日本語というのは、世界のさまざまな言語の中でもきわめて特殊なポジションにある。
それは「変化が激しい」ということだ。
英語では、400年前に書かれたシェークスピアの戯曲を原語で読める。スペインでも、400年前に書かれた『ドン・キホーテ』を原語で読める。
しかし日本で400年前というと江戸時代で、大坂夏の陣が行われた頃だ。その頃に書かれた文章を今読める人はその道の専門家しかいない。それどころか、200年前の日本語だってほとんど読めない。ぎりぎり100年前の夏目漱石あたりから読めるようになるが、それでも、昭和に書かれた文章だっていたって読みにくい。

なぜそうなるかというと、日本語は変化が激しいからだ。そしてなぜ変化が激しいかというと、内部における流行の移り変わりが激しい訳ではなく、外部からたくさんの言葉が流入し、その影響を受けざるを得ないからだ。それが理由でどうしても変化してしまうのである。