世の中には、敵を作らない人も多い。しかし、実はその人たちにも敵がいる。
誰かというと、「敵を作る人」だ。敵を作らない人は、敵を作る人とも仲良くなろうとはしない。敵を作る人を憎み、これを排除しようとする。社会から抹殺しようとする。
実は、「敵を作らない」というのは、一つの「戦い方」なのである。敵を社会から抹殺する方法の一つなのだ。
20世紀後半、この戦い方が人類の――取り分け日本人のマジョリティとなった。理由は簡単で、第二次大戦の厄災を通して、「戦う」という戦い方が拒絶されるようになったからだ。日本人にはもう、「戦う」ということが許されなくなった。その代わりに、「戦わない」という「戦い方」が蔓延するようになったのだ。
この問題は、実は人類にとっても根深い。狩猟採集時代、人々は戦争こそ起こさなかったが、それはそもそも他の部族との距離的な隔たりが大きく、戦争が起こらなかったからだ。また、それ以上
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