ぼく自身、他の多くの日本人と同様、庭とは縁遠い暮らしをしてきたのだが、大学3年生のときに研修旅行で京都へ行った。京都の建築を見学するためなのだが、そこで円通寺に行ったのである。円通寺の庭を見た。
ここは、日本一有名な庭の一つである。だから知っている人も多いだろうが、しかし恥ずかしながらぼくは全く知らなかった。そうして、予備知識なしで見にいった。ネタバレなしで行ったのだ。だから、その衝撃はすさまじかった。
ぼくが衝撃を受けたことは2つあって、それは「枯山水」と「借景」である。円通寺の庭には、この2つが最高レベルで備わっていた。
まず枯山水だが、ぼくはいまだにその神髄を理解しているわけではないが、しかしその苔の魅力はたちどころに理解した。指導教官から「近くに寄って見てみろ」と促され、次いで「森に見えないか?」と言われた瞬間から、ぼくには
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