ここで、ぼくが本連載で確立したい「考え方」を整理してみたい。
「そもそもマンガとは何か?」ということに対して、歴史を紐解くことによって一定の仮説を打ち立てたい。
鍵となるのは、読者が語る「映画的体験」についてである。特に、「動いて見える」というバーチャル体験の謎を解き明かしたい。『新宝島』のオープニングは、読者にとって車が動いて見えた。だからこそ、今のマンガの隆盛につながった。
その意味で、マンガは第一に「動き」を表現するためのものである。さらに「聞こえる」ものでもある。「感じる」ということもある。ぼくは『ドカベン』を読んでいたときに、甲子園の大歓声が聞こえたし、夏のじりじりとした暑さを感じることもできた。もちろん主人公たちは動き回っているので、その空間にどっぷり浸かっている感覚だった。マンガを読み終わると、まるでプールから浮かび上がったときのように「ふう」とため息をついたほどだ。
マンガ
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