1812年アメリカ!
マサチューセッツ州知事エルブリッジ・ゲリーが
自党に有利なよう選挙区を無理矢理改変した!
できあがった新選挙区の区割り地図は
とんでもなく”いびつ”な形となり
外枠をなぞると伝説の怪獣サラマンダーのようだった!
そのため世間はゲリーによるその不公平な選挙区改変を
「ゲリマンダー」
と呼んだ!
時は過ぎ1956年!
場所は『ゴジラ』公開から2年後の日本!
鳩山一郎内閣が
エルブリッジ・ゲリーとまったく同じ
アンフェアな公職選挙法改正案を国会に提出した!
大きな反発が起こり最終的には廃案となったものの
その新選挙区制案は
やはり”いびつ”な選挙区割りから
「ハトマンダー」
と呼ばれた!
「ゲリマンダー」と「ハトマンダー」!
こんなにあんぽんたんな政治用語があっていいものか!
なんならちょいとふざけてる!
だがこれら2つの単語は
私が「山形東高等学校」の3年間で学んだ全ての学問の中で
最も好きな言葉だ!
なので50歳になった今でも時々言いたくなる!
恐らくこれを読んでいるあなたも
きっと小声でつぶやいている事だろう!
「ゲリマンダー」と「ハトマンダー」!
そんなわけで今回の『ひろぐ』では
第52~54代首相である鳩山一郎を
「ハトマンダー」と表記する事にする!
それは間違いだとおっしゃる方も多いだろうが
間違いを恐れていては前へは進めない!
私が監修した
群馬県民にしか使いこなせないであろうLINEスタンプ
『尾黒モル男さんの日常。イン群馬』
にはこんなスタンプがある!
モル男は一体何をお願いしているのだろう?
「新生活」とはなんだろうか?
以前の『ひろぐ』記事
『群馬大冒険記~ななめへの猛烈な怒り』
でも説明したが
改めて解説するとしよう!
1955年!
時の首相ハトマンダーは
今後の高度経済成長に向け
「日本人は冠婚葬祭や親戚・近所付き合い等に対する
領収書の切れない使途不明出費が多すぎる!
お金はお店で使わなければ経済は発展しない!
古い慣習が経済成長を妨げてしまう!」
と羽根を広げて鳴いた!
そこで提唱されたのが
「新生活運動」だ!
そうした古くからのしきたりで金銭を渡す際
「新生活でお願いします!」
と言えば
金額を抑えても失礼に当たらない
という国民的節約構想である!
この新生活運動は日本中に広まり
全国で実施されたが
「やっぱりそうもいかねぇよ!」
という意見の方が圧倒的に多く
各地で次々と忘れられ
気がつけば!
群馬県(と栃木県の一部)だけにおける
通夜・葬儀の際の奇習となってしまった!
群馬では
それほど親しくない関係の人が死ぬと
新生活を名乗って1,000~3,000円ほどの香典を贈り
小袋のドリップコーヒーや
小瓶の日本酒とピーナッツや
砂利みたいなチョコレートをもらって帰る!
それが当たり前となっている!
(後藤うまひと著『群馬県民は海の夢を見るか?』より抜粋)
ところがだ!
葬式たるもの
町を歩いていてぶらりと立ち寄るものではない!
「この町の葬式はどんな感じなのだろう?
ようし!
ちょいと覗いてみるか!」
と寄席感覚で葬儀場に入る人には故人のばちが当たる!
つまり我々は皆
よその土地の葬儀のしきたりを知らずにいるし
知る必要もない!
そのため群馬県民は
新生活が群馬だけの奇習である事を知らない!
ハトマンダーによる新生活運動が
今でも全国的に継続されていると信じている!
日本中の葬儀会場受付に
「新生活」と書かれたブースがあると思っている!
私はこれを群馬県議会による策略と睨んでいる!
群馬県に伝わる最大の奇習
「上毛かるた」の「ち」は
「力あわせる二百万」
という札だ!
200万という数字は群馬県の人口だと言い張って聞かない!
