結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2018年4月10日 Vol.315
はじめに
結城浩です。
いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
春ですね。不安定な気候ではありますが、ときおりくすぐったい感じの春の気分になります。
何か、新しいことを始めたい。自分の新しい一面を発見したい。そんな気分です。
今回の結城メルマガも、新しい学びやモチベーションアップの読み物が多くなりました。
どうぞごゆっくりお読みください!
目次
- はじめに
- 『数学ガール/ポアンカレ予想』刊行直前!
- 『数学ガール/ポアンカレ予想』《Web立ち読み版》公開!
- スケジュールから遅れない方法 - 仕事の心がけ
- 日常生活で見かける不正確な数式が気になる
- 転職する企業を選択する際に考えること - 仕事の心がけ
- 昨日の自分に負けないために
- 口頭で長文を話されると頭に入らない
- 学習のモチベーションを保つにはどうしたらいいですか - 学ぶときの心がけ
- 大学での授業の受け方 - 学ぶときの心がけ
- 数学的センスと高校数学 - 学ぶときの心がけ
- おわりに
『数学ガール/ポアンカレ予想』刊行直前!
いよいよです。
『数学ガール/ポアンカレ予想』が2018年4月14日(土)に出版されます。オフィシャルな日付はこうなのですが、流通の関係で地域によっては前後する可能性もあります。ご了承ください。
結城は2018年4月10日(火)つまりこの結城メルマガが配信される日に《サイン本》と《メッセージカード》を編集部で作成します。
《サイン本》は一部の書店さんで先行販売されます。また《メッセージカード》は一部のチェーン書店さんでの販売時に書籍中に同梱されます。
具体的な書店さんのリストや、チェーン書店さんのリストは結城のTwitterやnote(ノート)などでアナウンスしますので、ぜひフォローしてくださいね。
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また「結城浩ニュースレター」でもアナウンスします。
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「数学ガール」シリーズ、六年ぶりの新刊。ぜひ応援してくださいね!
◆『数学ガール/ポアンカレ予想』
http://www.hyuki.com/girl/poincare.html
『数学ガール/ポアンカレ予想』《Web立ち読み版》公開!
『数学ガール/ポアンカレ予想』の《Web立ち読み版》を公開しています。
Webブラウザでいますぐ、詳細目次と第1章がまるまる読めます。登録不要。もちろん無料です。
どんな内容になるのかなと目次だけチェックするのもよし、発売に先立って第1章をのぞいて見るのもよし。
ぜひご利用ください。
◆『数学ガール/ポアンカレ予想』《Web立ち読み版》
http://ul.sbcr.jp/MATH-L4Hfe
スケジュールから遅れない方法 - 仕事の心がけ
質問
結城先生は、どのようにスケジュールを組んでいますか。
自分はいつもスケジュールから遅れてしまいます。
回答
私もです!
私も、スケジュールから遅れてしまいがちです。
対処方法としては、
・細かく〆切を作る
・他人を巻き込む
というのが効果的だとわかっています。この二つを一つにまとめると、
・〆切を自分から誰かに宣言する
になります。たとえば原稿の〆切だったら「第X章は、何月何日の朝までにメールしますね」のように担当者にメールしてしまうのです。
担当者が特にいない場合には、誰でもいいのです。自分だけだとどうしても甘えてしまい「まあ、これは明日でいいか」になってしまいます。誰かを巻き込んで「いつまでにこれを作る」のように言ってしまうと「やっぱりできなかった」と言いにくいので、遅れにくくなるのです。
「〆切を自分から誰かに宣言する」という方法をぜひお試しください。
日常生活で見かける不正確な数式が気になる
質問
私は数学が大好きです。特に厳密性、論理の正確性が好きです。
日常生活で厳密ではない数式や文を見ると、どうしても気になってしまいます。日常の範囲なので、気にしないで受け入れればいいとはわかっているつもりですが、どうしてもモヤモヤしてしまいます。
結城さんはこのような経験はありますか。もしあるなら、どのように考え、行動することで対処していますか。
回答
ご質問ありがとうございます。
日常生活で不正確な数式を見かけて気になるというのは、もちろんよくある話です。
気にするかしないかは、そのときの状況次第なので何ともいえません。
不正確なものを見て気になったときには、自分で正確な表現を試みることを心がけています。それを公開するかどうかは別で、自分の心の中で「正確にはこうだな」と確認するのです。
そのときに気がつくのは「正確にはこうだ」と表現しようとすると、意外にうまくいかないということです。つまり、自分自身も実は正確な知識を持っていなかったりするのです。だから「正確にはこうだよ」という表現を試みて自分の知識を再確認するのはいいことなのでしょう。
「あーあ、これは不正確だなあ」や「そんなのは、まちがいだよ」という指摘だけなら楽といえば楽。それに対して「正確にはこうだ」や「正しいのはこれだ」と正解を見せるのは意外に難しいものです。その意味では勉強のチャンスともいえますね。
「これは不正確だ。こっちが正確だ」というだけではなく「なぜこちらの方が正確なのか」という理由まで説明できたらさらに実力アップです。
さらには「どうしてこの人はこのような不正確な表現をしているのだろうか」と考えたり、「このような誤解をしている人にもしも正しい知識を伝えるとしたら、どんな表現をしたらいいだろうか」と考えたりするのも勉強になるものです。
以上のように、不正確なものを見た場合でも、自分の学びのチャンスだと考えるならモヤモヤを軽減できるかもしれません。
試してみてください!
