aa のコメント

こんばんは。『俺妹』は残念ながらまったく知らないのですが、一般論めいたところで思いつい事があるのでコメントさせていただきます。

>しかし娯楽作で居心地のよい仮想空間を描くことをよしとせず、厳しい現実を描くことこそが尊いのだ、といった評論には何だかもう、食傷気味です。


こうした「現実主義」への批判は『電波男』の本田透氏も繰り返し述べていたように思います。萌え作品は元来「厳しい現実」から人を守り慰撫するのが目的なんだから現実を描けというのは端から間違っている、そもそも我々オタクは女性から蔑まれ嫌悪されるという「現実」を誰よりもはっきりと認識し、理解して、それだからフィクションとしての萌え作品を享受している、といった論旨だったでしょうか(読んだのが数年前なので語句はかなり曖昧ですが)。

私が常々思うのは、ペトロニウス師匠やら海燕師匠やら、世に数多ある「現実を見ろ」式の「現実主義」者たちの言い立てる「現実」というのが実は発言者の考える、発言者のイデオロギーにまみれた、発言者に都合のいい「世界観」でしかないのではないか、という事です。例えば海燕師匠の考える「現実」とは、「女性はあらゆる面で差別されているカワイソウな弱者。男性差別なんて存在しない。男性はマッチョでミソジニーでホモソーシャルでナルシスト。オタク男性は差別加害者で幸福なのに自分を不幸な弱者だと思ってるけしからん背教者」みたいなところではないのかと。そんなもの、どんなに贔屓目に見ても彼の個人的な「世界観・価値観」に過ぎず、人に偉そうに押し付けるだけの普遍性があるようには全く思えない。3K労働に男性ばかりがついていて、過労死するのも自殺するのも男性の法がはるかに多く、離婚すれば男性の親権は剥奪され、DV被害に遭っても男性は救済されなくて・・・などなど、彼の「世界観」と矛盾する「厳しい現実」なら掃いて捨てるほどあるのですから。
結局、彼ら似非現実主義者の「現実を見ろ」とは「俺様の考える俺様に都合のいい世界をお前らも受け入れろ。フィクションでも俺様に都合のいい世界を描け」という主張でしかなく、物語の展開が自分の期待と違ったので怒り狂う、ステレオタイプなオタクと選ぶところがない。いや、物語ではなく現実の他者に怒り狂って憎悪を吐き散らしてる分オタクよりさらに下劣。
「現実主義者」の言説が妙に高圧的で傲慢なのは、こうした本質的な独善性が彼らにあるからでは、と自分には思えます。

No.8 139ヶ月前

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兵頭新児の女災対策的随想

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