石原莞爾と東條英機:その59(1,847字)
化物と化した戦前の陸軍。その中で石原莞爾はどのような存在だったのか?
彼は陸軍内で、誰からも文字通り一目も二目も置かれていた。いろいろな理由はあるが、やはりその独特の個性に因るところが大きい。誰に対しても一歩も引けを取らない。しかも満州事変を主導したという実績もある。
満州事変は陸軍の「心の拠り所」だった。なぜなら、陸軍が日本の歴史を変えた最大のできごとだったからだ。陸軍が主導して、日本の未来を動かしたのだ。何より政府を、そして国民を動かした。これは陸軍の自信につながった。陸軍は政府よりも強力な指導力を持っていると証明することになったからだ。
しかし同時に過信にもつながった。政府は頼りにならん、陸軍しか日本を救える存在はないという奢りが、後の暴走を招いたのだ。
つまり石原莞爾は、そんな陸軍の暴走を引き越した張本人ともいえた。だから陸軍の誰にとっても一目置く存在であった。ただし上の者からは目
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