大王は今なにをしている？〜440円で豪遊する方法

「大王は今なにをしている？」
あまり聞かれたくない質問だ！
それを理由に
私はTwitterやInstagramをやっていない！
本業で新作を書いていたりすれば
情報解禁まで何も話せないし
本当に何もしていなければ
報告する事もない！
なにしろものすごく楽しければ
それを他人に伝える時間などもったいない！
やっぱり気が向いた時の『ひろぐ』が
一番私の性に合っている！

とは言え
またしてもずいぶん『ひろぐ』をほったらかした！
「群馬編」の３回目を予告しておきながら
このほったらかし具合だ！
まぁ最高にひろいだ群馬だったとだけ記しておこう！

ひろの眼写真
「白衣観音慈悲の御手」（上毛かるたの「ひ」）

はてさて！

最近では”おじさん達だけが楽しむSNS”と言われる
Facebookだが
その「Piperページ」にて
私は毎日粘土細工の作品を公開している！
思いのほか好評で毎回たくさんの感想や応援メッセージが
コメント欄に投稿されている！
だがひょっとして
「大王は毎日作品を公開するために
　粘土細工に追われているのかも！」
と思ってくれている人もいるかもしれないので
断言しておこう！
あれは完全に好きでやっている事で
ただの一つもSNSで公開するためには作っていない！
ひたすらにひろいだ結果を披露しているだけだ！

事の発端はある晩の布団の中での事だった！

「干支の置き物は毎年自分で作りなさい！」

どこからともなく私が唯一神として崇める
聖人「エル・サント」の声が聴こえた！
エル・サントというのは世間の呼び名で
私ぐらいの信奉者となると
「Santo El Enmascarado de Plata」
と正式名称で呼んでいる！
訳せば「銀の仮面をかぶった聖人」だ！

先日「国立民族学博物館」で
大量の「アレブリヘ(Alebrije)」を見て興奮した！
これはメキシコの工芸品で
死後の世界に住む架空の生き物達を
木彫りや張り子で表現した物である！
メキシコ人独特の色彩感覚で着色された
「アレブリヘ」はなんとも魅力的で
見ているだけで
「作りたい！」と思わせてくれる！
そうか！
エル・サントはこれから毎年
新年に飾る干支の置き物を
「アレブリヘ」で作れとおっしゃっているのだ！

本当であれば木彫りに挑戦したかったのだが
木を彫る道具を一切持っていない！
木彫りなどやった事もないので
そもそもどんな種類の木を
どこで手に入れるのかも知らない！
ならば私の大好きな粘土細工で
「アレブリヘ」を作ってみよう！
私はさっそく東急ハンズを通り過ぎて
100円ショップに向かった！
どうせ上手になどできやしないのだから
芸術家が使う上質な粘土など無駄になるだけだ！
かくして100円の紙粘土を買い込み
さっそく自宅のベランダで
来年の干支であるねずみをモチーフに
「アレブリヘ」を作り始めた！
こうなればそれは「干支ブリヘ」だ！

まずはねずみボディだ！
自分の連載コラムだけ切り抜いた「山形新聞」と
普通に生きていたらなかなか減らない
「ヘソプロダクション」製の
「パインアメマスキングテープ」は
こういう所に利用させてもらった！
胴体の芯を作ると
乾きも早くなるし
なにしろ粘土が節約できる！


次に針金で骨組みをよじった！
特に紙粘土はこの骨がないと
乾くまでににょれーっと変形し
かっこいいポーズが
両手ぶらりになったり
立っていたはずの姿勢が
お尻を地面についてしまったりする！


そしてそれらの合体だ！
１人で合体ロボットを演じる
あのウィーンガシャンと鳴る俳優は
元気にしているだろうか？
最近バイクで「群馬」を走っているのを
見た人がいる！



死後の世界の空想の生き物なのに
ルールにとらわれてはいけない！
ここは私のルールに従ってもらおう！


これでずいぶん私の作品らしい姿になった！
そこにもりもりと紙粘土を盛り付ける！
夜が来てベランダは暗くなったので
書斎に移動して骨組みをもりもり包んだ！
いい「干支ブリヘ」になりそうだ！


さて！
ここからが事の始まりだ！
100円ショップの文房具コーナーで
紙粘土を買い物かごに入れ
店内を歩き回っていた時！
不思議なコーナーがある事に気づいた！
それは恐らく女性用の手芸コーナーだった！
携帯電話ケースをデコレーションしたり
爪になにか色々つけたりする人達のために
「樹脂粘土」という物が売られていた！
ははぁん！
これはずいぶん昔に稽古場で
ラーメンズの片桐仁と一緒に遊んだ粘土
「スカルピー」のような物だぞ！
スカルピーは確か
オーブンで焼かなければいけなかったが
売られていた樹脂粘土は勝手に乾燥する素材だった！
ちょいと触ってみたくなったので
４色ほど購入してみた！

「干支ブリヘ」は色つきの紙粘土で
ちゃんと乾いてから違う色を盛り付けないと
粘土同士の色がうつってしまう！
なので少し盛っては
なかなか長い乾燥休憩が必要だった！
そうだ！
この時間を使って
あの樹脂粘土を触ってみよう！
思えばそんな
ほんの少しの出来心だった！