この札は実に特殊な物で
時代によって人口に合わせ
「160万」だったり「180万」だったりする!
県民全員が古くから親しんでいるはずのかるたが
読み札において変動性を取る事など許されるのか?
しかしこの変動性読み札でさらに問題となるのは
「一度変更したら
次にその数字を下回る事は許されない!」
という意地と根性の世界へ突入してしまう点だ!
なんとしてでも人口200万はキープせねばならない!
今年の読み札が200万なのに
来年190万にするわけにはいかない!
ところが実際のところ
在日ペルー人を知らぬ間に帰化させ勝手に住民票を変えても
200万には追いつかない!
そうなれば頼みの綱は
「脱馬者(運良く群馬を脱出した人々)」
の呼び戻し作戦となる!
そこで有用となるのが新生活だ!
群馬県議会は新生活運動を
さも全国的な習慣のように推し進める!
すると!
脱馬者は群馬県外の通夜や葬儀に参列する際
受付でうっかり新生活ブースを探してしまう!
そして尋ねる!
「あのう新生活でお願いします・・・」
当然受付の者は親族に駆け寄り
「へんなの来た!」
と伝える!
その結果!
脱馬者は
自分が棺桶に入りたくなるぐらいかっこ悪い思いをする!
「俺はもうこの町には住めねぇ!」
そう嘆いた脱馬者は
泣きながら走って群馬に帰って来る!
「よく帰って来た!
もう泣くな!
これからは共に力を合わせて生きよう!」
それが上毛かるたの「ち」となり
「力合わせる200万」の本意を表す事となる!
全ては群馬県上層部による巧妙な策略なのだ!
(後藤かるたひと著『AEONをデパートと呼ばないで!』より引用)
『財団法人親父倶楽部』群馬公演のため
私よりも1日遅れで到着した
「クボッティ」こと「久保田浩」は
楽屋に到着するなり
これを取り出してテーブルに置いた!
「群馬県でしか入手できない安価で珍しいお土産」
として
私から奇習「新生活」専用香典袋の話を聞いていたクボッティは
群馬に到着するなり
コンビニエンスストアに駆け込み
真っ先にこれを買ったのだと言う!
「ほんまにあったわ!」
クボッティは嬉しそうに開封し
新生活香典袋をみんなに配布した!
舞台公演の成功を祈願したい初日前に
楽屋のテーブルには多くの香典袋が並んだ!
そんなところに
「私のワークショップ」から派生した群馬の即興劇団
「ヘイル・ベンダーズ!」の女優
「おっさん」が現れた!
「おっさん」と名乗るが多分女性だ!
「男か女かどっちなんだ!」
という問いに答えるべく検証しようとすると
関西ローカル番組での「藤崎マーケット」の二の舞になるので
やめておく!
「『はなぱん』買ってきましたー!」
まぁ待て!
次から次へと襲い来る群馬ミステリー!
肩に互いにパンチを打ち合うあほあほゲーム
「肩パン」は知っている!
最近までアパートの隣の部屋の人が
うるさいと言って壁を叩く行為だと思っていたが
「壁ドン」なるものも理解できた!
じゃあなんだ「はなぱん」は!
なんでも群馬県は桐生市の名物お菓子だそうな!
パッケージのレトロセンスが素敵だし
楽屋のみんなもおいしそうだと言う!
ではみんなで食べてみよう!
という事になったが
口に入れて甘さを感じた瞬間に
一同に衝撃が走った!
口内の水分が全て「花ぱん」に吸収された!
なんだこれは!
吸水剤の一種か!
誰も感想を語らない!
いや!
語れない!
なぜなら口の中がパッサパサだからだ!
「花ぱん」を食べた者はみな
ただ口内でポスポスとドライな音を立てながら
半笑いになって互いを見合った!
甘い物が苦手なため
ほんのひとかけらだけ食べた私が
かろうじて言葉を発する事ができた!
「なんだこれ!
