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* 堀潤のテレビでは言えない話 vol.8 *
~「非常識を笑わない冷静さを持て」の巻~
発行:8bitNews 2013.5.22 (毎週 月or火曜日発行)
http://www.facebook.com/8bitNews.HORIJUN
http://twitter.com/8bit_HORIJUN
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皆さんこんにちは。
今週から8bitNewsの作業場兼事務所を都内に開設。せっせと労働環境を整えています。
契約した初日、仕事が終わらず深夜になり、ソファーも机も何もない状態で泊まることに。眠さに耐えられなくなり、仕方がなく床に寝転んでみたところ、底冷えする冷たさに思わず「つ、冷たい。。。」とツイート。するとその20分後にピンポーンと玄関で呼び鈴が鳴った。午前4時前だったので恐る恐るインターホンに応答してみると、「そんなんじゃ死んじゃうよ」と聞き覚えのある声が。扉を開けると、近所に住むNHKの元同僚が立っており、わざわざ寝袋を持ってきてくれたのでした。ありがとう。おかげで本当に温かい気持ちになったし、暖かくして眠ることができました。
今週から8bitNewsの学生ボランティアチームも合流し、着々と活動の足場固めが進んでいます。これも皆様からのご支援のおかげです。有り難うございます。サイトはこの夏に向けて、大々的にリニューアルする計画です。
皆様からのご指摘やアドバイスなどを元に、より使いやすいサイトになるようあれこれ思案しています。info@8bitnews.jp まで、ぜひ皆さんのご意見もお聞かせ下さい!
さて!今回も前置きが長くなりましたが。。。
今号のコンテンツはこちら!↓
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├○ 堀潤のテレビでは言えない話 vol.8:2013.5.22
├○
├○ 01.【活動日記】
├○ 堀潤のフリーランス的一週間
├○ 第7回「吉田照美(フリーアナウンサー)/李洪千(メディア研究者)/
├○ ローリングストーン誌(音楽雑誌)/佐々木俊尚(作家)/
├○ 池田美樹(マガジンハウス編集者)/NHKディレクター/
├○ 辻仁成(作家・ロック歌手)/野口美佳(ピーチジョン創業者)
├○ 國光宏尚(gumi代表)/小田切未来(経済産業省)」
├○
├○ 02.【ルポタージュ】
├○ マスメディアが報じない本当の○○
├○ 第7回 「ネット選挙運動解禁で韓国では何が起こった?堀潤×李洪千」
├○
├○ 03.【ルポタージュ】
├○ 次世代メディアへの創造力+α
├○ 第7回 「COOL JAPAN 未来会議 経産省キャリア官僚 VS IT企業社長の激論」
├○ ~クール・ジャパン政策を徹底批評 堀潤×國光宏尚×小田切未来~
├○
├○ 04.【オンライン講座】
├○ そうだ!メディアを創ろう
├○ 第7回 「取材交渉してみよう」
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├○ 05.【動画紹介】 8bitNews
├○ パブリックアクセスへの道
├○ 第7回「ペイフォワード環境情報室」
├○
├○ 06.【告知】今週のスケジュール& お知らせ
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▼「vol.1」「vol.2.」「vol.3」「vol.4」「vol.5」「vol.6」「vol.7」へのリンクはこちらです。
[リンク] http://ch.nicovideo.jp/horijun/blomaga/ar177269
[リンク] http://ch.nicovideo.jp/horijun/blomaga/ar189787
[リンク] http://ch.nicovideo.jp/horijun/blomaga/ar197950
[リンク] http://ch.nicovideo.jp/horijun/blomaga/ar205278
[リンク] http://ch.nicovideo.jp/horijun/blomaga/ar214964
[リンク] http://ch.nicovideo.jp/horijun/blomaga/ar221463
[リンク] http://ch.nicovideo.jp/horijun/blomaga/ar229893
未読の方は併せてお楽しみ下さい。
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┗■ 01.【活動日記】堀潤のフリーランス的一週間
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このコーナーでは堀の一週間の出来事を皆さんに報告。
