顔面核爆弾 のコメント

>スタッフたちは、ファンに深い憎悪を抱いているかのようです。
 そう、それはまるで、自分のエロリビドーをぶつけた漫画をカネに換えているのは自分なのに、読者にお説教をする、エラいエラいエロ同人誌作家サマのように。ネットで叩かれたので、それを劇場版『エヴァ』で大人げなく晒し上げた庵野のように。

この部分を読んで思い出したんですが、私の知り合いのラノベ作家の方で消費型オタクを見下している人がいました。確かに作り手側としては自分のアイデアがボツにされたり、理不尽な編集者から大目玉を食らったりと様々な気苦労があるにも関わらず、人の作品に対してドヤ顔で独善的なヘイトを撒き散らすだけの専門家気取りのオタクは本当にウザい……。けれども庵野さんのように自分を演出するためにシニカルなメッセージを作品に含ませ、受け手側を盛大にdisる表現方法はナンセンス極まりない。
当時はエヴァの影響で“オタクは妄想の世界に引き籠ってないで現実に帰れ”的なグロテスクかつ虫酸が走るほど説教臭い作品がゴミのように量産されましたが、未だにその元凶である庵野さんがオタク界のトップにいることからも明らかなように今のオタク業界は完全に老害化しています。
前に兵頭さんが『感覚が八十年代の「エロコメ」そのまま』と上の連中が作ったエロゲのプロットを批判していたことがありましたよね。これはラノベ業界も一緒でして、基本的にプロットは『異世界ファンタジー』『学園異能バトル』『青春ラブコメ』といった中からジャンルや作品の方向性を編集者がある程度決めて作家がシナリオを作っていきます。
でも、編集者が前時代的な作風を好む老害だったりすると作業が難局に直面します。例えば、厨二的な世界観を舞台とした作品でストーリーを盛り上げるためだけに登場人物たちを過去のトラウマや現実的な人間関係で追い込み、主人公が唐突に仲間同士でバンバン殺し合っちゃう誰得シリアス展開をやらされた時は非常にストレスでしたね。まるで初期の頃の平成仮面ライダー的なノリでして……。
もちろん、たくさん勉強になることはあったんですが少々疲れましたwww
さっき老害と私は言いましたが、無駄に上の連中は歳をとっている訳ではなく、商売の仕方だけはホントに上手いんですよ。
私が新人の頃、『読者のラノベに対する所有欲のメインはキャラへの愛情だ。人気萌え絵師を雇って、予め売れることを見越したラノベではキャラを殺したりするようなシリアス展開は好まれない。けれども厨二要素の強いストーリー性を重視した作品では当然シリアス展開になる訳だから登場人物の死なんかは頻繁に起こる。「人気萌え絵師が手掛けたハーレムラブコメ作品」と「次が見たくなるストーリー重視の作品」とではニーズが異なり、基本的にファン層も違う。前者は異世界ファンタジー系や青春ラブコメ、後者だと厨二系ダークファンタジーだね。君は厨二臭がプンプン漂う作品を作るのに特化しているからストーリー重視でいこうwww』と編集から言われました。
正直もうなんと言いますか、バトルロワイアル的な鬱展開はやり尽くされた感があるし、だからと言ってスポ根的な熱血バトルモノなんて今時流行らないだろうし、恋愛至上主義的な青春モノなんて作り手側も受け手側も反吐が出るほどイラつくだけでしょうからホント悩みますよwww

