北澤楽天が活躍したのは、25歳だった1901年(明治30年)から、55歳になった1930年(昭和5年)くらいまでの30年間だ。つまり明治末期から大正全部、そして昭和初期である。
こうしてみると、やはり「昭和不況」が、楽天のマンガ家人生にもとどめを刺したのだろう。ここは時代の大きな転換点で、50代の楽天はさすがに乗り越えられなかった。
それでも、30年間は第一線で活躍した。実に息の長いマンガ家であった。
ただ、例えば現代の人気マンガ家である井上雄彦や冨樫義博らも、すでにマンガ家生活30年以上だ。手塚治虫はちょうど40年くらいマンガの第一線で活躍した。
そう考えると、マンガ家というのは息の長い職業だ。老人になっても活躍できる、希有な表現媒体である。さいとう・たかをやみなもと太郎も死ぬまで現役だった。ちばてつやもまだ現役である。
楽天は、若くして福澤諭吉の時事新報で「時事漫画」を描き始め、人気を
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