ジャーナリストとして、司会者として、そしてNPO法人代表として
第一線で活躍する人々との日々の出会いをエピソードを交えお伝えします。
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・5月13日(月)
文化放送の吉田照美さんのラジオ番組「飛べ!サルバドール」に出演。前々からオファーを頂いていたが、スケジュールの都合でやっと実現した。吉田さんは、堀がNHKにいる頃からTwitterの発言などをよくラジオで取り上げてくれていたので、スタジオで挨拶した際には初対面ながらも、何か戦友に再会したような気分になった。吉田さんは62歳。力強く、そして肩の力の抜けた巧みな話術に改めてプロの技を感じた。15分間の出演、話し足りなかったものの、放送局の内側からみた今の報道のあり方などについて意見を交わし合えて良かった。「言論は自由であるべきだ」と盛り上がった。
[リンク] http://www.joqr.co.jp/saru/2013/05/31513.html
・5月14日(火)
ニコニコ生放送のゲストに、慶応義塾大学湘南藤沢キャンパスでマスコミ関連の授業で専任講師を務める李洪千さんを迎えた。実は数週間前に李さんから「日本のメディア環境について堀さんが感じている事を一度お聞かせ頂けませんか?」と、学術研究のための聞き取りを依頼されていたのだが、せっかくなららニコ生で対談しませんか?と逆に持ちかけたところ、「面白そうなので出てみたい」と快く引き受けてくれた。李さんは韓国記者協会編集次局長という立場で、韓国の記者クラブ所属記者と政財界の癒着について暴き社会問題化させるなど、内側からの改革者としても知られる。メディア研究が専門の李先生はネット選挙にも詳しい。対談の全文書き起こしを今回からこのブロマガでも。
[リンク] http://profile.ameba.jp/hongchunlee/
・5月15日(水)
音楽雑誌「ローリングストーン」日本版の取材を受けた。なぜ音楽雑誌に?という疑問を持つ方もいるかと思うが、実はローリング誌では震災以降、特にエネルギー関連の政治的インタビューを連載で組んでいる。知らなかった。ネットにも過去の記事が掲載されているので、興味のある方はぜひ! 堀のインタビューは来月号に掲載される予定。
[リンク] http://www.rollingstonejapan.com/politics/sh-1305-pio-demilia/
・5月16日(木)
ジャーナリストの佐々木俊尚さんの自宅で対談。先々週のハフポス日本版のローンチイベントでニアミスだったので、Twitterで「ご挨拶できませんでしたが、ぜひお時間あればお会いしたいです」と声をかけたところ、すぐに「会いましょう」と返事が。アトリエ風の鉄筋コンクリート打ちっぱなしの素敵な自宅。「賃貸なんですよ」と頭をかきながら居間に案内してくれた。市民メディアを今後どのように育成すればよいかについて、佐々木さんからのアドバイスを中心に話が進んだ。「ニュース」と名乗った時点で失敗が始まるのではないか?という話に始まり、「市民記者」の「市民」という言葉自体に一種のアレルギーを感じる人がいるのも確かなので、新しい概念を考えだすのも手なのではないか、という話に発展した。サイトは夏に向けてリニューアルする、と言うと、黒バックはやめた方が良いというアドバイスをいただいた。別れ際に「心配していたから、お話できて良かった」と、佐々木さんから言葉をかけてもらった。
[リンク] http://www.pressa.jp
夜は、Youtubeスタジオの見学会で以前懇意になったマガジンハウスの名物編集者、池田美樹さんの招待で、彼女が審査員を務めるシャンパーニュ委員会日本支部主宰の会合に参加した。都内のホテルの会場では、国を超えて生きる喜びを分かち合う活動を続ける人物をたたえる「ジョワ・ド・ヴィーブル(生きる喜び)」賞の授賞式が行われ、女優の麻美れいさんが選ばれた。取材の種にと思い、普段はなかなか交わらないセレブな皆さんともいろいろお話ししたが、興味深かったのは「シャンパンはワインと違ってうんちくをいちいち語るおじさんがいなくて気分が良い」と語る女性陣の言葉。確かに、シャンパンはパーティーで和気藹々とフランクな会話をして親交を深める飲み物という印象なので、あたっているかもしれない(笑)。会話の中心で華を咲かせていた池田さんは、実は俳句とYoutubeを連動させた面白い試みもしているので、皆さんにもリンクをシェア。全編iPhoneで撮影されていて、実に興味深い。近日中に対談する予定。
[リンク] https://www.youtube.com/watch?v=tt7luagYjUE&list=UUGmFLogXlf3lDZDifwC3gQQ&index=20
・5月17日(金)
