生きるとは何か?

その答えはいくつもあるだろうが、まず筆頭に挙げたいのは、「当たり前ではない」ということだ。きわめて「希(まれ)」である。一種の奇跡と言っていい。

しかしながら、それは確率論的に奇跡という訳ではない。人間にとって、生きるということは必ずしも選択的なものではない。ある種の運命的なもので、避けられない。我々は、既に気づいたときには生きている。だから、それは誰にとっても所与のものであり、前提となっている。

それゆえ、生きるとは「当たり前」でもある。我々は、気づいたときには生きているが、そもそも生きていないと気づけないので、生きているのは当たり前と思う傾向が強い。

それでも、生きている人にとっては誰にとっても未来の話ではあるが、死ぬという運命が待っている。そうなる可能性が、避けようがなく高い。
そういう中で考えると、「生きるとは当たり前ではない」という価値観には、比較的容易に到達す