偕楽園といったらなんといっても「梅」である。園の北東側に広大な梅園が広がっている。その数は約3000本にも及ぶ。
そして、園のもう半分、南西側には竹や杉の鬱蒼とした森が広がっている。この梅園と森との関係が、「太極図」のような陰陽の世界を表現している。明るい梅園に対し、暗い森。それらが対になることで、偕楽園は一つの世界観、あるいは思想を示している。
偕楽園の梅は、もともとは水戸の領民に楽しんでもらうのと同時に、弘道館の生徒たちにも心安まる場所を提供したいという思いがあって植えられた。つまりそこには、この世の「陽」を多くの人に味わってもらいたい――という思想があった。
徳川斉昭は、陽の世界に通じること――すなわちよく遊び、よく休んでこそ、陰の世界――すなわちよく学び、よく働き、よく戦えると考えていた。
ちなみに、偕楽園から弘道館までは徒歩で30分ほど離れているが、弘道館の庭にもたくさんの梅が植
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