午後はなんと、NHK「おはよう日本」のディレクターによる取材。「これからのメディアのあり方についてお話をお伺いしたくて」と声をかけてくれた。まだ若手ディレクターなのでひょっとして堀のことを知らないのでは、と一瞬心配になり、「NHKに勤めていたんだよ」と話すと、笑いながら「知っていますよ!」と返ってきた。でもどうして堀に?と聞くと「堀さんの言っていることは方向的に正しいですし、現場のみんなも共鳴していますので、一次情報を持った一般の人たちと放送が結びつく番組などもっと考えたいですね」と力強い言葉。嬉しい。こうやって言葉や想いは伝播し、やがて形になっていく。
・5月18日(土)
午前中は、Twitterを通じて親交を深めた作家で音楽家の辻仁成さん主宰の「人間塾」に参加。昨年まで講師をしていた京都造形芸術大学のゼミの一環として開かれていたもので、今年から独立。受講生とゲストが車座になって議論し、一つのテーマについて問答を続けるというもの。今回の論者は、ピーチ・ジョンの創業者・野口美佳さんと堀。先々週、家入一真さんや高木新平くんとのニコ生で利用した居酒屋はミカジョンさんこと野口さんの息子さんが経営する店。世間は狭いものだ。問答はほぼ、堀が一人でしゃべり倒す結果になってしまったが、政治とジャーナリズムの関係に話が及ぶと、辻さんから「堀さんは最後までジャーナリストを貫いて欲しい」と力強く背中を押された。
夕方からは、東京・品川駅に隣接のMicrosoftのビル内で開かれた「クールジャパン未来会議」にモデレーターとして参加。ゲストは、ソーシャルゲームで急成長を遂げているgumi代表の國光宏尚さんと、経済産業省でクール・ジャパン政策を牽引する若手キャリア官僚の小田切未来さん。関西弁でまくしたてる國光さんのクール・ジャパン政策批評はとても面白かった。この模様は今週と来週にわけてこのブロマガで報告。Facebookページもあるので、ぜひ。
[リンク] https://www.facebook.com/cooljpnkaigi
以上、堀の1週間でした。
「堀に取材を依頼したい」と、皆さんお困りの問題などあればぜひご連絡を。
その他、取材や講演、セミナー講師依頼など受け付けています。
→hori@8bitnews.jp までぜひ!
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┗■ 02.【ルポタージュ】
マスメディアが報じない本当の○○
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「テレビでは言えない話」というタイトル通り、
「テレビでは扱い辛い」という理由で、なかなか
放送されない話題も沢山ある。国家や大企業を敵に
回しがちなテーマについては、局側の判断でニュアンスが
弱められたり、企画そのものが採用されなかったりする
場合もある。このコーナーでは、そうしたマスメディアが
報じない現場の実態をルポ。
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"第7回
「堀潤×李洪千 “ネット選挙運動解禁で韓国では何が起こった?”」
ネットPR選挙の解禁でIT業界が慌ただしい。LINEは全政党に無料で公式アカウントを開設して話題になった。大手広告代理店各社は連日、選挙対策担当者との打ち合わせに追われている。ネット動画の番組などを制作する企業に対し、政党側からの売り込みも激しい。豊富な資金力をもつ政党の動きは速い。資金力の乏しい政党や無所属候補は太刀打ちできるのだろうか。
今回、メディア戦略の研究が専門でネット選挙の動向にも詳しい慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス専任講師の李洪千さんと対談した。ネットPR選挙の解禁で、日本の選挙運動はどう変わるのか? テレビではなかなか報じられない裏話を含めて語ってもらった。李先生は韓国記者協会所属ながら、当時、癒着が指摘されていたメディアと政財界の結びつきを告発するなどした敏腕記者でもある。
ネットと選挙、我々がとるべき行動とは?
(プロフィール)
李 洪千 -Lee Hongchun-
慶應義塾大学総合政策学部専任講師
1968年4月生まれ 韓国・馬山市出身
2008年 慶應義塾大学政策メディア研究科博士課程修了(政策メディア博士)
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◆ネットの解禁で選挙運動は政治家のものから有権者のものへ
(堀)
先生はいま、大学では何を教えていらっしゃるんでしたっけ?
(李)
大学では、マスコミュニケーションと地域統合論。地域統合論では、いま韓国の選挙を教えています。
(堀)
まさに今日この放送でお届けしたいのは、日本でいよいよネット選挙…ネットを使った選挙運動が解禁になると。お隣の国・韓国、先生のご出身である韓国は、ネットを使った選挙運動が解禁になったのはいつごろからですか?
(李)
インターネット選挙が完全に解禁になったのは2012年。その前までは、完全には解禁されていなかったんです。
(堀)
段階を踏んでいったということですか?
(李)
そうです。
(堀)
最初は何ができるようになって、今はどこまで出来るようになったんですか?
