世界的なプロダクトを生み出す日本の美的感覚:その27(1,928字)
再び、終戦直後の時代に話を戻す。
終戦直後の一九四七年、手塚治虫の『新宝島』が一世を風靡することにより、日本のマンガは新しい時代の幕開けを迎える。
ところで、この『新宝島』が当時の子供たちには動いて見えた――つまりバーチャルリアリティになっていたことは先にも述べたが、それが動いて見えたことの理由には、裏にもう一つの秘密があった。それは、作者の手塚治虫自身が、それが動いていることをイメージしながら描いていた、ということだ。
というのも、手塚治虫は幼い頃からディズニーアニメの熱烈な信奉者であった。家に映写機があったため、子供の頃からディズニー映画に、身近に慣れ親しんでいた。そしてこの頃から、将来の夢を「アニメ作家」と見定めるようになる。
さらに、戦時中には日本製アニメである『桃太郎 海の神兵』に感激したこともあって、彼の表現の根底には常にアニメへの憧憬があった。手塚治虫がマンガ家になったのは、
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