日本の美的感覚を大きく変化させるできごとが、一九世紀の後半に起きた。明治維新だ。明治維新は、日本の美的感覚のみならず、さまざまなものを変化させた。
まず、明治維新によって西洋の文化が日本に入ってきた。それも、雪崩を打って入ってきた。まるで洪水のように押し寄せてきた。
日本人は、それを意識的に招き入れた。政府が主導して、多くの外国人教師を雇ったのである。彼らは「お雇い外国人」と呼ばれ、さまざまな分野において西洋式の考え方ややり方を日本人に教えていった。
ここまでは比較的によく知られていることだが、この先に、あまり知られていない二つの事柄がある。それは、こうしたお雇い外国人たちは、比較的短期間で契約が解除されたということだ。たいていは数年、長くても一〇年ほどしかいなかった。そうして、ほとんどの人が彼らの国に帰っていった。
なぜか?
それは、彼らの報償が高額だったため、払い続けるのが難しか
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