マンガの80年代から90年代までを概観する:その72(1,657字)
団塊世代の女子(団女)というものは、社会的にはそれほど注目を浴びていない。しかしながら、これが社会を変革した度合いは大きい。この層が日本の女性観、恋愛観、家族観、引いては社会観を一変させたといってもいいだろう。
団女は、言うまでもないが戦後生まれだ。いわゆる「戦争を知らない子供たち」である。そのため、がっつりと戦前の価値観を持っている親との間にはもちろん、少し上の「戦争を知っている子供たち」との間にも価値観のギャップがあった。それも強烈なギャップだ。
およそ団塊世代ほど巨大な価値ギャップの中で育った子供はいない。同時に、団塊世代ほど「多くの子供」に囲まれて育った子供もいない。
その意味で、団塊世代は弱点と同時に強さも持っている。その強さが、やがて上の世代に対する隠された反抗心――さらには「恨み」へとつながった。
この「隠された恨み」が、日本に独特の価値転換をもたらした。団塊世代が大人になっ
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