転職する企業を選択する際に考えること - 仕事の心がけ
質問
現在、プログラマとしての転職先を探しています。
自社開発、副業OK、リモートワークOKというのが良い企業の条件のようですが、これらはまあまあいいフィルタかもしれませんが、本質的ではないと思います。
やはり理想は「自分のやりたいこと」と「自分に出来ること」がマッチしている企業だと思います。
でも、そこだけを念入りに調べたとしても、実際に働いてみたら想像と違っていたなんてこともザラにあるかと思います。前職はそれでやめました。
そんなことを考えていると、何も信じられなくなってしまい、情報収集したり人に会ったりするのが本当に良いことなのか疑うようになってしまいました。
結城先生が就職するとしたら、どのようにして企業を選びますか。
回答
ご質問ありがとうございます。どういう職場で働くかは重要ですから、悩ましい問題ですね。
企業をどう選ぶかというのとは少し話がずれるかもしれませんけれど、思うところを書きたいと思います。
私だったら、
・その企業からの仕事を受けてみる
・アルバイトとして中に入ってみる
・中にいる信頼できる人を尋ねてみる
そのようにして企業を選ぶかなあ、と思います。
そのようにする目的というのは、広い意味での情報収集です。もちろんあなたがおっしゃるように、入社してみたら「こんなはずじゃなかった」という危険性は常にあるわけですけれど、がっかりの度合いを低くするためにはやはり情報収集は欠かせないと思います。
ところで、あなたは「自分のやりたいこと」と「自分のできること」が会社とマッチするという点に言及していましたね。確かに、その感覚はとても大事だと思います。有名な会社で待遇がよくても入ってからの満足度が違うかもしれませんから。
ただし、そこで大前提となっている「自分のやりたいこと」や「自分のできること」は、ほんとうに自分でわかっているのかどうか。それは再確認した方がいいかもしれません。
というのは、少なからぬ人が会社で仕事をしているうちに「想像もしていなかったけれど、自分はこういう仕事をおもしろいと思うんだな」と気付いたり、「自分にはこんなことが意外に得意なんだ」と発見したりするからです。
自分のやりたいことはこうで、自分のできることはこうで、自分のキャリアパスはこうだ。と考えるのは大事です。でも、自分は生きていますから成長もしますし変化もするのです。
同じことは会社の側にもいえます。「わが社はこういう会社です」と現在はそういってますが、一年後にはもしかしたら別なことを主張しているかもしれません。会社の現在の姿に最適化しすぎた入社だと、すぐさま「あれれ?」ということもなりえます。
自分は変わります。会社も変わります。そして分野によっては変わらなければ生き残れません。時代に合わせて変化を続けないとあっというまに古くなる業界もあります。ということは、未来予測もある程度の幅が必要といえますね。
未来予測のベースとしても、情報収集は大事です。信頼できる情報源を通して、自分の知りたいことを掴むのは大事なことです。決して無駄ではないと思いますよ。
転職先を考える際に、自分はこの会社でいつ頃までどんなことをしてそうか、うまく行ったらどうか、まずかったらどうか、どのあたりに収まりそうか、のように幅を持って考えるといいですね。平均値、最大値、最小値、そして標準偏差のように。
良い転職ができますように!
昨日の自分に負けないために
質問
昨日の自分に負けないためには、どうすればいいですか。
回答
いつも、今日の自分を生きましょう。
昨日の自分はもういません。
明日の自分はまだいません。
いつも、今日の自分しかいないのです。
勝ち負けではなく、自分は今日に生きるしかないということを真剣に考えましょう。
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