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【編集長:東浩紀】ゲンロンβ39(ブロマガ版最終号)

2019/07/19 14:20 投稿

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 ゲンロンβ39
 2019年7月19日号(テキスト版)
 編集長=東浩紀 発行=ゲンロン

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◆◆◇◇ 目 次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.ウラジオストクのソルジェニーツィン 観光客の哲学の余白に・番外編 東浩紀
2.【特別掲載】 東浩紀『テーマパーク化する地球』を読む 辻田真佐憲・江渡浩一郎 
3.【特別寄稿】 記号的には裸を見せない ――弓月光と漫画のジェンダーバイアスについて さやわか
4.スマホの写真論 第22回 御真影は「スキャン」だった 大山顕
5.世界は五反田から始まった 第7回 「池田家だけが残った」 星野博美 
6.SFつながり 第2回 岡部 トキオ・アマサワ
7.展評――尖端から末端をめぐって 第7回 ステージの上の彫刻たち――小谷元彦「Tulpa - Here is me」展によせて 梅津庸一 
8.五反田アトリエからのお知らせ 藤城嘘(カオス*ラウンジ)
9.ゲンロンカフェイベント紹介
10.メディア掲載情報
11.編集部からのお知らせ
12.読者アンケート&プレゼント
13.読者の声
14.編集後記
15.次号予告

表紙:ウラジオストクの港に設置されたアレクサンドル・ソルジェニーツィンの像。いままさに船から降り立ったかのような姿がかたどられている。撮影=編集部

※一部の漢字の字体は簡略化されて表示される場合があります。

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ウラジオストクのソルジェニーツィン
観光客の哲学の余白に・番外編
東浩紀 @hazuma
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 去る四月にウラジオストクに出かけた。一月に大連に行き、三月にハルビン、長春、瀋陽に行った、一連の旧満洲取材の続きである。
 なぜ続きなのか。一九世紀の後半、ロシアは不凍港を求め、東北アジアで領土的野心を剥き出しにしていた。ウラジオストクは、その野心の中心に位置した都市である。ロシアは一八六〇年に、弱体化した清から広大な沿海州をもぎり取り、同じ年にこの街を建設した。その後は軍港として発展し、一八九一年にはロシア皇太子の出席のもとシベリア鉄道の起工式が行われた。そもそもウラジオストクという都市名そのものが、ロシア語で東方(ヴォストーク)を征服(ウラジェーチ)するという意味をもっている。日本は明治維新以来、ロシアの南下に怯え続けており、その恐怖心が最終的に満洲の強引な建国につながった。それゆえぼくは、満洲について記すにあたり、いちどこの街を歩いてみたいと思ったのである。
 ところで、そんな関心で出かけたウラジオストクだったが、思いもがけずソルジェニーツィンについて考えることになった。というのも、この街の港には、彼の像が立っているのである。
 

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