世界的なプロダクトを生み出す日本の美的感覚:その58(1,702字)
日本人は、既存のものに細かなカイゼンをくり返していくことで大きな変革につなげる――という形のイノベーションが得意である。『ドラクエ』も、『ウィザードリィ』や『ウルティマ』の面白いところを組み合わせ、さらにそれを細かくカイゼンしていったところに成功の秘訣があった。
堀井雄二は、自身もマンガ家志望だったため、絵がとても上手い。その美的感覚で、『ドラクエ』をグラフィカルにデザインした。『ドラクエ』の成功は、このグラフィカルなデザイン――あるいは日本の美的感覚なしにはありえなかっただろう。
『ドラクエ』は、当時のファミコンをプラットフォームに制作されたため、描ける絵の細かさに限界があった。ユニットの最小単位は16×16ドットなので、これを基準にキャラクターやモジュールを描いていった。いや、それ以外に選択肢がなかった。
そのため堀井雄二は、この16×16ドットという「小ささ」を逆に利用することで、豊
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