どれだけ強い粘土なのかはわからないが
できるだけしっかりした完成品を作ろうと思い
一応手元にあったの針金で骨を組んだ！
引き出しの中からビー玉が出てきたので
そんなのも使ってみる事にした！
樹脂粘土はなかなかいい感触で
粘土同士で色をうつし合う事もない！
空気乾燥粘土なので手早く作らないと
触っている最中に固くなってしまう！
なのでにょいにょいにょいと
30分ぐらい樹脂粘土を触っていると！
・・・腰が抜けるほど愉快な奴が誕生した！
こいつだ！


だれだ！
なんなんだこれは！
誰だこの陽気で弱そうな奴は！
虫だか鳥だかもわからない！
顔面につけた物も
鼻なのかくちばしなのかわからない！
そもそも敵なのか？味方なのか？
私はこの写真を
こういうのが好きな友人たち数名に送信した！
まぁ私の周りで
こういうのが嫌いな人は一人もいないのだがね！
この謎人形をどう紹介していいかわからなかったので
私は「チキンマン」と書いてみた！
するといきなり
私の周囲で一気にチキンマン人気が沸騰した！

「干支ブリヘ」はまだ乾いていない！
そうだ！
チキンマンに敵を作ろう！
引き出しからこんな押しピンが出てきた！
これを使って強そうな敵を作り
チキンマンと闘わせよう！


30分ほどねりねりして生まれた
最弱ヒーローのチキンマンに対して
次の練りは1時間ほどを要した！
細かく挑めば細かく結果が出る！
樹脂粘土はこちらのポテンシャルを試す
なかなかユニークな素材だった！
かくして誕生したのが
狼怪人「レッド・グラブ」だ！


なんともおっかない奴じゃないか！
すまないチキンマン！
並べてすぐに君の敗北が予想できたよ！
取り敢えず朝まで噛まれたり蹴られたりしていたら
夜が明けていなくなり
引き分けたという設定にしよう！


やめられなくなった！
創作の頭脳を活性化させると
脳内で「オレキシン」が大量発生し
興奮状態に陥っていまう！
作りながらLINEをし続けた
「中西怪奇菓子工房。」の
「ナカニシア由ミ」ちゃんとの
会話記録を調べてみると
「おやすみなさい」とLINEスタンプを押した
午前4時ぐらいから
また樹脂粘土を練っている！

ビー玉はまだある！
自分が眠いのか眠くないのかもよくわからない！
脳は眠っているのに創作が続いている！
そんな状態から出た発想は
催眠術を使う宇宙人だった！
気がつけば私の目の前に
催眠宇宙人「ヒプノ星人」が現れた！


催眠術で眠たい上に狼に噛まれる！
とことんついてないぜチキンマン！
弱り目にたたり目！
泣き面に蜂！
貧すりゃ鈍する！
藁打ちゃ手を打つ！
便所入ったら人が入っとる！
とは桂米朝もうまい事を言ったものだ！
勝てないならばなんとか引き分けろ！


翌朝ヒプノ星人の催眠術から解かれた私は
起きがけにもう樹脂粘土を練っていた！
次はロボットが作りたい！
カミさんがちょうど
「サランラップがなくなった！」
と言っていたので
その芯を短く切断して粘土を盛り付けた！
なんだかいいのが出来始めた！
これは頭のアンテナで雷を受け
悪い事だけを考えて実行する
悪事計算ロボット「サンダーブレイン」
と名付けよう！


そこにまた前の２匹がやって来たものだから
さぁ大変だ！
チキンマンが
「やーめーてー！」
と叫んでいる相手は
強敵達なのか？
それとも私なのか？


どれだけ作っても
創作意欲が止まらない！
「干支ブリヘ」はとっくに乾いているのに
私が触っているのはずーっと樹脂粘土だ！

針金をよりよりして！


樹脂粘土を盛り
細かく装飾していく！
怪虫「クワガティオン」が完成！


こうなりゃもう！
まつりだまつりだーい！
村の若い衆はみこしを担いで
一晩中この周りを回ったと言い伝えられている！


ここまで読まれて
気づいていただいているだろうか？
私は４色しか樹脂粘土を買っていない！
つまり没頭してこれだけのへんなのを作ったところで
税込440円しか使っていないのだ！
こんなに楽しい440円があっていいものか！
つまらない飲み会に１万円払う時のある中
440円でこんなに楽しい事があるなんて！

私はこれらの作品に
それぞれのエピソードを創作し
『やめとけ！チキンマン』
のタイトルでFacebookにて連載してみる事にした！
毎回チキンマンに対する応援メッセージが寄せられ
それにチキンマンとして返信もしている！
あまりにも楽しいので
また樹脂粘土を買い足した！
急に思いついてやり始めたので
ある時突然やめるだろう！
気にするなかれ！
それが私で
これが『ひろぐ』だ！

１勝もできず
全ての勝負を引き分けで終えているチキンマンに対し
最近は本気で応援してくれる子供ファンが生まれている！
一生懸命描いてくれた
チキンマンのイラストを送ってくれたりする！
なんだか切なくなってきた！
どうしよう？
勝てない事が魅力のチキンマンだったが
どこかで１勝させた方がいいのだろうか？
スポンサーの意見や
プロデューサーの横槍などには
一切動じず全てはねつける私だが
子供のファンが望むのならば
その要求には応じたいと考えている私だ！
その上で干支ブリヘは
年末までにできればそれでいいや！