しかもパンじゃないぞ!」
おっさんは特に笑みを浮かべる事もなく
ビスケットみたいなもんですね!
と言い放った!
なんなんだ!
「焼きまんじゅう」と呼ぶ物はパンにしか思えず
パンと呼ぶ物の食感はビスケットだ!
一体誰から何を隠しているのだ群馬県民よ!
「なんでこんなに新生活の香典袋があるんですか?」
とおっさんに尋ねられ
クボッティが購入し配布した物だと答えると
おっさんはとんでもなく奇妙な事を言った!
「スタンプ押せばどれでも新生活になるのに!」
私には意味がわからなかった!
え?
スタンプ?
「群馬ではどこの会社にも置いてますよ!」
すまない!
もう少し詳しく話しておくれ!
「この新生活用香典袋の文字が
スタンプになってるんですよ!
群馬だったらどこの文房具屋さんでも売ってます!」
周囲から「これは何の音だ?」という声が上がった!
それは私のしりこ玉がはじけ飛ぶ音だった!
なんという事だ!
新生活用香典袋の左上に印刷された一文
「新生活運動の趣旨に添ってお返しを辞退致します。」
がスタンプとして販売されているのだと言う!
それを捺印すれば通常の香典袋でも
あっという間にはい新生活!
となるわけだ!
「私これから行って買ってきましょうか?」
頼むおっさん!
いや!
知っている!
君は女の子だ!
頼むおっさんちゃん!
最近滞ってはいるものの私はスタンプに関して
「後藤おすひと」を名乗る作家だ!
是非その”魔法の新生活スタンプ”を
私に買って来てくれ!
おっさんが買って来てくれたスタンプを見て
泣けて来るほど笑った!
すごいぞ!
これで何もかもを新生活にできる!
「としちゃん」こと「工藤俊作」氏が
楽屋の席で一生懸命睨んでいた脚本にも
こっそり押した!
あっという間に新生活になった!
公演中求められたサインにも何度か押した!
君にもほーら新生活!
目につく紙類は片っ端から新生活にしてやった!
おっさんによる説明があった通り
このスタンプはどこの会社にもあるそうだが
個人持ちする人は決していないそうだ!
これだ!
こういう物こそが私を最大限までひろがせてくれるのだ!
俺に近づくな!
お前も新生活にしてやろうか!
私の心の中に群馬のからっ風が吹いた!
その風は私にひらめきをもたらした!
私の通夜・葬儀では新生活を導入しよう!
それを遺書にしたためよう!
そうする事で身内だけのこっそり葬儀ではなく
貧しい演劇人や芸人にも盛大に参列してもらえる!
新生活を導入して
日本中から大勢の人に参列してもらおう!
するとだ!
新生活香典袋を買い求める者が増え
唯一の販売地である群馬の経済が活性化する!
それによって群馬県民の生活が向上し
裕福となった群馬県民は
家具やインテリア雑貨などを買い求める!
結果としてIKEAに客が殺到する!
「風が吹けばIKEAが儲かる」
とはそういうシステムで成り立っているのだ!
(後藤ぜにひと著『なぜ居酒屋に駐車場があるか?』より盗用)
なのに!
IKEA群馬店は何年間にも渡って店舗が見当たらない!
ひょっとしたら日曜祝日に
フリーマーケット形式で現れるのかもしれない!
もしくはこの草原でうさぎを追って穴に飛び込めば
既に地下深くにあるのかもしれない!
『財団法人親父倶楽部』群馬公演に向けた大阪での稽古中!
ダイノジ大谷君によるエフエム群馬の番組に電話出演し
舞台を宣伝させてもらった!
その際に私は群馬県民に向けて
奇習「新生活」について語った!
とんでもなく面白い事になった!
私の電話出演後も次々とリスナーメールが届き続けた!
前回の『ひろぐ』でお聴かせした前の週のものを
YouTubeでお聴きいただきたい!
まだもう少し続く群馬特集『ひろぐ』に
ご期待下さい!
なにしろ次回はこんな群馬をひろぐのですよ!