集団的自衛権に関する憲法解釈の変更の賛否について、様々なところで様々な議論が展開されています。自国の安全保障に関して、様々な意見が存在し、様々な議論が起こることは寧ろ歓迎すべきことだと思います。しかし、マスコミの世論調査では、賛成が多数のものもあれば、明らかに反対という真逆の結果が出ることもあります。これは、明らかに異なる設問方法を反映したものです。中には、解釈変更で(集団的自衛権を)認めれば、自衛隊は直ちに戦場に出向いて死人がでる、といった間違った論調も見られます。
他にも例を挙げると、憲法解釈の変更は「姑息」であり、正々堂々と憲法改正をすべきだといった主張があります。果たしてそうでしょうか。一見正論にも聞こえますが、よくよく考えるとおかしなことに気が付きます。なぜなら、これまで集団的自衛権の行使を禁止してきたのは政府の憲法解釈であり、憲法自体が集団的自衛権を禁止しているのではないからです。憲法解釈の変更は憲法解釈で行うのが当然で、これまでもその時の社会情勢に沿うような形で、その時の政府によって幾度か解釈変更が行われてきました。合憲の範囲内での解釈変更であるということは言うまでもありません。
従って、憲法解釈の変更は、姑息でも憲法違反でもないのです。因みに、国際法上、各国が集団的自衛権を有しているのは自明ですが、集団的自衛権の行使ができるかできないかを議論しているのは世界中で日本だけです。だからといって認めるべきだと言っているのではありません。今後、地元でも国会でも大いに議論をしたいと思っています。
新聞や雑誌の偏った記事を読んだだけでは、正確な判断はできません。皆さんにはこのメルマガを機に、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(通称:安保法制懇)」の報告書をご覧いただきたいと思います。首相官邸のホームページに掲載されている報告書は、憲法解釈の変更の可能性について、きちんと法的な理論付けを示しています。現行憲法下で集団的自衛権の行使を容認できるかどうか検討した結果、限定的には可能だという結論を出したのです。百聞は一見に如かず。僅か40ページ弱の報告書です。皆さんご自身でご覧いただき、自国の安全保障に関して真剣に考えていただく機会になれば幸いです。
安保法制懇 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/anzenhosyou2/
報告書 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/anzenhosyou2/dai7/houkoku.pdf
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