また1つ、名門牧場が歴史に幕を下ろす。76年有馬記念優勝馬トウショウボーイなど多くの名馬を輩出したトウショウ牧場(北海道新ひだか町)が、10月末をめどに閉鎖することが1日、分かった。1965年(昭40)に創設。設立50年を節目に生産界から姿を消す。
上からトウショウボーイ、シスタートウショウ、スイープトウショウ
トウショウボーイ、シスタートウショウ、スイープトウショウ…。G1馬たちの生まれ故郷が、ファンの思い出に変わる。志村吉男場長は「オーナーの意向ということですね。つい最近、決まりました。決して借金があってやめるわけではありません」と円満な幕引きを強調した。冠名“トウショウ”の生産拠点としてコンスタントに競走馬を送り込んでいたが、近年は収得賞金も減少傾向。7月のセレクトセールでは母シーイズトウショウの1歳牝馬(父ダノンシャンティ)が売れ、先週の新潟2歳Sにトウショウドラフタが出走するなど相変わらず存在感を示していたが、金銭的に余裕がある中で潔く一線から退くことが決まった。
今後は30頭近い繁殖牝馬を含め、所有馬は手放す予定。G1・3勝馬スイープトウショウなどの繋養(けいよう)先なども、近日中に決まる見通しとなっている。志村場長は「これから繁殖牝馬などをセリで出していかないといけないので明確な日にちは決まっていませんが、10月末をめどに閉鎖することになりました」と寂しげに話した。
◆トウショウ牧場 北海道日高の名門で、65年にフジタ工業副社長で馬主の藤田正明氏(元参議院議長)が、競走馬の生産拠点として創業した藤正牧場に始まる。基礎牝馬として米国から導入したソシアルバターフライが大成功を収め、代表産駒トウショウボーイが76年皐月賞、有馬記念を勝って牧場初のG1級ウイナーとなるなど、多くの子孫が重賞を勝ちまくった。生産馬のG1制覇はほかにシスタートウショウ(91年桜花賞)、スイープトウショウ(04年秋華賞、05年宝塚記念、エ女王杯)。本場と分場で約200ヘクタールの敷地と、全長1600メートルのダートコースを有する。
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