Vol.234 結城浩/数学ガールの特別授業(筑紫女学園編)(5)/自分の判断、自分のリアル/繰り返しに耐える作品/学びの秋/

結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2016年9月20日 Vol.234

はじめに

おはようございます。

いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。

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最新刊の話。

『数学ガールの秘密ノート/やさしい統計』の、 初校ゲラ読み合わせが済みました。

 ◆『数学ガールの秘密ノート/やさしい統計』
 https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797387122/hyam-22/

来週に再校ゲラが届くまで、 ほんのちょっと一息つくことができそうです。 ……はっ、いやいや『数学ガール6』を進めなくては!

なお、今回も『数学ガールの秘密ノート/やさしい統計』では、 以下のような企画で盛り上げていきたいと思っています。

 ・サイン本無料プレゼント企画(結城の個人企画)
 ・サイン本の先行販売(北海道から沖縄までのいくつかの書店にて)
 ・メッセージカード付き書籍販売(全国のチェーン書店にて)

日程などは、決定次第Twitterなどでアナウンスしていきますね。

応援よろしくお願いいたします。

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写本の話。

先日、@okariiiinrinさんのツイートを見て驚愕しました。それは、 結城の『数学文章作法 基礎編』を手書きで写したというツイートでした。

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 結城浩さんの『数学文章作法 基礎編』の本文を写本しました。
 毎日の日課として(毎日はできていませんが笑)少しずつ進めてきました。
 約5ヵ月、ノート1.5冊、本日完了です。
 https://twitter.com/okariiiinrin/status/774853328266145792
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これまでタイプして写したという方は何人かいらして、 それにもたいそう驚き、また感謝したものです。 しかし今回は「手書き」で写したとのこと。 約5カ月……なんという。

結城もたまに文章練習の一環として書籍を写すことがありますが、 そのときでもタイプで写しますね。 手書きというのはすごいです。

別に拙著の宣伝をするわけではありませんが、 あの本を書き写すのはよい練習になるような気がします。 いえ、私の本でなくてもいいです。 自分が好きな本を書き写すというのは、 長期的に効く栄養のような役目を果たすのではないでしょうか。

スピードは大事です。早いからいい、遅いからわるいというのではなく、 読み書きのスピードの差は、思考に違う影響を及ぼします。

著者は、どんな書籍でも短くて数ヶ月、 長くて一年以上の時間を掛けています。 それだけの時間を掛けて一つのテキストに向かっているわけです。

読者は、著者が掛けたその長い時間を数倍、 数十倍のスピードで読むことができます。 もちろんそれがわるいわけではありません。 しかし、書き手としては、 その読み書きスピードのギャップを考えることは有益でしょう。 「書き写す」という作業は、 擬似的にその書き手の時間をトレースしているのかもしれませんね。

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世界のむかしばなし、執筆編。

 湖の精「あなたが湖に落としたものは、
 金のキャラクターですか、
 それとも銀のストーリーですか」

 作家「執筆に使える時間です」

 湖の精「それは湖の底には落ちていませんねえ…」

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では、今週の結城メルマガを始めましょう。

どうぞ、ごゆっくりお読みください!

目次

  • はじめに
  • 数学ガールの特別授業(筑紫女学園編)(5)
  • 自分の判断、自分のリアル - 仕事の心がけ
  • 繰り返しに耐える作品について - 本を書く心がけ
  • 相談事と《新しい問題》 - 仕事の心がけ
  • 今年の秋は、学びの秋だ - 学ぶときの心がけ
  • おわりに