若い頃、ぼくはそれなりにお金を稼いでいたのだが、その後すぐに貧乏になった。
年収1000万円から年収100万円まで、ほんの3年ほどで転落した。

その年収100万円になったとき、貯金は全く残っていなかった。それどころか、この間には人間的あるいは能力的な成長も果たせていなかったので、仕事にも行き詰まった。つまり、1000万あったはずのお金が全て消えていたのである。

しかしながら、そんな中で唯一残っていたものがあった。それは服だ。3年前、お金があった頃に奮発して買った服が、それなりに残っていたのである。

おかげでぼくは、貧乏だったその後の3年間に、いやそれ以降の数年間も、服に困るということがなかった。それは、新しいものを買わなくてもいいのはもちろん、誰かと会うときにも、それなりにいい服を着ていくことができたのである。
おかげで、みすぼらしく惨めな気分になることを防ぐことができた。また、相手に失礼