「子供のようないい加減さ」を持っていると、自分のことがなんだか他者のように思えてくる。もちろん、自意識が完全に消えるわけではないのだが、自分を冷静に見つめるもう一つの目というのが、自然と涵養されてくるのだ。
予断だが、ローマのカエサルが書いた『ガリア戦記』は、文学史上にも名高い傑作で今でも多くの人に読み継がれているが、特徴的なのはなんといっても自分を見つめる視線の圧倒的な客観性である。有名なのがその人称で、カエサルは自分のことを「カエサル」と三人称で呼称している。例えば「そこでカエサルはこう言った」などという記述が頻出するのだ。
これを、みなさんにも一度試してみてほしい。ぼくの場合だったら、「そこでぼくはこう言った」というのではなく「そこで岩崎はこう言った」というようなものだ。
話を戻すと、カエサルは軍人としても政治家としても文学者としても名高いが、同時にいい加減な人間としても非常に名高い
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