自由民主党の平井卓也です。私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律案について質問をいたします。
今年で個人情報保護法が施行されてからちょうど10年になります。この間の情報通信技術の飛躍的な発展にはめざましいものがあり、我々の想像を超えるレベルにあります。足元では、昨年12月末のスマートフォン契約数は携帯電話端末契約数全体の52.3%と、一人一台のスマートフォンは珍しくなくなり、さらに各社からウェアラブル端末がどんどん売り出されています。こういった時代背景があって、多種多様かつ膨大なデータ、いわゆるビッグデータの収集や分析を行うことで、新産業・新サービスの創出や我が国を取り巻く諸課題の解決に大きく貢献するなど、これからの我が国発のイノベーション創出へ寄与するものとの期待が高まっています。特に、個人の行動・状態等に関する情報に代表されるパーソナルデータについては、現行の個人情報保護法の制定当時には想定できなかった、高度な情報通信技術を用いた方法により、本人の利益の保護のみならず新たなイノベーションを生み出すための利活用が可能となってきており、高い利用価値が期待されています。一方で、自由な利活用が許容されるのかが不明確な「グレーゾーン」が広くなり、そのことがパーソナルデータの利活用に躊躇するという「利活用の壁」となっています。
今回の個人情報保護法の改正案の審議にあたっては、コンピュータとネットワーク、言い換えればデジタル化とグローバル化による第三次産業革命が加速して進行中である、との基本的な時代認識を共有させていただく必要があると考えます。そのうえで、これまで行政機関や事業者に管理されるばかりであった国民の情報を国民自らコントロール下における時代が切り開かれ、また、インターネットにつながる権利といった、国民が自らの情報を自らの判断で自由に利活用できる環境整備を通じて守られる国民の権利といったものが新たに生まれてくるといった「変化」にも留意していく必要があると考えております。
時代は今まさに動いています。動いている中で、将来の見通しも難しいなかでの今回の法改正であります。将来の国民の権利を守る柔軟性を確保しつつ、一方で成長戦略にブレーキをかけるような「利活用の壁」があれば早急に取り払う必要があるとの要請や、現在と将来、そして、個人情報の保護と利活用のバランスをとらなければならないという要請に対して、どのようなお考えのもと、この法案を取りまとめられたのか、山口大臣にお尋ねします。
また、個人情報保護は個人情報保護法を順守するだけで達成できるものではなく、サイバーセキュリティ対策を併せて推進していくことが不可欠であると考えます。今回の個人情報保護法の改正を踏まえて、政府のサイバーセキュリティ対策をどのように推進していかれるのか、山口大臣のお考えを併せてお答えください。
このたびの個人情報保護法およびマイナンバー法の改正は、我が国の経済成長を力強く後押しするための基盤を整備するものです。技術がめまぐるしく進歩している中で、次に何が現れるか予測不可能として尻込みするわけには参りません。我々が直面するデジタルエコノミーの将来を考えたとき、これを進展させなければ経済成長や雇用の創出の機会を次世代に閉ざすこととなってしまいます。今般の法案は、我々の時代認識が問われ、その試金石となる重要なものと考えます。今回の改正法案を成立させたのち、マイナンバー制度を次世代につなぐ社会基盤としてどのように利活用していくのか、甘利大臣にお尋ねいたします。
マイナンバー制度については、まずは、本年10月に控えたマイナンバーの通知、来年1月からのマイナンバーの利用開始、個人番号カードの交付開始に向けて遺漏のないよう、万全の準備で円滑な導入を図っていただきたいと思います。そのうえで、政府に対してわが党からも様々な提言を出させていただいておりますが、国民にとって利便性の高い公平公正な社会を実現するとともに、マイナンバー制度の利活用を推進し、民間に開かれた社会基盤の整備により、新たな経済成長への道筋をつけていただきたいと思います。そのうえでも、今回の改正法案を第一歩として、国民が安心してパーソナルデータ及びマイナンバーを利活用できるように、スピード感を持って必要な諸施策を実行できるように、私どもも全力で取り組んでまいることをお約束し、質問を終わりたいと思います。
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