ぼくは、なるべく虚心坦懐に生きようとしている。
「虚心坦懐に生きる」ということは、自分の率直な感情に素直に従おうとする――ということだ。言い方を変えれば、余計なバイアスをかけないようにする、ということである。曇りのない眼で世の中を見るように心がけたい。

なぜそうするかといえば、「価値」というものを見極めたいからだ。本質を見たいのである。そうして、自分の創作にそれを役立てたい。
だから、たとえ非道徳的であったり、法律に反していたりすることでも、ただちに悪と決めつけるのではなく、まず自分の率直な感情でそれを受け止め、その上で価値判断するようにしている。


子供(中学、高校)の頃、ぼくは世の中のさまざまなことに対して疑問を持っていた。「疑いの目」といってもいい。何でもかんでも疑ってかかるようなところがあった。
例えば、「お金」というものを疑っていた。お金が不思議で仕方なかった。「なぜ多くの人が何の