人は何に「懐かしさ」を感じるのだろうか?
たとえば、懐かしさが主要なテーマとなった映画の典型に「チャップリン」がある。
チャップリンは、映画の創成期に活躍した監督権俳優だが、彼のトレードマークとなった山高帽にボロボロのタキシード、ステッキに不釣り合いに大きな靴というファッションは、当時すでに「懐かし」かった。その頃よりだいぶ前に流行したスタイルなのだ。
それが証拠に、他の登場人物には当時一般的だった格好をさせている。その意味で、まず「ファッション」が、観客に懐かしさを催させる重要なモチーフであるといえるだろう。
次に「におい」である。
20世紀を代表する小説の一つ『失われた時を求めて』は、冒頭で主人公が紅茶とマドレーヌの香りを嗅いだところから過去の記憶が蘇り、それを遡るところから話が始まる。
つまり「におい」が懐かしさを催させる重要なモチーフとなっている。実際、脳でにおいを感じる部位と記憶
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