を持たせていますので、実は壁紙そのものにはあまりこだわってはいません。いつもと違う「おっ」という驚きが生まれることを重視しているということです。
たいていはUnsplash.comで検索した画像を利用します。色を指定することでがらりと雰囲気を変えることができますね。「cloud(雲)」や「sky(空)」などもお気に入りのフレーズです。ダイレクトに「wallpaper(壁紙)」で検索することもあります。
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MacBookの方も壁紙を変えていますが、こちらはいくつかの画像をストックしておき、数時間を開けて自動的に切り替わるように設定してあります。
お気に入りはZapfのカリグラフィを壁紙にしたものです。これについては以前結城メルマガのVol.490「美しいものを日々味わう」で詳しくお話ししましたね。
◆美しいものを日々味わう(Vol.490)
https://mm.hyuki.net/n/ncfcd152bbf1d
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