(李)
まず今の話をすると、政治家と有権者を分けて話す必要があるんですが、まず有権者の方は、ネットで何をやってもいいというのが、今のネット選挙解禁の主旨なんですね。
(堀)
え? 有権者の方は何をやってもいい? 例えば、いまの日本の状況を説明しておくと、我々有権者は、ウェブサイトやSNSを使っての選挙運動はできます、と。つまり「この候補を応援してね」とか「この候補はすごいんだよ!」とか「この候補はあまりよくない」というような主張を出すのもいいし。ただ、電子メールや有料ネット広告を使って「この候補を応援してください!」と有権者が言うのはダメだと。韓国の場合は何をやってもいいんですか?
(李)
韓国では解禁されているので、ネット選挙運動が出来るんですよね。個人の方も選挙運動ができるので、まず「選挙運動は何か」ということを知る必要があるんです。基本的には選挙運動というのは、特定の選挙で特定の候補者を当選、又は落選させるための働きかけということですね。
(堀)
当選させる為の選挙運動というのは性善説的でいいと思うんですれけど、落選させるための選挙運動というのも行われているんですか?
(李)
そうです。今の日本の選挙でも可能ですよ、落選運動は。
(堀)
具体的にはどんなことが起きているんですか?
(李)
韓国で2000年に落選運動というのが起こりましたけれど、その時は何百人という「落選させるべき議員」のリストをウエブ上で発表したんですね。
(堀)
「この議員は次の当選にはふさわしくない」というのを市民側が一覧にしたと。
(李)
いろんな団体が連帯を組んで政治家を評価しまして、「この人は絶対に当選させてはいけない」と。そこにはもちろんいろいろな理由も書かれているんですけれど、実名のリストが公表されたことで、かなり影響があるわけなんです。ただ、その時はネット選挙運動が解禁されてなかったので、法律的に問題があったんです。でも今は、ネット上ではそのようなことも自由にできる。
(堀)
そういう一覧を作った「ネガティブキャンペーン」っていうのは、SNSなどを使ってどんどん広がっていく可能性もあるということですよね。
(李)
そうです。それがネット選挙なんです。
(堀)
それって、事実に基づくネガティブキャンペーンだけじゃないと思うんですよ。たとえばデマだったりとか、中傷だったりとか。それをあたかも本当の意見のようにして「あの政治家はダメだ!」というのが広まっていくというのは、それは受け入れなくちゃいけない状況なんですか?
(李)
そうですね。そのように事前に事実を確認するというような環境じゃないんです。
(堀)
韓国では2012年にネット選挙が全面解禁になって、すでに選挙が行われた実績がある。そこでは実際はどうだったんですか?
(李)
その話は今の日本の状況では理解しにくい部分もあります。なぜかというと、韓国は10年ぐらいネット選挙をやってきてるので、段階が進んでいるんです。その進んでいる(韓国の)環境と、これからスタートする(日本の)環境を一緒にして話すと全然違うんじゃないの?という話になってしまう。
(堀)
では先生、ゆっくり段階を踏んで教えてください。
(李)
まず、ネット選挙となると、これまでと違う環境が展開されます。これまでは政治家がメディアを通じて政見放送で政策を発表したり、街頭演説で自分の政治を訴えたり、個人個人で車を運転して自分の名前を叫んだりするわけですね。そのような選挙運動をしてきたわけですけれど、ネット選挙運動となると、有権者も政治家も距離がなくなってくるんです。だから政治家側から一方的に何かをもらうというのではなく、有権者からも政治家にアクセスできるという環境ができるんです。今までは街頭演説を見ながら、「この政治家は実際は違うんじゃないの?」とか「うちはおじいさんの代からこの人を応援してきてたけど、何一つ我々の生活は良くなってないよ?」というような話を一人一人でしてきたものが、それがネット選挙になると、みんなに伝わるんです。それは有権者それぞれが持ってる本当の気持ちかもしれないのですが、ネット選挙がなかった時は、その気持ちが他の有権者や政治家に伝わることはなかった。それがネット選挙で出来るようになったのです。それによって、有権者同士の共通認識ができるようになったのです。
(堀)
つまり、政治家に対して求める意見であったり、政治家と自分との関係性みたいなことが、これまではインターネットを使っていなかったから、あまり広く知られていなかった。ところがSNSやインターネットの掲示板で「○○候補者、これにちゃんと答えてくださ!」と言ったら、それに答えなきゃいけなくなってくるのですね。だから選挙期間中も我々の側から候補者に対して、要求とか詳しい説明を求めたりとかができるようになるということですね。
(李)
政治家に手紙やFAXを送ったり、街頭演説の時に直接声をかけて話したり、そういうことは今までも出来たんですけれど、今までだったらそこの二人の間だけで閉じ込めて終わってしまうということだったんですね。
(堀)
いまコメントで「我々のほうにも義務が生じる」というのがきていたんですけど、「あの政治家がどんな人か全然知らなかったよー」では済まされなくなって、「じゃあ、聞こうよ!」ということが成立つわけですね。コメントでは「お任せ政治」ときていますけど、お任せ政治から卒業ですね。
(李)
ネット選挙となると、自分から何かを言わないと政治家はそれに応えない、それが当たり前のことなんです。その当たり前のことが今までは恥ずかしいとか、なにかやりにくい、ハードルの高い印象だったんですけど、新しいテクノロジーがそのようなハードルを全部なくしているわけなんです。有権者側も隠れるところがなくなるわけで、隠れて政治任せにしようとしてもそれができない。政治家も有権者も、透明なガラス張りの部屋に入っているということになるんです。
◆密告奨励 韓国で強化された「選挙管理委員会」の権限とは
(堀)
いま累計で500人近い方がこの放送を見ていますが、ここでアンケートを取ってみましょうか。まず今参加している方の男女比を聞いてみましょう。だいたいいつも7割ぐらいが男性で、3割ぐらいが女性なんですけれど。
(李)
そうですか、それは良くない事ですね。
(堀)
どうしてですか?