>翻って現代のオタク作品は商品として落ち着きすぎている。ファンもクリエイターを自分たちを満足させる商品を生み出す役割を担った芸者だと捉えているフシがある。

なるほど。
確かに最初から物語のパターンはある程度決まっているので、パズルのピースの如く作品を作家が完全させていく様は工場の流れ作業のようにも見えますね。
本音を言うと私は自分の作品を作る時、露骨に色んな他作品からアイデアを盗むことが頻繁にあるんですよwww
これは私が敬愛してやまないデビルマンやマジンガーZ、キューティーハニーを生み出した漫画家・永井豪の言葉ですが『影響を受けた一つの作品から一つの作品を生むと盗作になるけど、百の作品から一つの作品を生み出せば、それは盗作にならないと思うんですよ。だから、なるべく一つの作品だけからじゃなくて、たくさんの要素を、自分の頭の中でいったん混ぜ合わせて生み出したらオリジナルティーのある作品になる』と巨匠は仰っておられました。
彼は1970年に週刊ぼくらマガジンで『ガクエン退屈男』という超過激なバイオレンス漫画を描いていたんですが、この作品は当時としてはまだ新しかったマカロニ・ウェスタンの世界観が取り入れられており、巨匠はクリント・イーストウッド主演の『荒野の用心棒』に強い影響を受けたそうです。なんと、あの石ノ森章太郎も『続・荒野の用心棒』の主人公(ジャンゴ)が棺桶を引きずって登場するシーンを模倣して似たような雰囲気で名作『新・黒い風』を描いたそうですよ。ちなみに『荒野の用心棒』は黒澤明監督の『用心棒』のパクリらしいですwww
この作品の題名は佐々木味津三による時代劇『旗本退屈男』のパクリで、主人公の名前も『早乙女主水之介』からパクって『早乙女門土(さおとめもんど)』で、しかもトレードマークの眉間の傷までパクってしまうという自由奔放な姿勢はもっと今のクリエイターも見習うべきでしょうwww
『ガクエン退屈男』の終わり方は完全に『明日に向かって撃て!』のラストシーンそのもので『俺たちの戦いはこれからだ‼︎』エンドの元祖ではないかと個人的には思っておりますwww
と、まあここまで書くと『ガクエン退屈男』って酷いパクリ漫画なのかと思われてしまうかもしれませんが、実はこの作品には日本漫画史上初めて男の娘を扱った作品とされている『ストップ‼︎ ひばりくん!』よりも先に男の娘キャラがメインに登場するのです‼︎
永井豪曰く、主人公の門土を男っぽくワイルドにしたので、対比の上で、色っぽいヤツを出したかったらしいです。女の子キャラで色っぽいのは当たり前だから、男で、女の子に見間違うみたいなのが面白いと。これは手塚治虫の『リボンの騎士』のサファイア姫のような両性具有的キャラクターの影響を受けていたようです。
余談ですが、華奢な美少女なのに怪力キャラというのは今となっては珍しくありませんが、これを一番最初にやったのもこの作品ではないかと思っております。
日本古来の早乙女主水之介という三日月傷のヒーローに、マカロニ・ウェスタンといった古いアメリカのB級巨匠のロジャー・コーマンとかを礎に、ずっとのちに出てきたクエンティン・タランティーノやロバート・ロドリゲス、『キル・ビル』とかもそうですけど、そういうサブカル的な世界観やセンス、テンポ、過激性などに『ガクエン退屈男』は非常に共通項があると思います。サブカル嫌いのオタクが見ても面白い『ガクエン退屈男』はホントに素晴らしい傑作であり、今のオタク文化に物足りなさを感じている私の心を大いに満たす永遠のバイブルなのです。

>よくも悪くも、もう「クリエイター様マンセーの時代」は終わっている。

そうですね。
今は売り上げを指標として作品を評価する時代ですから、私のような売れないクリエイターはホントに価値がないwww
アニメ業界の企画なんかも売れた実績のあるスタッフで決まりますからね……。
円盤が売れなくなっている現行のシステムで、作品数だけが増え続けるのも出資会社と制作会社の循環取引(関連会社に売り上げを立てるため)や、中抜き(グロス孫請けに安く下請けを出して利益を出す)してるからですよ。
定額配信サイトの独占新作タイトルのターゲットはオタクではない一般人などの世界市場になっていくので、BD市場はどんどん縮小していき、益々オタク傾向が高まっていくでしょうが、市場の縮小に耐えられず、ある年代を境に品質は低下していくでしょう。高品質萌えアニメは消えてなくなるかもしれません。そうすれば、我々のような萌え系クリエイターはもちろんのこと、萌えオタもオタク業界から追放されてしまう危険性があります。そしたら、本格的にサブカル共によるオタク文化侵略が始まるでしょう……。

No.1 94ヶ月前

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兵頭新児の女災対策的随想

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