今回は、昨年から構想を練り、今国会に法案提出を準備しているサーバーセキュリティ基本法案について説明します。
皆さん、ちょっと想像してみてください。2020年7月、世界中が注目する東京オリンピック・パラリンピックの開会式が新しい日本のシンボルともいうべき新国立競技場で開催されます。声高く開会宣言が行われた直後、会場の照明がすべて消え、会場はパニック、その模様が全世界に中継され、日本の威信は失墜する。
これは、縁起でもない仮定の話ですが、2012年に開催されたロンドンオリンピックでは、電力インフラを標的にしたサーバー攻撃が現実となりました。実際には攻撃を察知し防ぐことができたので、照明が落ちることはなかったのですが、世界中で何十億の人が見ているオリンピックの開会式で照明が消えてしまうというリスクが顕在化したインシデントでした。
「サイバーセキュリティ」と聞いて、皆さんはどう思われますか?セキュリティ対策は政府や警備会社、勤務先がするもので、個人や家庭には無関係だと思っていませんか。携帯電話もパソコンも使ったことがない、という人は少ないと思います。携帯電話、中でも保有率が急増しているスマートフォン(スマホ)は、24時間ネットに接続されているパソコン同様に、メールやアプリのダウンロードでウィルスに感染してしまうケースも少なくありません。また、スマートカーと言われる最近の自家用車に搭載される車載コンピュータは100個以上といわれます。他にも、スマートメーター(次世代電力量計)やネットバンキング、さらには電気、ガス、水道といった重要インフラの管理や運用も、インターネットと無関係ではありません。私たちが認識しなければならないのは、今、「インターネット前提社会」に生きているという現実です。
国家や重要インフラに対するサイバー攻撃が激増している昨今、最先端のIT国家を目指すわが国にとって、サイバーセキュリティは喫緊の課題です。現在、私が取り組んでいる法案は、国自らがリーダーシップを従来以上に発揮できるよう、政府としてのサイバーセキュリティ体制の抜本的強化を図るための立法措置です。自民党としての提言をとりまとめ、本日、菅官房長官に申入れを行いました。これからも、国民一人一人が情報セキュリティに関する認識を深め、自発的な活動が促進されるとともに、深刻化する脅威による被害を防ぐことができるよう、積極的にセキュリティ対策の取り組みを推進したいと思います。
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