(李)
女性のほうがもっと政治に興味を持って参加するべきなんです。なぜかというと、女性のほうが男性よりも、物事をリアルに見るからなんです。
(堀)
そうですよね、女性は生活に密着したものの見方をするから、よく企業家でも、サービスの良いものをどんどん女性が作っていく印象がありますよね。
(李)
何かを商談に行くときも、男性は偉い人を連れていくんですよね。でも女性の場合は実務者を連れていくんです。実務者が一つずつ説明をすると相手が女性の場合はちゃんと話を聞いてくれて、納得して契約に結びつくんです。そこが男性と女性の大きな違いですね。
(堀)
女性の起業家を取材したことがありますが、女性のスモールビジネスって多いんですよね。本当にニーズをとらえた仕事をするから成功しやすいという。
さあ、ではアンケート結果を聞いてみましょう。今日の放送は男性・女性、どちらのほうが多いのか。
<男性:63.8%、女性:36.2%>
先生、今日は女性が多いですよ。コメントでは「ネカマ」なんてきてますけど、先生、「ネカマ」って知ってますか?
(李)
いや、知らないです。
(堀)
いわゆる「ネットおかま」といって、男性なんだけど女性のふりをして書き込むことですね。でも先生、ネット選挙が解禁されたら、匿名やなりすましで書き込みをしたり、有権者を装って相手候補の選挙対策本部が書き込んだりすることもあるじゃないですか。韓国ではそういう対策は練られてるんですか?
(李)
選挙で一番問題になるのは、実際に何らかの行動が選挙の結果に影響することなんですね。なりすましによる書き込みも、ある人は成りすましをチェックすることができるけれど、またある人はそのチェックをすることができない、そのバランスが取れていないときはなりすましによる影響が大きくなるわけです。でも今は、なりすましのようなことはすぐバレるんです。
(堀)
それは韓国では、ということですか?
(李)
日本でもそうです。最近、民主党の細野さんでもありましたよね。
(堀)
ありましたね。ある著名な評論家の方から言葉をもらって、それに対して細野さんが律儀に返事をしたんだけれど、実はその評論家の方はすでに亡くなっていたということが明らかになったと。
(李)
そこで考えるべきは、細野さんが何か政策的な決定をするときにそれに影響を受けたとなると非常に大きな問題になるということです。しかしそのようななりすましを完全にゼロにすることも、完全に察知することもできないのです。なので、ユーザー側が「これはおかしい」と、いろいろな人が監視するようにしないと防ぐことはできないんです。これがまず一つ。
二つ目は、ネット選挙はこのようなことが多いので、どのような影響があるのかと見たときに、影響力の大きいほうを監視するほうが大事であるということ。選挙結果に影響する程の弊害がないような場合は、そこまで細かくチェックして書き込んだ人を処罰するなどといった、そこまでの社会的な必要はないわけです。
(堀)
実際に、なりすましや誹謗中傷、デマの書き込みによって選挙の結果が左右されたということは、去年の韓国の選挙ではなかったんですか?
(李)
それはないんです。なぜかというと、韓国の選挙制度は日本と違いまして、選挙管理員会が憲法の機関なんです。大統領や国会から命令されるのではなくて、憲法から命令されるから権限が強いんです。
(堀)
かなり監視されているんですね。どんなことを監視するのですか?
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