ガートルード・ジーキルは1843年、イギリスのロンドンに名家の令嬢として生まれる。しかし5歳のとき(1848年)、ロンドンから南西に50キロほど行ったところのサリー州ギルドフォード郊外に家族で移り住む。以降、1932年に89歳で亡くなるまで、ずっとここで暮らした。

ジーキルは、19世紀後半から20世紀を駆け抜けたガーデナーだ。その意味で、「近代から現代への橋渡し的な存在」といえるだろう。世の中が、生活様式を含めて激変した時代に、その変化に即しながら、新たな庭の様式を造っていった。

歴史を俯瞰すると、ここ1000年は「中世・近代・現代」の3つに明確に色分けすることができる。中世は長らく続いたが、18世紀に起こった産業革命によって幕を閉じる。そこから19世紀の100年間をかけ、テクノロジーの進化と共に、徐々に変化が進行する。その意味で、近代は「産業革命の時代」ということもできよう。

そして「現