ここから「身体に叩き込む言葉」を具体的に見ていく。
ここでは大きく三つの言葉を推薦する。ただ、身体に叩き込む言葉は必ずしもこの三つでなくていい。名文であればどの言葉でも効果がある。

それでも、ここから推薦する三つの言葉は、ぼく自身の人生に大きな影響を与えた。ぼくはこの三つの言葉を身体に叩き込むことによって、言葉に対する感度を養った。そしてその感度を活かし、勉強というものに取り組んで、それなりの成果を上げてきたのである。ぼくの勉強方法は、これら三つの言葉を身体に叩き込むことによって磨かれた。

まず最初の言葉は、ぼくが中学生のときに知った。国語の授業で習った言葉だ。それは次のようなものであった。

渭城の朝雨軽塵を浥し
客舎青々柳色新たなり
君に勧む更に尽くせ一杯の酒
西の方陽関を出づれば故人無からん

これは漢文である。「元二の安西に使ひするを送る」というタイトルで、中国、唐の時代の官僚であり、